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鉄道150年 宮崎列車の旅 土橋アナも驚いた切符や車窓! 

日豊本線・日南線に乗ってみた
  • 2022年10月14日

鉄道150年にちなんで、土橋アナウンサーが南北に長い宮崎県を鉄道で旅してみました。日豊本線の長い鉄橋から見わたす太平洋、緑の中を駆け抜ける日南線。運転士さんおすすめの特等席もご紹介します。では、出発進行!

旅のスタートは「幻の切符?」を売っている駅

今回の旅のスタートは日豊本線の川南駅です。この駅でとても珍しい切符を売っているという情報を得たからです。

川南駅

早速、切符売り場へ・・・。

今回目指すのは宮崎県内最南端の市、串間市です。

行き先を告げると、係の方が見慣れない伝票の束のようなものを取り出してきます。実はこれ、区間などが書かれていない「空白の切符の束」なんです。

係の方が手際よく記入し、切符を完成させていきます。「手切り」と呼ぶそうで、切符マニアの方が、わざわざ買い求めにくることも多いとか・・・。私もはじめて目にしました。自動販売機はおろか、ICカードでも電車に乗れる時代に残る「手切り」。まるでオーダーメイドのようで、なんだかありがたみを感じました。

作ってもらった切符を手に串間に向かいます!

JR九州最長の橋

川南駅を出てほどなく、電車は大きな橋にさしかかります。

JR九州最大の橋「小丸川橋梁」です。コンクリート製の橋で長さは805m。小丸川の河口にかかる橋で、進行方向右には小丸川。左には太平洋が望めます。遮るものがない開けた景色は運転手さんもオススメの絶景です。時速100キロほどで橋に進入した電車は、真ん中付近で減速。まもなく高鍋駅に到着します。

橋から海を臨む 水面に雲が映ってきれい!

この鉄橋、外から見ても美しい風景です。古くは蒸気機関車の時代から、鉄道愛好家の方が写真を撮影する名所だっということです。

宮崎駅 1分間の乗り換え劇場!?

時刻表を見ながらプランをたてた今回の旅。1番の難所が宮崎駅での乗り換えです。乗ってきた日豊本線の電車は9:09着。そして乗り継ぐ日南線は9:10発。ということは、1分しか時間がりません。

混雑した車内から押し出されるようにホームに出て、電光掲示板をチェック。

すでにとなりのホームに停車していた2両編成の車両でした。ほっとする間もなく「日南線各駅停車の油津行きです。まもなく発車します」という車内アナウンスが聞こえてきました。「あ~よかった。間に合った!」。

地域の足として100余年

日南線は、大正初期に宮崎県営鉄道飫肥線(油津~飫肥)、宮崎軽便鉄道(赤江~内海)が開通したのがその始まりです。当時は、電柱や線路の枕木に使う木材を運ぶ役割を果たしたといいます。その後様々な統廃合を経て、いまの路線の形となりました。JR九州では昭和38年5月8日の南宮崎~志布志間の全通をもって「日南線」の誕生としているということです。

2022年9月の台風14号の影響で、放送日(10月7日現在)日南線は南郷~志布志間が不通となっています。JR九州によりますと、被災した場所は鹿児島県内ですが、折り返し運転を行うための設備がないため、南郷止まりとなっているということです。


さて、宮崎駅を出た列車は一路県南を目指します。車窓に宮崎を代表する大淀川や青島海岸の姿を望みながら走ること30分。小内海駅に到着です。

海を臨む小内海駅

この付近は去年(2021年)秋の大雨で線路わきの土砂が崩れ大きな被害を受けました。

復旧工事の結果、約3か月後の12月に運転を再開しました。平行する国道も被災したため、この間、宮崎と日南方面の移動は、山を越える迂回ルートととなり、通勤通学や観光に大きな影響が出ました。現場の様子を見ながら、たびたび災害に見舞われる日南線ですが、地域の大切な足なのだと改めて感じました。

七変化する車窓の魅力

次々と移り変わる窓の外の景色は日南線に乗るだいご味です。しかも、窓が開くのです。昔のように全開にはならないのですが、それでも風を頬に受けながら見る景色は最高!「気持ちいい」のひとことです。線路の音や踏切の音も直に伝わってきて・・・ノスタルジーに浸ってしまいました。

留め具を指ではさむ感触が懐かしい 
風が吹き込む
トンネルへ
深い森の中を進むのは幻想的

今回は撮影もあり、座席だけでなく運転席の後ろにも移動しました。日南線の車両はワンマンカーで、運転席との間に壁がありません。迫力ある前方を眺めることも出来ます。

運転士さんから教わった特等席

さいごに、日南線の運転手さんが教えてくれた2つの特等席をご紹介します。1つは列車の最後尾です。「前に進んでいく景色だけでなく、後ろに過ぎ去っていく風景もいいですよ」と伺い、私も移動してみました。確かに、運転席側の眺めが前方を切り拓くような感覚ならば、最後尾は景色が広がりながら遠ざかっていくズームアウトの世界。日ごろまず目にしない光景でした。鉄道の旅ならでは楽しみ方かもしれません。

そしてもう1つは「鉄道ファン」向けかも。日南線を走る気動車キハ40は乗り降りするドアのやや中央よりの床下にエンジンがついています。その真上の座席です。「南方~木花間や日南~油津間ではエンジン全開(フルノッチ)で走るので迫力がある音が聞こえますよ」ということです。乗車の際には、お試しになってはいかがでしょうか?

さて、今回はここまで。次回配信では「ユニークな駅」などをご紹介します。お楽しみに。

(この記事は2022年10月放送の「宮崎ふれあわない旅」の内容に加筆したものです。またJR九州の許可を得て撮影しています。)

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