新型コロナウイルスの感染拡大で地域経済が疲弊するなか、地方銀行の役割の重要性が高まっています。
つくば市に本部を置く筑波銀行は、積極的に融資を行い、去年4月から12月までの第3四半期の決算で、中小企業への貸出残高は7300億円余りと、過去最高に上りました。
さらに、すべての融資先にあたる約2万社から聞き取りを行い、経営面の支援にも取り組んでいます。

【販路開拓 銀行が支援】

結城市にある豚肉の加工会社を訪れた、筑波銀行の結城支店の中嶋利成支店長。
この日の目的は、融資についての話し合いではなく、工場の視察です。
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「こちらは豚肉の脂ですか。1日にどれぐらい生産していますか」(筑波銀行結城支店 中嶋利成支店長)
直接、作業の様子などを見て、品質を確認します。

この加工会社では、新型コロナの感染拡大による外食産業の落ち込みで、卸業者からの注文が激減していました。

地元産の豚肉を使い丁寧に加工処理をしている品質の高さに目をつけた筑波銀行は、直接飲食店に売り込むことを提案。
間に立ってマッチングを進めた結果、地域で人気のラーメン店のギョーザ用に、ひき肉を販売することになりました。
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客からの反応も上々で、加工会社にとっても、ラーメン店にとってもメリットのある取引となりました。

「非常にありがたく思っています。信頼関係を深めて、さまざまな商品を納入していければと考えています」(広畜商事 廣江浩和 専務)

「地元の中小企業として従業員を大切にしながら前向きに取り組んでいる企業で、商品の品質も高い。うまくマッチングをして、コロナ禍で困っている地域企業を救えればいいなと思います」(筑波銀行結城支店 中嶋利成支店長)


【新たな業務にチャレンジ 大手とのマッチング成功】

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筑波銀行のアドバイスで、新たな業務に活路を見いだした会社もあります。
水戸市にある住宅などのリフォームやガス器具の販売を手がける会社は、新型コロナの影響で海外から資材が届かず、一時、事業が滞ったこともありました。

「筑波銀行の担当者に『大変ではないですか。コロナで大丈夫ですか』と聞かれたので、『正直、厳しいです。だからこそ、やらなければいけないことがある』と答え、私たちの会社の特徴にあった取り引き先を紹介してもらいたいとお願いしました。」(東部燃焼 岡田晃社長)

相談を受けた筑波銀行は、この会社が、リフォームという業種上、多くの許認可を取得していることに目をつけました。

そこでマッチングしたのが、大手通信販売会社です。
通信販売で注文を受けた家電を、実際に設置してくれる業者を探していました。
エアコンの設置と引き取りのどちらもできることが功を奏し、契約につながりました。
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【重視しているのはスピード感】

企業の支援にあたって筑波銀行が重視しているのが、判断の速さです。
県内の店舗と銀行の経営陣が、毎月オンラインで会議を開き、取引先が抱えている課題を共有しています。

「営業利益についても、計画を上回っており、経営計画は順調に進捗しています。」
「これまでとは違った販売先とか、新しい製品を製造するということを、銀行として支援できないか。」(筑波銀行経営幹部のやりとり)

取引先に必要なのはどのような支援なのか。
店舗と経営陣が、時には厳しい意見も交えて率直に融資先についての考えを述べ合い、その場で経営判断が下されます。
方針が決まれば、すぐに支援策を実行に移します。

新型コロナの影響が長引くなかで、県内の企業は生き残りをかけた日々が続いています。
企業に融資をして利息で利益を得るという経営モデルが成り立たなくなっている銀行は、地域経済を支え、地域の企業の成長を促すことで、銀行自体も生き残っていくという、大きな変化の時を迎えているのです。

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「地域金融機関は、地域経済と一体なので、地域経済が元気にならないと、われわれも仕事にならないということころも当然ある。行員たちも、お客様からのご相談にお応えできた喜びを非常に感じており、特に若手行員からは『今まででいちばん銀行員になってよかったと思いました』という声が非常に多かった。今まで取引の無かったお客様から声をかけていただいたり、新規で申し込んでいただいたりということも非常に多くなりましたので、そういった点でも、役割どおりにできたのかなと思っています」(筑波銀行 生田雅彦頭取)

取材:三輪知広 記者

 

 

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