2017.06.19

『維摩経』愛すべき舎利弗!

維摩経。物語の面白さに引き込まれるうちに、大乗仏教の中心となる教えが繰り返し出てきて、徐々に体に染み込んでくるような感覚を覚えました。
釈徹宗さんの名解説と共に、私にとって忘れがたいのは、舎利弗(しゃりほつ)との出会いです。いえ、むしろ私は「再会」と呼びたいんです。
釈さんの著書によれば「舎利弗は、数多い釈尊の弟子の中でもナンバーワンの人物」。病気になった維摩さんのお見舞いに誰を行かせるか決めるときも、釈迦が最初に指名したのが舎利弗ですから、その信頼の厚さが伺えるというものです。
しゃりほつ、ねぇ、と台本を読んでいるとき、ふと、頭の中からある声が響いてきました。
子供の頃、祖父母と一緒に仏壇の前で聞いていた、お坊さんがお経を読む声です。
「しゃりーほー、しゃりーほー・・・・・」
あの「しゃりほー」ってもしかして舎利弗のこと?
釈さんにきいてみると、「そうです、お経だと確かにしゃりほーって聞こえますね。
しゃりほーと言っていたということは、島津さんは阿弥陀経を聞いていたんですね。」と、釈さんのおかげで、私が聞いていたお経の名前まで判明。
なんでも、阿弥陀経は釈迦が舎利弗に語りかける形になっていて、それで「舎利弗よ」という意味で「しゃりほー」が何度も出てくるのだそう。
子供の頃に、セミの鳴き声と共に聞いていたあの言葉が、ここで結びつくとは―。
釈さんは「お経をちゃんと聞いてくれているってことがわかって、嬉しくなりました。まじめにお経読もうって思いましたよ」とニコニコされていました。

 その舎利弗、維摩経では何度も維摩さんにやりこめられて、かわいそうな役回りです。「この世の中は汚いものが沢山あるのに、仏の国がこの社会と共にあるのでしょうか?」と思ったり、維摩さんのお宅では、文殊菩薩と維摩のやりとりを皆が固唾を呑んで見守っているときに「どこに座ればいいのかな」と椅子を探したり。
椅子の時はさすがに私も「ちょっと空気読みなさいよ~、今、椅子のことなんか考えたら怒られるに決まってるでしょ」と舎利弗に突っ込みたくなりました。
でも見方を変えると、誰もが思っていることを素直に表せるって偉大だ、とも言えるでしょうか。わかったフリをする方が、賢そうに見えるし、叱られるリスクもないわけです。そこを尋ねる舎利弗は、とってもピュアな人に見えてきます。
伊集院さんも収録後半には「なんか舎利弗のこと好きになってきちゃったなぁ」と言っていました。番組をご覧になった皆さんはいかがでしたでしょうか?

  
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