サッカーJ2水戸ホーリーホックのミッドフィルダー、森勇人選手。攻守ともに献身的なプレーで、チームの欠かせない存在となっています。

しかし森選手、昨シーズンの加入から今シーズンの前半までは、なかなか試合に出場することもできず、苦しい日々を過ごしていました。

その森選手が大きく変わったのは、新型コロナウイルスの影響によるリーグの中断期間でした。

自らの内面を見つめ直し、新たな成長を見せる森選手を取材しました。

【期待されたはずが...】

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「サッカーを楽しんでいる姿をみなさんにお見せできればなと思います。どうか1年間応援よろしくお願いします」(森勇人選手)

森選手が水戸ホーリーホックに加入したのは昨シーズン。J1でプレーした経験もあり、攻撃的な即戦力として期待されていました。

しかし昨シーズンは出場わずか5試合。今シーズンも序盤は練習試合にも先発できず、試合で活躍するために24時間サッカーのことばかり考えてきたという森選手にとって、苦しい日々が続きました。

【浮上のきっかけは】

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その森選手が浮上するきっかけとなったのが、ホーリーホックが独自に行っている人材育成のプログラム「Make Value Project」です。

内容は、栄養やメンタルといったトレーニングに役立つものから、クラブの経営やアスリートとしての社会的責任など、幅広い分野に及びます。

クラブは選手たちに、プロとしての使命感を持つとともに、サッカー以外にも広い視野を持ってほしいと考えています。

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「一般企業には入ってから研修があるが、サッカー選手にはJリーグが行う最初の新人研修しかなく、すごく狭い世界でほかの業界がわからないんです。ピッチの外におけるサッカー選手の研修を作ってみようと思ったのも1つのきっかけですね」(西村卓朗ゼネラルマネージャー)

これまでは、自分が活躍したいという思いだけで努力をしてきたという森選手。このプロジェクトを受けて視野が広がり、意識が変わったといいます。

「サッカー選手としての仕事というのはピッチの中だけではないんだなとすごく感じるようになりましたし、自分のためではなくチームだったりサポーターのみなさんのために頑張ることで、より自分の力が発揮されるんだということに気付きました」(森勇人選手)

【見つめ直した「自分の役割」】

もう1つ、森選手を大きく変えたのが、新型コロナウイルスの影響によるリーグの中断期間でした。
試合がなく、練習もままならない中で、自分の役割は何なのかと模索したといいます。

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そこで森選手たちは、自分たちにできることはないかとクラブと話し合い、サポーターとのオンライン交流会が実現しました。

「その時にしかできない、その時に求められるコミュニケーションを意識した」という森選手。運動の機会が減った子どもたちのためにと撮影したリフティングの練習の動画など、SNSで発信する回数も増やしました。

サポーターの反応に直接触れたことで、自分が果たすべきことを整理できたといいます。

「今までも『サポーターのために』という言葉を使ってきましたが、コロナで試合ができない期間にサポーターとオンラインで対面したりしたことで、『サポーターのために頑張ります』と言ったときに、そういった人たちの顔が浮かぶようになりました。それって、より感情的になれるというか、この人たちのために頑張ろうと思える。誰のために何を頑張るのかというのが、すごく整理できました」(森勇人選手)

森選手の変化は、周囲にも伝わっています。
「森選手の意欲はほかの選手よりもかなり高いと感じますし、プロとしてあるべき姿を認識していますね。外に発信する機会もほかの選手よりも多いですし、自分から自分の考えを伝えてきたりする。それが、彼の周りの応援する人が増えたりだとか、理解する人が増えたりにつながっているんだろうなと思います」(西村卓朗ゼネラルマネージャー)


【心揺さぶる選手に】

「Make Value Project」の中で、選手たちは、自分の目標を言葉で表現しました。自分がサッカー選手として成し遂げたいことを、常に意識するのがねらいです。

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森選手の目標は「誰からも愛され 心揺さぶる選手に」。
これからもチームのために、サポーターのために、さらなる成長を誓います。

取材:編集 若本梨恵子

 

 

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