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いくつになっても走りたい シニアライダーの挑戦

執筆者のアイコン画像いば6スタッフ
2022年07月13日 (水)

バブルに沸いた80年代、日本は空前の“バイクブーム”でした。

国内の二輪車生産台数がピークを迎えたこの頃、オートバイは「若者の乗り物」として人気を博し、16歳になったら免許を取るのが当たり前、そんな時代でした。

当時オートバイに憧れる少年だった私(現在50代!)は、その頃若者だった「お兄さん」たちが6月下旬に筑波サーキットに集まると聞いて、取材に伺うことにしました。

 

初開催!60歳以上限定のレース

20220713k_1.jpg鳴り響くエンジン音、車体を深く寝かせコーナーを疾走するオートバイ。

6月25日と26日に筑波サーキットで開かれたオートバイレース。参加条件は、「60歳以上」です。

あのバイクブームに熱狂した若者たちもすでに還暦。そんな人たちにレースを楽しんでもらいたいと、筑波サーキットが開きました。
日本モータースポーツ協会(MFJ)のお墨付きのレースで、国内初開催。最高齢の82歳まで20人が参加しました。 

20220713k_2.jpg

レースに目覚めた遅咲きライダー

その中の1人、土浦市の関川剛さん、61歳です。

バイクブームだった高校生の時に免許を取得。子育てが一段落した46歳から本格的に乗り始めたといいます。

最初は妻を後ろに乗せてツーリングを楽しんでいましたが、行きつけのバイクショップでレースのサポートに関わったのがきっかけで、レースの魅力にはまりました。

20220713k_3.jpg関川さん
実際にレースに参加し、どうやったらタイムを縮められるのかを考えるようになってからは、レースが楽しくて仕方ないです。

 

速さを追求①“軽量化”

少しでも早く走るために大切なのは“軽量化”です。

レースでは軽ければ軽いほど良いタイムにつながります。

市販のオートバイを改造した愛車は、ライトや方向指示器などの保安部品は全て外し、外装も軽いプラスチックに変えました。

20220713k_4.jpgさらに、自分自身も“軽量化”を図ります。ダイエットのため昼食は基本的にサラダだけ。これで8キロの減量に成功しました。

体力維持を兼ねた週4日のウォーキングも怠りません。雨の日は近所の大型ショッピングセンターの中を歩いて“週4日”を死守する、力の入れようです。

 

速さを追求②サーキット攻略・カギは“ブレーキング”

舞台となる筑波サーキットは「テクニカルコース」とも呼ばれ、直線が短くライダーの技術が求められます。

攻略のカギは、最終コーナーでいかにスピードを落とさずメインストレートに入るか。

これまで最終コーナー手前でブレーキをかけていましたが、「ブレーキをかけずに最終コーナーに入るのがコツ」だと筑波をよく知るプロライダーに教わり、練習を重ねます。

20220713k_5.jpg

関川さん
人に負けるのが嫌だというのは強くあります。タイムを縮めるためにできることは、すべてやってみようと思っています

 

関川さんを支える“家族の絆”

真剣にレースに取り組む関川さんを家族もサポートしています。妻の礼子さんはサーキットに毎回同行し、関川さんの走りを写真に収めています。もっと速く走るためにはどうすればいいか、改善点を見つけるのに役立てているそうです。

20220713k_6.jpg礼子さん
写真を撮っているので、走りがかっこよくなっていくのはうれしいですね。タイムが上がればうれしそうだし、私も一緒に楽しむつもりで撮影しています

60歳の誕生日、礼子さんからのプレゼントは赤いレーシングスーツでした。“還暦の赤いちゃんちゃんこ”だと笑う関川さん。

ふと見ると、袖に「あーたん♡」という文字が入っていました。

20220713k_7.jpg理由を聞くと、幼かった娘が礼子さんを「お母さん」と呼べず、「あーたん♡」と呼んでいたことを教えてくれました。

今も関川さんは礼子さんを「あーたん♡」と呼んでいるそうです。

感謝の気持ちを込めたつなぎに身を包み、本番に挑みます。

 

いよいよ決勝、シニアライダー駆ける!!

決勝当日、礼子さんを「あーたん♡」と呼んでいた娘の晴香さんも駆けつけました。

関川さん
妻や子供たちが来ているから『いいとこ見せよう』と思うと転ぶので、楽しむことだけを考えます。精一杯頑張ります

20220713k_8.jpg午前中の予選では、参加20台中3位の好位置に付けた関川さん。

気温33度を超える暑さの中、決勝レースがスタートしました。

 

レースはサーキット12周。

関川さん、幸先良くスタートを決めハイペースで周回を刻みます。

20220713k_9.jpgしかし終盤、第1ヘアピン手前でミスが出ます。

ブレーキを強くかけ過ぎたためバランスを崩し、車体がコーナーの外側へ。その隙に内側から抜かれてしまいました。

 

走りきった笑顔のライダーたち

およそ14分あまりで終わった決勝レース。

最高齢82歳のライダーを含む20人全員が、無事完走しました。

20220713k_10.jpg関川さんの結果は5位。

終盤のミスを悔やみつつも、参加者がサーキットで紹介され会場が大歓声に包まれると、清々しい表情でこう話してくれました。

関川さん
楽しかったです。もっと筑波走り込んで、もっともっと速くなりたいと思います

— 関川さんにとってバイクとは?
「人生です!」

あの頃私が憧れた「お兄さん」たちは、60歳を越えても好きなことを心から楽しむカッコイイ姿と、素敵な笑顔を見せてくれました。

 

 

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