2018.2.19

ノートル=ダム・ド・パリ

 毎度のことですが、この作品も、私はこれまで読んだことがありませんで、収録を前に、本を手に取り読み始めたわけです。ところが、最初のおよそ90ページを読む間に、寝落ちすること2回…。
「私、この作品を最後まで読めないんじゃないか」と思いました。放送でも申し上げましたが、作品の冒頭、聖史劇を観るために集まった群衆の様子が延々と描かれているのです。
一体誰を中心に物語が進んでいくのかわからないまま読み続け、カジモドが登場してどれだけほっとしたことか。冒頭から主人公が現れ、ぐっと読者をひきつけていくようなタイプの小説とは異なるつくりに、最初は戸惑いました。
それにしてもなんでしょうね、この重厚感。作品を読んでいる間中、頭の中で交響曲が鳴り響いているような感覚がありました。それでいうと、冒頭の数十ページは、クラシック音楽の演奏会で、曲の演奏が始まる前にオーケストラの団員がそれぞれ自分の楽器を鳴らす時間がありますよね。小鳥のさえずりのような高い笛の音から、弦楽器はもちろん低音を響かせる楽器まで、様々な音が混ざり合う、あの時間によく似た感覚でした。祭りに集まった群集の混沌。その中から、カジモド、エスメラルダなどの主要人物が立ち上がってくるように、交響曲が始まるのです。
私のように、読むのが遅かったり難解な文章が苦手だったりする方は、第3篇も読み通すのにやや骨が折れるかもしれません。でもそのせいで読むのをあきらめてしまうのはあまりにもったいないです。そこを過ぎれば、あとはもうジェットコースターですから!止まりたくても止まれないくらい引き込まれ、もうティンパニやシンバル鳴りまくりのドラマティックな展開です。

 さて、女性にとっては「気持ち悪い」の一言でしかない、クロード・フロロのエスメラルダに対する愛情。フランス文学史に燦然と輝く「ノートル=ダム・ド・パリ」が、ストーカー恋愛の話(それだけではありませんが)であったことに私は少なからずショックを受けたのですが、収録で鹿島茂さんと伊集院さんが「男ならクロード・フロロの気持ちは誰でも少しは持っている」と、お二人で大盛り上がりするのにもっとビックリしました。盛り上がるお二人に挟まれ、ぽかんと口をあける私。現代の草食系とはほど遠い、男性ホルモンむんむんのお二人でした。特にパリから帰国直後だった鹿島さんは、その立ち居振る舞いといい、めがねの奥から光るまなざしといい、男性の色気が感じられて、私はドギマギ。鹿島さんから、アムールが匂い立つようでした。

今、私が楽しみにしているのは、ノートル=ダム・ド・パリの様々なバージョンをみることです。
原作では悲劇ですが、リメイクされた映画ではその作品ごとに、エンディングが 違うそうなのです。エスメラルダのハッピーエンディングもあるらしい!「お、そうきたか~!」なんてつぶやきながら、原作を知っているという優越感にも浸りつつ、楽しみたいと思います。

  
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