ページの本文へ

  1. トップページ
  2. くらし
  3. 被害が深刻 特殊詐欺!強盗に発展も

被害が深刻 特殊詐欺!強盗に発展も

執筆者のアイコン画像藤田梨佳子(記者)
2023年02月24日 (金)

深刻な特殊詐欺の被害

家族を名乗ってお金をだまし取る「オレオレ詐欺」などの特殊詐欺。

去年1年間に、警察が茨城県内で認知した特殊詐欺の被害件数は254件で、被害額は4億6千万円余りに上っています。3年連続で4億円台となっていて深刻な被害が続いています。

ことし急増 サポート詐欺

20230222f_1.jpgこうしたなか、警察がことしに入って増えているとして警戒を呼びかけているのが、「サポート詐欺」です。パソコンがウイルスに感染したと、うその警告を画面に表示させて、電話をしてきた被害者からサポート費用の名目で金銭をだまし取る手口です。

 

サポート詐欺とは

20230222f_2.jpgウェブサイトを見ているときに突然あらわれる、こちらの警告の表示。

「コンピューターが無効にならないように5分以内に電話をください」とあります。

なかには警告音を発するものも。そして、表示には、大手企業を名乗る「サポートセンター」の連絡先として、電話番号が表示されています。

しかし、警告表示は偽物で、電話をかけると、センターの職員を装った犯罪グループにつながります。サポート詐欺は、突然ウイルスに感染したという表示がでて焦っている人に“ウイルスを取り除きます”と伝え、サポートをするふりをして、だましていくのが特徴です。

 この詐欺にあった県内の60代の男性が、被害を防いでほしいと警察に提供した、実際の音声データをもとに対策をお伝えします。

 

20230222f_3.jpg

60代の男性
「【会社名「●●●」】サポートですか」。
「プラットフォームセキュリティという警告が出てます」。

 

20230222f_4.jpg

サポートセンターの担当者名乗る人物
今ね、パソコンの問題は、よくわかるために解決するためにパソコンの遠隔操作します・・・

 

サポートセンターの担当者を名乗る人物の話しを実際に聞くと、発音やことばの使い方から、外国人が話しているようにも聞こえます。パソコンを遠隔操作して、対処するという趣旨の話をしたあと、別の人物にかわります。

 

20230222f_5.jpg

サポートセンターの担当者名乗る人物
今ちゃんと動いてないので。すぐにこのパソコンはね。いま守るために、このパソコンを直すためにお金がかかります。料金ですこれがね。このパソコンは直すために3万円だけでかかります

 

20230222f_6.jpgセンターの担当者を名乗る人物は、コンビニで電子マネーのカードを購入して支払うよう求めます。男性は近くのコンビニで電子マネーを購入。カードの裏にある番号をサポートセンターの担当者を名乗る人物に伝えますが。

 

20230222f_7.jpg

サポートセンターの担当者名乗る人物
お客様のね。何かこれが間違えて入力してたので。 そのカードがいま無効になりました

 

男性は、何回も電子マネーの購入を求められて不審に思ったため、途中で詐欺に気付き、被害は3万円で済んだといいます。

 一度電話をかけてしまうと、どんどん誘導されていってしまうサポート詐欺。

被害にあった男性は「突然大きな音とともに警告文がでて、パニックになってしまい、電話をかけるしかないと思った」と振り返っています。

 このような混乱に乗じて何度も電子マネーを購入させられ、なかには300万円以上の被害にあった人もいます。だまされてしまう心理について、特殊詐欺の原因を分析している専門家に聞いてみました。

 20230222f_8.jpg岩手大学 人文社会学部 鈴木護准教授

だまされる人の多くは、いまのトラブルは自分には手に負えないものだと感じて焦ってしまいます。そんな心理状態のときに、いまネットの向こう側にはパソコンを元通りにしてくれる人がいると思ってしまい、頼ってしまう。パソコンを直してくれる人に、対価を払うためにコンビニに行くという、本人にとっては当然の流れで動いてしまいます。さらに、自分は、だまされてるわけではなく、パソコンが直るという思いで行動しているので、どんどん深みにはまっていく

 

不安な心理を巧みに利用していくサポート詐欺。

警察は次のような注意点を呼びかけています。

 20230222f_9.jpg県警察本部 ニセ電話詐欺対策室 宮本寿謙課長補佐

基本的にコンビニエンスストアで売られている電子マネーカードを購入して、「料金を支払え」というものは、すべて詐欺なので、もし電話でそのような要求されても絶対に支払わないでいただきたい。まずは自分で慌てて判断せずに警察に相談してほしい。

 

3つのポイント

20230222f_10.jpg警察が呼びかけているサポート詐欺にだまされないためのポイントです。

①「ウイルスに感染した」という表示が出ても電話をかけない。

②電子マネーで支払いを求められた場合は、特殊詐欺だと考える。

③不安を感じたら警察や親族に相談する。

 

一度の被害でターゲットに

警察によりますと、こうした特殊詐欺は、一度だまされるとターゲットにされてしまい、犯罪グループが、さまざまな手口で次から次へ、だまそうとし、被害が大きくなることがあるといいます。

 こうした特殊詐欺では、“アポ電”と呼ばれる犯罪の予兆となる電話がかかってきます。

 

“アポ電”とは

20230222f_11.jpg「アポ電」とは、「アポイント電話」を省略したもので、犯罪を行うための情報を聞き出そうと、探りを入れる電話です。このアポ電で“財産がどれぐらいあるのか”や“1人暮らしかどうか”などを聞き出します。そのうえで、家族を装ってだます「オレオレ詐欺」や、保険料の払い戻しが受けられるなどと持ちかける「還付金詐欺」などの犯行に及びます。

 

20230222f_12.jpg犯罪グループは、この「アポ電」で家族や警察官、行政の職員などを装いながら、住所や氏名、資産の状況、それに預金している金融機関などを巧妙に聞き出そうとします。

  

「アポ電」から強盗に発展

こうして聞き出した情報は、実は、特殊詐欺だけにとどまらず、ほかの犯罪にもつながる危険性があるといいます。

 

20230222f_13.jpg茨城県警本部ニセ電話詐欺対策室 和田健夫室長
アポ電で、もし電話の相手に個人情報を教えてしまったら、強盗や窃盗のための情報として使われかねない。不審な電話がかかってきたときは、絶対に名前や住所、預金額などを話さないようにしてください

 茨城県内では4年前、犯罪グループが高齢の夫婦の家に押し入り、バールなどで殴って、現金を奪う強盗傷害事件がありました。

この事件の5日前には、「キャッシュカードの番号と暗証番号を教えてほしい」などという、いわゆる「アポ電」がかかってきたといいます。最近、こうした手口は全国でも相次いでいます。

 

警察は、ことしに入ってわかった広域強盗事件のなかには、アポ電が関係していた疑いのある事件もあるとして、アポ電と強盗が関連していた可能性についても調べています。

 

身を守るための対策は

警察は、身を守るためには不審な電話の相手とは話しをしないことが一番だとしています。

 

20230222f_14.jpg対策としては、家にいるときも留守番電話に設定し、すぐに電話に出ないこと。電話などで個人の情報を聞かれた場合には、絶対に教えないこと。「アポ電」など不審な電話を受けたときには110番通報することなどを、呼びかけています。

 

 

この記事に関連するタグ

最新の記事