【第17回】2020.4.20 「ピノッキオの冒険」

ピノッキオが悪童である理由

みなさんご存知、「ピノッキオ」。
今回、原作を読んでびっくりしました。
ピノッキオ、悪すぎる!
愛のある助言を無視し続け、悪事に加担、
すべてを失った挙句、
手を差し伸べてくれた恩人までも裏切ります。
失敗しても失敗しても、心を入れ替えません。
子どもを主人公にしておいて、
ここまで徹底して悪の道にどっぷり浸からせるのはなぜ?
どうしてコッローディは、こんな表現をしたのでしょう?

その疑問は、和田さんの解説ですっきり解消されました。
まず、当時のイタリアが置かれていた状況です。
子どもたちは労働力とみなされ、
低賃金で、一日15時間の労働を強いられていました。
近代化を推し進めるあまり、
子どもらしく遊んだり学んだりといった、
今の日本では当たり前のように与えられている自由が奪われていたのです。
働きたくない、遊びたいと発言することさえかなわない子どもたちに
コッローディは胸を痛め、
奔放で、大人や権力に歯向かってばかりのピノッキオを描いた…、
そう捉えると合点がいきます。
子どもが子どもらしくいられる環境を、大人は死守しなければならない、
そして、温かい目で見守り続けたい、
「ピノッキオの冒険」は、そう思わせてくれました。

さて、現代の日本はどうでしょう。
核家族化が進み、一人っ子も増え、
祖父母やご近所、兄弟姉妹など、大勢の人を巻き込んで暮らす
子どもは少なくなりました。
閉じられがちな家庭で、親の顔色をうかがいながら
理想像を演じている子はどれくらいいるでしょう。
勉強や習い事に追い立てられ、いたずらして叱られたり
大声で笑ったり泣いたり、くたくたになるまで外で遊んだりする
時間を失ってはいないでしょうか。

かく言う私も、塾の広告や、書店に並ぶ受験ガイドを見ると
うちだけぼんやりしてちゃだめなのかな?と
気が焦ることがあります。
そんな時、ピノッキオを思い出すようにしたいです。
子どもが子どもでいられる素晴らしさ。
失敗して間違って、
そこから自分ではい上がって生きていく過程でこそ
人は育つと信じ、待つこと。
親修行の道はまだまだこれから。
「ピノッキオの冒険」を本棚に置き、戒めてもらいながら
日々過ごしたいと思います。

今月も学び多き名著との出会いに感謝。
ありがとうございました。

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