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"金魚すくいの街"復活へ!全国大会への挑戦

執筆者のアイコン画像郡司掛弘典(カメラマン)
2022年09月20日 (火)

水の恵みいかした金魚の産地・行方市

江戸時代から日本の夏を彩ってきた「金魚すくい」。

茨城県南部、霞ヶ浦と北浦の2つの大きな湖に挟まれた行方市は昭和30年頃から金魚の養殖が盛んで、関東屈指の金魚の産地として知られています。

20220916g_1.jpg「行方金魚すくいの会」の会長・川井洋一さんは、金魚で行方市を盛り上げたいと、金魚養殖の傍ら2008年に地元金魚販売業者と会を結成しました。以来毎年行われてきた「行方金魚すくい大会」の開催など金魚をいかした街おこしに取り組み、行方市は次第に“金魚すくいの街”として県内外から人が集まるようになりました。

20220916g_2.jpg川井さん
地域とか年齢とか関係なしにみなさん集まってくれるので、行方市が盛り上がるようにと思ってやってきました。

 

“金魚すくいの街”大ピンチ!起死回生かけ全国大会へ!

しかし新型コロナの影響が“金魚すくいの街”にも忍び寄ります。
外出自粛が始まると金魚すくいのために街を訪れる人は激減。さらに全国各地で夏祭りなどが自粛されると金魚の出荷自体が減り、廃業に追い込まれる養殖業者まで…。

 「“金魚すくいの街”の灯を消したくない」。

その思いだけで細々と金魚すくい大会だけは続けてきたものの、参加者が集まらず大会の存続もギリギリの状態だといいます。

川井さん
誰のせいでもねぇんだからしょうがねぇよな、こればっかりは。
続けていればそのうちって感じで。

我慢に我慢を重ねて迎えた、3年目の夏。
川井さんのもとにうれしいニュースが舞い込んできました。
奈良県大和郡山市で2年間中止になっていた金魚すくいの「全国大会」が、この夏再開されることになったのです。

全国大会で活躍し好成績を残せば、もう一度行方の金魚すくいをアピールできるかもしれない。会長みずから出場することを決めました。

 川井さんが出場するのは団体戦。3人で3分間金魚をすくい、その数を競います。さっそく仲間2人と共にチームを結成し本番さながらの練習を始めたまでは良かったのですが…。

20220916g_3.jpg「ダメだな…」

 決勝へのボーダーラインは50匹。すくえたのは3分で25匹でした。3人とも30秒以上を残して丸い枠に和紙を張った「ポイ」が破れ、最後まですくい続けられなかったのが原因です。

ベテランならではの秘策「時間差作戦」

そこで考え出したのが「時間差作戦」です。
スタートから序盤は2人ですくい、1人は待機してポイを温存。
金魚すくいでは、後半になればなるほど金魚はバテて水面近くに浮いてくるため、すくいやすくなるといいます。
そこを濡れていないポイで一網打尽にしようというのです。

 金魚の動きを熟知したうえで3分間を有効に使い切る、“金魚すくい”を知り尽くしたベテランならではの作戦です。

成果はすぐに現れました。

20220916g_4.jpg3分間で…「96匹!」

手応えをつかみ、決戦の舞台・奈良県へ乗り込みます!

“金魚すくいの聖地”で挑む全国大会

20220916g_5.jpg全国有数の金魚の産地、奈良県大和郡山市。

“金魚すくいの聖地”とも言われる「金魚スクエア(多目的体育館)」には全国から150チームが集まり、3年ぶりとなる全国大会に会場は熱気に包まれていました。

 参加チームの入場行進が終わると、まずは予選です。

川井さんたちも決勝に向け50匹をめざし、いざスタート!

20220916_6.jpg 序盤から順調に数を稼ぎますが…

「しまった!」

時間差で3人目の川井さんが加わった直後、残り1分以上を残してメンバー2人のポイに穴が!
このまま予選敗退か・・・と誰もが思った、次の瞬間。

20220916g_7.jpg ひとすくいで2匹!

さらには4匹すくいも炸裂!
時間差作戦が功を奏した怒濤の追い込みで、結果は56匹。

見事予選通過です!

「地元に活気を取り戻したい」川井さんの思い

そして、ついに決勝。
「位置について、よーい、スタート!」

日本一を決める戦いの火蓋が切られました。 

仲間の養殖業者たち、「行方金魚すくいの会」のメンバーたち、金魚すくいを楽しみに来てくれる子どもたち。行方の思いを背負って挑んだ3分間は、あっという間に過ぎていきました。

 …結果は68匹。
150チーム中13位と入賞は逃したものの、3年ぶりの全国大会で久しぶりに金魚すくいの楽しさをかみしめた川井さん。いつもどおりの力を出し切れたと晴れやかな笑顔を浮かべていました。

20220916g_8.jpg大会後、川井さんは次なる目標を話してくれました。

川井さん
小さくてもいいので、行方市で続けている金魚すくい大会を今年も開きたいです。そして少しずつでも人を増やして、また街に賑わいを取り戻したいです。

 再び“金魚すくいの街”を復活させて、みんなをすくうために。

 

 

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