宮崎県高千穂町のお宝グルメ『かっぽ鶏』キャンプにもお勧め!
- 2023年01月13日
NHK宮崎アナウンサーの滑川和男です。日本にはこれからもずっと伝えていきたい宝物のような郷土料理が、各地にあります。そんな全国から発掘してきた宝メシをご紹介したのが『お取り寄せ不可!? 列島縦断 宝メシグランプリ2023』という番組。1月9日の成人の日に放送されました。宮崎からは竹で作る高千穂の宝メシをご紹介しました!
高千穂の宝メシは竹に関係が…
神々の里と言われる高千穂町。実は流しそうめん発祥の地でもあるんです。昭和30年頃、夏の山仕事に勤しむ人たちに涼を取ってもらいたいと、山の中に豊富に生えている竹を割り、 湧き水でそうめんを流したのが始まりと言われています。
さらに高千穂の中心部にあるこちらのお寿司屋さんでは、たけのこ寿司という地元ならではの寿司を出しています。
たけのこを1日ゆがいたあとにしょう油と砂糖、 焼酎で味付けします。具材は、しいたけ、ごま、しその葉が入っています。
思わず一口で食べてしまいましたが(笑)そのお味は?!
まず口の中にしその香りが広がります。次に、しいたけの旨味がじわじわーっと来ます。そして、 噛むごとに、たけのこがシャキシャキするという、いろんな味や食感が楽しめる贅沢な食材!大将に食レポを『100点!』と褒められました(笑)。
流しそうめんに、珍しいたけのこ寿司··· 高千穂町には竹にまつわる料理が数多くあるんですね。さらに大将に聞くと「今夜は夜神楽をやるので、そこでも竹を使った料理が出されるはずです」とのこと。これはぜひ行かねば!
夜神楽と竹を使ったお宝メシ
800年ほど前から高千穂に伝わる夜神楽。秋になると五穀豊穣の感謝を込め、お招きした氏神様に夜を徹して33番の神楽を舞い奉納する神事です。そんな夜神楽に欠かせないのが、実は竹なんです。飾り付けや舞台などにも使われているんですが、それだけではありません。
神楽保存会の佐藤さんが竹に入ったかっぽ酒をすすめて下さいました。焼酎を入れた竹筒を炭火で温め、竹を湯呑の代わりにして飲むかっぽ酒。竹の中に入っているからかもしれませんが、 清浄なミントのような味で、まるで、身体全体が清められていくような気がしました。
かっぽ酒だけではなく、神聖な夜神楽で食べられる、竹を大胆に使った料理があるのだとか。それがかっぽ鶏です!佐藤さんが「絶対うまい!!」と太鼓判を押すかっぽ鶏。竹の筒をくり抜いて、鶏肉、ネギ、ごぼうを入れて、炭火で蒸しただけのワイルドな料理です。鶏によ~く味がしみ込んでいて、竹の風味も加えられています。
佐藤さん曰く、かっぽ鶏をつまめば、かっぽ酒もグイグイすすむんだとか(笑)夜神楽には欠かせない高千穂のお宝郷土料理です。
かつては器も箸も竹で自分たちで作っていたそうですが、高齢化の影響もあり、手間のかかる竹の加工は、今では器だけになってしまったと言います。しかし、そんな今でも器や箸まで全て自分で加工し、かっぽ鶏を作っている「かっぽ鶏作り名人」が高千穂にいるそうです。翌日に訪ねてみることにしました。
名人に教わるかっぽ鶏作り
そのかっぽ鶏作りの名人は高藤文明さん。高藤さんの作業は竹の調達から始まります。近くの竹林で、急斜面を歩きながら適した竹を探します。
高藤さんは竹の根元を良く見ています。かっぽ鶏には1年ものの真竹がいいそうで、1年ものは皮が根元に残っているのだとか。古竹だとえぐみが出ておいしくないんだそうです。
とってきた竹の一節を切り、節に沿って、左右に切れ目を入れていきます。
竹の繊維に沿って斧を押し込んで・・蓋を作るんですが、ポイントは片側だけ開くようにすること。密閉して竹の水分の蒸気を中に残すようにして、料理にも旨味として活用します。
竹の容器ができたら、いよいよ調理開始です。使う食材は鶏肉、しいたけ、ニラ、にんにくとシンプルです。鶏肉を親指大にカットして、塩コショウで味付け。そして薄切りにしたしいたけとにんにくを入れ、混ぜ合わせます。そこに、地元のちょっぴり甘い醤油とみりん、 日本酒で作った特製ダレで味付けします。最後に、ニラを入れてよく混ぜ合わせ、竹の器に具材を詰め込んだら、炭火に投入です!
待つこと30分…。おいしそうな湯気が立ち上ってくれば、かっぽ鶏のできあがりです!
炭火にかけている間に、高藤さんが、竹で器や箸も作ってくれました。さて、かっぽ鶏のお味は?
味が染みてておいしかったです! にんにくとニラが入っているのでパンチが効いた味かと思ったんですが、竹の風味にくるまれて、優しいマイルドな味わいになっているんですよね~
そんなかっぽ鶏は、いま失われつつあると言います。昔は集落で夜神楽を40軒ぐらいでやっていたそうです。しかし年々、数は少なくなってきています。夜神楽がなくなればかっぽ鶏も食べられなくなってしまいます。
高藤さんは、『夜神楽もかっぽ鶏もなくしたくない。だから今後もかっぽ鶏を作り続けていきたい』と語ります。
竹と炭火があれば作ることが出来るかっぽ鶏。あなたもキャンプなどのアウトドアで、器作りからチャレンジしてみてはいかがですか?
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