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宮崎に加賀太きゅうりが来た!レシピ開発の舞台裏 学生奮闘!

  • 2022年11月14日

NHKが地元の方とタッグを組んで農業を応援している「ミステリー×クッキング」。
地元以外ではほとんど知られていない食材を「ミステリー食材」として、全国の放送局同士で交換。毎回、遠く離れた土地に住む「新レシピ請負人」が、初めて見る食材を前に、試行錯誤しながら新たな料理を生み出すようすを“密着取材”しています。

今回は、石川県の金沢放送局から宮崎にミステリー食材が届きました。その食材とは?誕生したレシピとは?(アナウンサー 内藤雄介)

「金沢の野菜」×「宮崎の学生」=「新レシピ」誕生

出来上がったのはコチラの2品。レシピは記事後半に!

今回のミステリー食材は?

金沢放送局から届いた1箱の段ボール。中から出てきたのがこちら!

これは冬瓜?ヘチマ?それともスイカ?

正解を聞いて驚きました。なんと、この大きさできゅうりだというのです。まさにミステリー食材!
しかし、「きゅうり生産量日本一」の宮崎県にきゅうりをぶつけてくるとは・・・。
宮崎のスーパーで買った一般的なきゅうりと比べてみると、この通り!その名も・・・

「かが・ふときゅうり」と読みます。ただのきゅうりではなく「太」きゅうり!金沢の伝統野菜にも選ばれていて、手に持つとズッシリ。1本500グラムから800グラムくらいと、一般的なきゅうりの5倍ほどもあります。

金沢市農産物ブランド協会によりますと、昭和10年代に東北の短太系きゅうりの種が金沢に持ち込まれ、金沢節成りきゅうりとの自然交雑によって昭和20年代にいまのような形に定着したのが加賀太きゅうりの始まりだそうです。

生産農家 中林さんの思い

金沢市のJAで、加賀太きゅうり生産部会の部会長を務める中林圭吾さん(40)は「火を通すと甘くなるため、地元では煮物料理にして食べることが多い。最近では若い人向けにカレーの具にするなどのアレンジを積極的に提案している」と話します。

中林さんのハウスを訪ねたNHK金沢放送局・松岡忠幸アナウンサーは「私もよく加賀太きゅうりの料理をしますが、身がとにかく大きくてしっかりしているので、炒めてパスタに入れたりしても存在感があります。きゅうりの生産量日本一の宮崎の人にとっても珍しいと思うので、ぜひ食べて欲しい!」と話します。そして、中林さんからきゅうりを受け取り、南国・宮崎に送ることになりました。

宮崎で料理に挑むのは専門学校生

「加賀太きゅうり」を託された私、内藤が向かったのは、宮崎市の調理師を育てる専門学校です。19歳から20歳の3人の若者が、「新レシピ請負人」として料理に挑むことになりました。

三者三様の持ち味を生かしてくれそうです。
それでは、「ミステリー食材」とご対面!

開口一番出たことばは「でかいねぇ~」。そして、持ってみて「重い!」。全員目にするのは初めてだといいます。私から「加賀太きゅうり」だということを知らされた3人は、これがきゅうりの一種だと聞いてびっくり!彼らに与えられたミッションは、これを使って宮崎らしいレシピを作ること。いよいよ、ミステリークッキングの始まりです!

「加賀太きゅうり」って、どんなきゅうり?

まずは未知なる食材を知るところから。切ってみることにします。

すると・・・何かに気づいたようです。

切り口からじゅわっと水分があふれてきていました。「普通のきゅうりだとこうはならないよね」と驚く3人。続いて、ひと口かじってみます。

「皮がかたい!」

宮崎のきゅうりと比べて皮がかたく、口に残ることがわかりました。
「このままでは食べにくいよね」「でも、この皮の彩りは生かしたいね」。悩みながら意見を交わす3人。時計の針だけが進んでいきます。

そんな中、長井さんがつぶやきました。「焼いたらどうやろ?」。
これがナイスアイデア!オリーブオイルをひいたフライパンで皮の部分を丁寧に焼くと劇的に食べやすくなりました!!

膨らみはじめたレシピのイメージ

イメージが膨らんだ3人。料理に使う他の食材を買い出しに…。

カゴに入れたのは、こんな品々です。いったいどんな料理を作ろうというのでしょうか?

いざ調理スタート!

改めて調理室に向かった3人。不安そうだった目は、いつしか料理人の目つきに変わっていました。包丁、まな板、食材たちも準備OK。いよいよ新レシピ開発スタートです。

いよいよ、調理スタート!

なんと1本の「加賀太きゅうり」を3種類に切り分けると言います。

加賀太きゅうりの皮むき

ほかの材料の準備も始まりました。グリルで焼いたのは「アジ」。

グリルから取り出したのは・・・
こんがりと焼けたアジ!

焼きあがったものを味噌とまぜすり鉢ですりつぶします。

宮崎県民のみなさんならば、ピンときたかもしれません。はい。アレを作るようです。

さらにすり鉢を逆さにして直接コンロにかけ、中身をあぶります。

焦げ目がついて、いい匂い!

そこに、出汁などを加えて冷やし、最後に熱々のご飯の上にかけます。そう、アレとは宮崎県民のソウルフード、冷や汁です!

更に皮つき輪切りの加賀太きゅうりをしっかり焼いて・・・

上に飾ったら、できあがり!

