医療的ケア児の支援に地域格差?宮崎の現状と保護者らの願い
- 2022年12月08日
人工呼吸やたんの吸引など日常的に医療的ケアが必要な子どもを医療的ケア児といいます。住んでいる地域に関わらず適切な支援を受けたい…。
医療的ケア児の保護者で作るグループが宮崎県に出した要望書の内容や、宮崎の現状を取材しました。
ショートステイ施設の拡充などを求める要望書
要望を行ったのは宮崎市、日向市それに都城市のグループの代表7人です。昨年9月に施行された医療的ケア児支援法では、住んでいる地域に関わらず適切な支援が受けられるようにすることが「国や自治体の責務」として定められました。
宮崎県も家族などの相談に応じる支援センターを開設するなど対応を強化していますが、グループによりますと、ショートステイができる施設の設置状況などで地域による偏りが大きい状況が続いているというということです。
要望では
▽ショートステイができる施設を増やしていくこと
▽地域の学校に親の付き添いなく通えるようにするため、小中学校への看護師の配置をさらに進めること
など、合わせて6つの項目を求めています。
甲斐麻央 さん(日向市の保護者でつくる「teとteの会」会長)
医療的ケア児支援法が施行されて全国でいろんな取り組みが動き出しましたが、この1年を振り返ると私たちの地域では恩恵というか波及が目に見えては感じられないと思っています。
当事者である私たちに「こういう支援が必要ですか?」と聞いてもらうなど、お互いに情報を共有しながら、まちづくりができるといいなあと望んでいます。
この要望に対し宮崎県障がい福祉課の藤井浩介 課長は「医療や福祉、教育などさまざまな分野の関係者と連携して医療的ケア児を支えていきたい」と話していました。
宮崎の現状は?
特に偏りが大きいのが1泊2日などの短期で子どもを預かるショートステイができる施設です。
こちらは昨年、宮崎市に開設された施設です。ひと晩に5人まで受け入れることができ、いつも自宅に来てくれるのと同じ看護師がケアをしてくれます。こうした事業所が、宮崎市には合わせて4つ・都城市には5つありますが、県北に目を向けると延岡市は1か所のみ・日向市には1つもありません。
医療的ケア児の保護者は365日、夜中もケアをしているので疲弊している人も多く、保護者の休息のためにもショートステイは大きな役割を果たしています。
甲斐麻央 さん(日向市の保護者でつくる「teとteの会」会長)
自分も年を取っていく中で疲労が取れなくなっている。10年先も同じようにケアを続けられるか不安です。
インタビューさせていただいた甲斐さんは日向市にお住まいで、近くには利用できるショートステイの施設はありません。
宮崎県は「民間事業者に施設整備の補助金を活用してもらい、少しでも受け入れ先が増えるようにしていきたい」としています。
保護者が体を休めることができればその後も笑顔で子どもに接することができますし、きょうだい児がいる家庭では家族との時間を持つこともできます。病院の空きベッドをショートステイに活用するなどの方法もあります。行政には地域格差を解消するために積極的な取り組みをしてほしいと思います。