おもわく。

「万葉集」

現存する中では日本最古の和歌集「万葉集」。2014年度最初の「100 分de名著」では、日本人の心の原点を探るために、この万葉集を取りあげます。
万葉集の中で最も多いのが57577の短歌です。中には5と7を長く繰り返す長歌もありますが、全てが57調です。和歌は宴などで声に出して披露されるものでした。そのため声の出しやすさから、自然に57調が定まったと考えられています。
万葉集は、様々な時代に詠まれた歌を、後になって集めて編集したものです。そのため時代によって、歌の作風が大きく変わります。そこで今回は、万葉集の歌を、時代ごとに4期に分類して解説することにしました。歌の変化を明らかにすることで、古代の日本が、どのように移り変わっていったかを知ることが出来るからです。
番組では、額田王、柿本人麻呂、大友家持など、万葉集の代表的な歌人にスポットをあてながら、古代の人々の“心の歴史”を読み解いていきます。

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第1回 言霊の宿る歌

【放送時間】
2014年4月2日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2014年4月9日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2014年4月9日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
佐佐木幸綱(歌人・早稲田大学名誉教授)

最も古い、万葉集第1期に作られた歌の詠み手は天皇や皇族たちだ。野で女に語りかけ雄略天皇、朝鮮半島に向かう兵を鼓舞した額田王の歌などが有名だ。実はこうした歌が作られた背景には、言霊(ことだま)の存在がある。言霊とは、言葉に宿られた不思議な力のこと。古代の日本の人々は、言葉に対して特別な感情を抱いていたのだ。第1回では、万葉集の全体像をおさえると共に、古代の人々が歌にこめた思いを明らかにする。

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第2回 プロフェッショナルの登場

【放送時間】
2014年4月9日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2014年4月16日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2014年4月16日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
佐佐木幸綱(歌人・早稲田大学名誉教授)

第2期では、第1期で詠み手となっていた皇族に代わって、柿本人麻呂などの宮廷歌人が活躍し始める。宮廷歌人とは、儀式などで歌を詠んだいわばプロの詠み手のことだ。彼らは天皇を神として賛美する歌を数多く残した。しかしなぜこの時代に、天皇が神としてたたえられたのだろうか?その背景には、国家の中央集権化という大きな時代の変化があった。第2回では、宮廷歌人たちの歌を通して、古代日本の歴史のうねりを描く。

名著、げすとこらむ。ゲスト講師:佐佐木幸綱「混沌・おのがじし・気分」
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第3回 個性の開花

【放送時間】
2014年4月16日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2014年4月23日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2014年4月23日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
佐佐木幸綱(歌人・早稲田大学名誉教授)

第3期では、個性的な宮廷歌人が続々と登場する。この時代は、個人としての意識が強くなった時代だった。そのため、人間の内面や他人への共感に重きをおく作品が多くなった。代表的な歌人としては、田子の浦の富士を歌にした山部赤人、亡き妻への思いを読んだ大伴旅人、庶民の厳しい暮らしを描写した山上憶良などが有名だ。第3回では、万葉集第3期の作品から、人間の心や社会の現実を鋭く見つめた歌を味わう。

もっと「万葉集」
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第4回 独りを見つめる

【放送時間】
2014年4月23日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2014年4月30日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2014年4月30日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
2014年4月30日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
2014年5月7日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
2014年5月7日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
佐佐木幸綱(歌人・早稲田大学名誉教授)

第4期では、民衆が作った歌が急増する。その1つが東国の人々による方言を交えて詠まれた「東歌」だ。また九州防衛の任務を担った防人に徴用され、家族と別れを嘆いた「防人歌」も有名だ。こうした万葉集を、中心になってまとめたのは、大伴家持だった。繊細な感覚を持っていた家持は、憂いのこもった歌を数多く残している。第4回では、家持の歌に込めた心情を推理しながら、世の不条理と闘いながら懸命に生きる人々を描く。

NHKテレビテキスト「100分 de 名著」はこちら
○NHKテレビテキスト「100分 de 名著」
「万葉集」2014年4月
2014年 3月25日発売
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こぼれ話。

「万葉集」こぼれ話

万葉集、今回のシリーズでは、歌が作られた時代ごとに4期にわけて解説しました。雄略天皇の歌や柿本人麻呂の歌などは、歴史的な背景が分からないと、そこに秘められた意味が分からないと感じたからです。(なお4期にわける考え方は、番組独自のものではなく、研究者の間では広く知られている分類法です)。また時代を追って解説することで、古代における日本人の心の変遷も分かると判断しました。歌から読む歴史というのも、また面白いかと思います。次回は旧約聖書。こちらも歴史をひもときながら、古代の人々の心を探ります。どうかお楽しみに。

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