「冷や汁」は宮崎ではきゅうり料理の定番とも言えますが、今回は加賀太きゅうりを「サイコロ切り」「薄切り」「輪切り」の3種類に切り分け、サイコロ状のものは汁の中に、残る2つの切り方のものは上に飾りました。味だけでなく見た目と食感にも工夫をこらした一品です。

作り方を金沢に送り、生産者・中林圭吾さんに食べてもらいました。その様子を学生たちがオンラインで見つめます。

一口食べて、この表情!
中林圭吾さん

面白いし、おいしい!太きゅうり独特のコリコリ感が残っていて、食感と風味との両方が楽しめる料理にしてくれました。

平木彩夏さん

生産者の方に受け入れてもらえるのかちょっとドキドキしていたんですけど、食感を生かしたところをしっかり評価して下さったので嬉しかったです!

3種類に切り分けた工夫が伝わり、高評価につながりました!

さらに・・・宮崎の特産との「コラボ」レシピも!

学生たちはもう1品考えていました。それは宮崎の特産柑橘「へべす」とのコラボレーション!
出来上がったのは「ゴマ酢和え」。「へべす」の果汁をたっぷりと使い、さわやかな酸味が際立ちます。

学生たちは、色鮮やかな皮をなんとか生かしたいと思い、しっかりと塩もみすれば柔らかくなることに気付きました。

中林圭吾さん

ちょっと濃い目のタレと合わせることで、きゅうりを引き立たせてくれているなと感じます。
皮を残して食べてくれたのも嬉しい。皮をむかなくても食べられるということが広まって欲しいと思います。

白石龍輔さん

ふだん使い慣れた食材だと、新しいことに挑戦しようという気にはなかなかなれません。今回初めての食材と向き合って試行錯誤したことは、とてもよい経験になりました!

「ミステリー×クッキング」をきっかけに、料理人を目指す立場で新たな気づきを得られた学生たち。これからの活躍に期待です!

加賀太きゅうりの“新レシピ” 作り方

材料(4人分)
▼加賀太きゅうり   半分くらい
▼アジ(干物でも可)1尾分
▼豆腐        1/2丁
▼青じそ(大葉)   4枚
▼ミョウガ     1個
▼白いりごま    大さじ2
▼みそ       大さじ4と1/2
▼だし汁                  500ml
▼ごはん       適量

<作り方>
【下準備】
 ・だしをとって冷蔵庫で冷やしておく
 ・アジをこんがりと焼き、身をほぐして、
  骨をしっかり取り除いておく
 ・豆腐を水切りしておく

①加賀太きゅうりは種を取り、3種類に切り分ける
 【飾り用】(少量で良い)
  ●皮付き、いちょう切り風に薄くスライス
  ●皮付き、厚めの輪切りを半分の三日月状に。
   フライパンにオリーブオイルをしいて焼く
 【出汁に加える用】(その他は全てこの形状に)
  ●皮を取って、5mm~7mmのさいころ状

②すり鉢で白いりごまをすり、みそ、ほぐしたアジを加えてする
③すり鉢の内側にタネを押し付けて広げ、ひっくり返しても落ちてこないように、しっかり貼り付ける
④すり鉢をさかさまにしてガスコンロにかぶせ、直火で3~4分。表面に軽く焼き目が付くくらいまであぶる
(タネをアルミホイルに広げてトースターであぶってもOK!)
⑤あぶっている間に青じそを細切り、ミョウガを薄切りにし、サイコロ状に切ったきゅうりと混ぜる
⑥焼き目がついたらすり鉢を火からおろし、だしを少しずつ加え、みそを溶かしていく
⑦溶けきったら、⑤の薬味ときゅうりを混ぜたものを加える。仕上げに上に飾る分は残しておく
⑧砕いた豆腐を加えて汁のできあがり
⑨丼や茶わんに適量のご飯を盛りつけ、その上に汁を注ぐ
 ⑦で残しておいた薬味ときゅうりを混ぜたものと、①の飾り用きゅうりを飾って完成!

加賀太きゅうりではなく、普通のきゅうりで作ってもおいしいレシピです。特に冷や汁の中に入れるきゅうりをサイコロ状に切ると、シャクシャクとした食感が楽しい一品に仕上がります。ぜひ試してみてください!

材料(2人分)
▼加賀太きゅうり 1/4個
▼へべす       1/4個(かぼすなどでも可 分量は好みで調整)
▼塩(塩もみ用) 適量
▼濃い口しょうゆ 大さじ1
▼砂糖        大さじ1
▼練りごま      60ml
▼白すりごま    少量(最後に上にかける用)

<作り方>
①加賀太きゅうりを、8センチほどの長さになるように輪切りにし、更に1.5センチの厚さで縦に切ったものを使う
(まき割りで割ったまきのような形にする)
②そこから種の部分だけを取り、半分だけ皮をとる
(皮を残すのは緑の彩りを生かすのが狙い)
③切った太きゅうりに適量の塩をかけて10分ほど置き、皮がやわらかく食べやすくなるまでしっかりと塩もみする
(皮は少しかたいので、軽くかじってみて食べやすくなるまでもむ)
絞り汁は捨てる
④しょうゆ、砂糖、練りごまをしっかりと混ぜ、そこにへべすを絞って混ぜる
⑥太きゅうりを器に盛り、④を上からかけて、ごま少々を振りかけたら完成!

へべすの上品な酸味がさわやかな後味につながる一品。かぼすやすだち、ゆずなどの柑橘でもおいしくできますよ。中林さんもおっしゃっていたのですが、お酒のおつまみとしてもGOODです!

  • 内藤 雄介

    NHK宮崎 アナウンサー

    内藤 雄介

    2002年入局。静岡-岡山-神戸-広島-東京アナウンス室で勤務。趣味は走ることと日本茶を飲むこと。現在、宮崎暮らしを満喫中!

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