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コロナ全数把握の見直し 宮崎の対応と医師・市民の受けとめ

  • 2022年08月26日

新型コロナの感染者の「全数把握」を見直す方針が政府から示されました。宮崎県の対応と、宮崎市の医師や市民の受けとめ、見直しで何が変わるのか?をお伝えします。

県「今すぐ見直しは考えていない」

24日午後、岸田総理大臣が医療機関や保健所の負担を軽減するため、新型コロナの感染者の「全数把握」を見直す方針を明らかにしました。それを受け河野知事は県庁で報道各社の取材に応じ「これまでは全数把握を行うことで陽性者に療養を要請していたが、対象外になる人たちに療養が必要ないという誤解を与えかねない。現実問題としてはさまざまな課題があり、県としては今すぐ見直すことは考えていない」と述べ、慎重な考えを示しました。

県としては全数把握の見直しの必要性を認めながらも「現場の負担を考えると全数把握の見直しは必要だ。課題をクリアできるよう国全体で統一的な取り扱いを決めていただく必要がある」と述べました。

宮崎市の医師「維持しつつ負担軽減を」

県内の開業医からは全数把握を維持しつつ、報告内容を減らすなど負担の軽減を図ってほしいという声も上がっています。

宮崎市吉村町の「むらい内科クリニック」では、通常の患者のほか、新型コロナの感染が疑われる人の診療も行っています。村井幸一院長によると、今月は毎日、来院した患者のうち10人前後が検査で陽性と確認されています。現在の仕組みでは、陽性が確認された人全員を把握するため、医療機関は毎日「発生届」を作成し、保健所に出す必要があります。

症状や基礎疾患があるかなど専門的な項目も多いため村井院長が1人でシステムに入力を行っていて、作業が深夜に及んだり、通常の業務をこなす時間が減ってしまうため、週末にシステム入力を行う必要が生じたりしているということです。村井院長は「一般診療にも影響が出るので、負担を減らしてほしい」と訴えています。一方、村井院長は、若い人などを全数把握の対象から外せば、療養期間を守らない人が出るなど弊害が懸念されるとして慎重な姿勢です。

そのうえで「全数把握は続けつつ、登録項目を簡素化することで医療機関の負担を減らし、保健所についても感染者全員をフォローするのではなく、一部の人は体調の変化によって自主的に連絡してもらうようにするなど負担の軽減を図ってほしい」と話しています。

市民の受け止めは?

60代女性「全数把握をしていたらキリがない。医療現場で本当に必要な対応ができなくなるので、リスクの高い人に絞って把握するのはよいと思う」

宮崎大学医学部で学ぶ男性「ウィズコロナの今、重要な情報に絞って把握に努めることは賛成だが、国が見直すかどうかの判断を都道府県に委ねようとしているのはあいまいで残念だ。県は判断に当たって市町村と意思疎通を図り、現場の現状を把握することが大切だと思う」

18歳の男性「詳細な患者のデータがあるから信頼性が高く、安心できる。全数把握でなくなったら不安になる」

18歳の男性「難しいが、全数把握は続けたほうがよいと思う。自分と年齢の近い若い世代や軽症の人も含めた調査結果を知ると、自分の住む地域のリスクを実感できる」

見直しで何が変わるの?

今回の見直しでは、自治体の判断で「発生届」が必要とする対象を、高齢者や重症化リスクが高い人などに限定できるようにし、若者など対象外となった人についても感染者の総数と年代別の人数を把握するとしています。感染者数の集計は続けられることになるため、感染状況は引き続き把握できますが、「発生届」の対象外の人が自宅療養中に体調が悪化しても気づきにくくなるなどの懸念もあります。

厚生労働省は発熱外来や保健所の業務が極めて切迫した地域では、都道府県から届け出があった場合、「発生届」の対象を限定する措置を順次、実施可能にするとしています。

一方、定点となる医療機関を指定して定期的に報告を求める「定点把握」については具体的な制度設計に時間が必要なことなどから第7波が収まった後で、検討する方針です。

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