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放射線の体への影響について

県内でも放射線への意識が高まるなか、10月12日の
「とれたて ワイド いばらき・知っ得!情報局」のコーナーでは、
日々の生活のなかで放射線をどのようにとらえていけばいいのか、
茨城大学の田内教授にうかがいました。

10月12日(水)とれたて ワイド いばらき
「知っ得!情報局・放射線の体への影響」
聞き手 戸澤愛キャスター
解説  茨城大学理学部 田内広教授

外部被ばく、内部被ばくについて。

A

外部被ばくは、体外から放射性物質を浴びた場合で、
放射性物質からの放射線が止まれば被ばくも止まります。
内部被ばくは、放射性物質を体内に取り込んだ場合で、
一定期間、体内で被ばくし続けます。

外部被ばく、内部被ばくについて。

自然界にはもともと放射性物質が存在し、ふだんの生活の中でも放射線を受けていますね。

A

宇宙からくる放射線、自然界にもともとあるラジウム226や
ラドン222などの放射性物質からの放射線、
必須ミネラルであるカリウムなど食品に含まれる
放射性物質は、ふだんの生活の中に存在します。
食物から摂取されるカリウム40という天然の放射性物質は、
成人男子で4000ベクレルが体内にあります。
また、ポテトチップスなら1kgあたり400ベクレル、
魚でも1kgあたり100ベクレル程度含まれています。

自然に存在する放射性物質

普段の生活の中での放射線はどのくらいなのでしょうか。

A

宇宙からの放射線量は0.29ミリシーベルト、
地面からの自然ガンマ線が0.39ミリシーベルトなど、
あわせて年間1.49ミリシーベルトです。
関東地方は、関東ローム層があるため少し低く、
平均で年間1.40ミリシーベルトとなっています。
また、西日本には、年間1.7ミリシーベルト程度の場所は
たくさんあります。

日本での1年間の平均放射線被ばく線量

現在、茨城県内ではどのくらいの被ばく量になるのでしょうか。

A

水戸市で暮らす私の例では、平常時の3.5割増し程度です。
外部被ばくは、1年間で0.75ミリシーベルト、内部被ばくは0.55ミリシーベルト、自然放射線被ばくは0.4ミリシーベルトで、
合計1.70ミリシーベルトです。
原発事故による放射線量の増加は0.3ミリシーベルト程度で、
被ばくの限度とされる年間1ミリシーベルト以下になっています。

実測に基づく水戸での総被ばく線量の推定例

県内の放射線量は、最近は大きな変化が見られなくなっています。

A

原発事故前より数値が高くなったのは、事故で上空に飛ばされた放射性物質が雨などで
地表に降下したことによります。 現在観測されている多くが放射性セシウムです。
最近ほとんど数値が変わっていないのは、原発からの大量放出が起きていないことを
示しています。

守谷市や取手市など県南部で数値が高いのはなぜでしょうか。

A

原発事故後の3月20日前後の天候や風向きの関係で、
県南部に多めの放射性物質が降ったためと思われます。

長期的に見た場合、身体への影響はあるのでしょうか。

A

放射線は遺伝子(DNA)に傷をつけ、そのために細胞が
変化したり死んだりします。
一方で、遺伝子は他の要因でも常に損傷を受けています。
活性酸素は1時間で細胞あたり1000個、紫外線は1万個の損傷を与えています。 これに対して、放射線は年間1ミリシーベルトとして、1時間で細胞あたり0.0001個の損傷です。
人間は、活性酸素や紫外線の影響を受けても、遺伝子の傷を修復する酵素の働きで、こうした傷のほぼすべてを直しています。

遺伝子の損傷は放射線以外にも…

健康への影響とはどういうものが心配されるのでしょうか。

A

放射線の影響は、がんになったり、がんで亡くなるリスクが高まるというものです。 年間10ミリシーベルトの被ばくで高まるリスクは、がんで死ぬ人が1万人あたり5人増えるとされています。 このリスクは、毎日10本ずつたばこを吸う人の肺がんによる死亡のリスクとほぼ同じです。
科学的には、100ミリシーベルト以下の被ばくをした人と被ばくしなかった人のがん死亡率に差があるかどうかははっきりしません。
そのためごく微量の被ばくでもリスクが上がると仮定されています。

がん死亡リスク

まだまだ多くの人が不安を感じています。

A

茨城県の現状からいえば、放射性物質の新たな大量放出は起きていません。雨にも含まれていません。 また、放射性セシウムは水に溶けにくく、地表の土壌に吸着されやすいことから、野菜にもほとんど含まれていません。
住宅周辺では、雨どいの出口などに放射性物質が集まっているので、そうした場所の土を表面から数センチ除いて袋に詰め、 埋めてしまえばより安心が得られるでしょう。

茨城県の現状

より安心するには、どんな対策が有効でしょうか。

A

ほこりや花粉と同じ対策が有効です。 帰宅したら手洗いやうがいを励行する、室内の掃除をきちんと行う、乾燥した強風の時は窓を大きく開けない、 野菜はよく洗って土を落としてから調理するなどです。また、土を大量に食べなければ問題はないので、 神経質になりすぎる必要はありません。また、洗濯物や布団は取り込む前にたたくなどすれば外干しでも問題はありません。

より安心を求めるなら

放射線がどういうものか、どんな影響があるのかを知っておくことが大切ですね。

A

放射線は大量に被ばくすれば危険なものであることは確かですが、
わずかな被ばくを怖がりすぎてストレスを抱え続けるほうが大きな健康被害をもたらします。
少しだけ気をつけて生活することで被ばくの影響は十分に打ち消すことができます。
冷静に状況を把握し「正しく怖がる」ことが大切ではないでしょうか。