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NHK宮崎 アナウンサー滑川和男 おすすめ 日南市文化センター

みやざきWEB特集
  • 2022年08月22日

九州で唯一の丹下健三作品

『人を幸せにする建築や街づくりはどうあるべきか?』私は以前から建築に興味があり、その土地土地の有名建築物を見に行くのを楽しみにしていました。このほど日南市文化センターが、近代建築物の保存を進める国際組織から、日本を代表する建築物の1つに選ばれたという事で、早速日南まで見に行ってきました。この建物を設計したのは、世界的建築家の故・丹下健三です。丹下健三と言えば、東京都庁や国立代々木競技場などを設計したことで知られていますよね。日南市文化センターは、昭和37年に完成した鉄筋コンクリートの2階建てで、延べ床面積は2900平方メートルあります。九州では唯一の”丹下作品”ということで大変貴重な建築物です。

日南市文化センター

4つの三角形が重なり合った外観

外壁は、丹下建築の特徴のひとつとされるコンクリートの打ちっ放しで、4つの三角形が重なりあった形状をしています。この建物を近くで見るとよく分かるのが、外側の壁が内側に傾斜しているということです。特徴ある外観は、日南の山並みや海といった地元の自然を表したものといわれています。日南海岸で有名なのが「鬼の洗濯板」。確かに、建物の上部は波状の岩の連なりにも見えますね。三角形で尖っている特徴と相まって、私はピラミッドのような印象を受けました。

個性的な意匠が至る所に

鋭角な印象を受ける外観ですが、開口部を見てみると曲線処理が施されていたり、窓枠も単なる四角形ではない形をしていて、見ていて飽きません。半屋外のエントランスの空間から外を見ると、街の風景が柔らかく切り取られているようにも見えます。また、上を見ると梁がジグザグに組まれていたりします。排水口が突き出したり、両側に目隠しが付いた細長い窓が並んでいたりと、コンクリートという材料を構造とデザインでフル活用しているように感じました。

今も使われていることが評価

近代建築の保存を進める国際組織「DOCOMOMO」の日本支部は、この日南市文化センターを『日本を代表する近代建築物』として、2021年度分の『日本におけるモダン・ムーブメントの建築』に選定しました。ユニークな外観や市民に利用されている点などが評価されたのです。60年前に建てられた建築物が、今も見る人に強烈な印象を与え、なおかつ使われ続けているというのは、凄いことですよね。設計者の丹下健三もきっと喜んでいることでしょう。日南市としてはこれからもメンテナンスをして、現役の公共施設として使い続けていくということです。

  • 滑川和男

    宮崎コンテンツセンター

    滑川和男

    宮崎は新人以来2度目勤務

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