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アニメ職人たちの凄技アニメ職人たちの凄技

【第30回】
今回、スポットを当てるのは、
高橋昂也

プロフィール

高橋昂也 1985年 愛知県生まれ。
東京藝術大学大学院デザイン科修了。
アニメーション作家・イラストレーター。フリーランス。
テレビ、博物館、ゲームなどの分野で活動する傍ら、自主作品の制作も行なう。

高橋昂也さんに「ソラリス」のアニメ制作でこだわったポイントをお聞きしました。

今回、アニメを作る機会をいただいて、初めてレムの小説を読みました。
静けさの中にある恐怖と、意識が拡張していくような興奮を味わいながら、細部にも注意して読み進めました。
自分の理解を遥かに超えたものが確かにあって、それとどう向き合うか。
これは僕の個人的な制作活動でも大事にしているテーマだったので、今回ソラリスに出会えて本当に良かったです。

作品の舞台は年代不詳の未来ですが、アニメの仕上がりとしては自分なりの「1960年頃の東欧」を意識しました。
分厚い雲と張り詰めた冷気、合理主義を貫いた建築や製品デザインを参照しながら、ステーションやその他の機械、周辺環境を造形していきました。
レム自身も語っている、アメリカ的なSFとは一線を画す世界観を、アニメでも模索しました。

ソラリスは過去に2度映画化されていますが、どちらも映画としての作品性が強いものだったので、今回のアニメではできるだけ小説に忠実に映像化していきました。
小説ではかなり冷静にディティールが描写されているので、絵に起こしていく作業はスムーズでした。
でも映像の情報量が多すぎると読書体験を損ねてしまうので、ディティールの見え具合には注意しました。

小説の中で特に興味を惹かれたのが、「ミモイド」や「長物」「対称体」といった海の様々な変形や挙動を記した「ソラリス学」の部分でした。まさに奇想天外、でも未知のものとしてのリアリティを強く感じました。
このあたりを一つ一つ視覚化するのも面白いだろうなと思いながら読んでいましたが、マニアックすぎますね。

高橋昂也の凄技にご注目ください!

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