おもわく。

「孫子」

「風林火山」「呉越同舟」など、一度は聞いたことのある故事成語。これらの原典となっているのが古代中国の兵法書『孫子』です。
『孫子』は紀元前500年代に呉の国に仕えて活躍した兵法家・孫武によって著されました。当時の中国は、周王朝の基盤がゆらぎ、その隙をついて多くの国が争った時代でした。各国は富国強兵のため、様々な政策をとります。それに応える形で登場したのが、兵法家・孫武が記した『孫子』でした。
『孫子』は単なる戦争論ではありません。深い洞察に基づいた人間論です。そのため時代を越えて様々な人たちの間で読みつがれてきました。武田信玄や徳川家康、さらにはナポレオンなど歴史上の偉人も読んでいたといいます。現代でも、ビジネスやスポーツなどの現場でリーダーの必読書として読まれることが多く、高い人気を維持しています。
番組では、『孫子』に書かれている様々な名言を通して、組織を動かす心構えや、上司や部下とのつきあい方、失敗を避ける心構えなどを紹介。新年度が始まろうとしている今、仕事や家庭との向き合い方を考えるヒントを探ります。

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第1回 戦わずして勝つ!

【放送時間】
2014年3月5日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2014年3月12日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2014年3月12日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
湯浅邦弘(大阪大学大学院教授)

『孫子』は、戦争では、国や軍隊を消耗させずに勝つのが上策であり、勝利を目指すあまり、多くの犠牲を強いるのは下策だと述べた。つまり、兵法書でありながら、戦わずして勝つことを求めているのだ。しかしなぜ孫子は不戦を説いたのだろうか?第1回では、『孫子』著者・孫武の人物像を紹介すると共に、犠牲を最小限にとどめながら、最大限の効果を生む方策を学ぶ。

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第2回 心をつかむリーダーとは?

【放送時間】
2014年3月12日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2014年3月19日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2014年3月19日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
湯浅邦弘(大阪大学大学院教授)

当時の将軍は、国という大きな組織の中では中間管理職のような存在だった。そのため『孫子』には、上司(王)や部下(兵士)に対する人心掌握術が細かく記されている。『孫子』は実現が出来ないような道徳論は説かなかった。そのため『孫子』に書かれたリーダー論は、非常に具体的で実用性が高い。第2回では、将軍に向けて書かれた言葉をひもときながら、中間管理職の心得を読み解く。

名著、げすとこらむ。ゲスト講師:湯浅邦弘「乱世を生き抜くための哲学」
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第3回 勝つための知略

【放送時間】
2014年3月19日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2014年3月26日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります

2014年3月26日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※※この再放送枠は高校野球により放送が休止になる場合があります
そのため3月29日(土)午後2:35~3:00にも再放送枠を設けています

【ゲスト講師】
湯浅邦弘(大阪大学大学院教授)

正面から馬鹿正直に戦っていては、勝利はおぼつかない。そのため『孫子』は、奇策を取ることの大切さを語っている。ただしその奇策とは、決してその場の思いつきで行われるものではなく、用意周到に計算された上でのものだ。この時に重要になるのが、優れた情報をどのようにして入手するか、そして得られた情報をどう管理するかということだ。第3回では、優れた情報操作の方法を語る。

もっと「孫子」
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第4回 勢いを作り出せ!

【放送時間】
2014年3月26日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2014年4月2日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2014年4月2日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
湯浅邦弘(大阪大学大学院教授)

孫子は、個人のスタンドプレーを重視しなかった。そして勝つために最も大事なのは、集団が作り出す勢いだとした。勢いを生み出すためには、部下のやる気を上手に引き出さなくてはならない。そのため孫子は冷徹な計算に基づきながら、部下の操縦法について様々な案を示している。第4回では、孫子の優れた組織論をひもといていく。

NHKテレビテキスト「100分 de 名著」はこちら
○NHKテレビテキスト「100分 de 名著」
「孫子」2014年3月
2014年 2月25日発売
定価550円(本体524円)
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こぼれ話。

「孫子」こぼれ話

「孫子」の書物としての分量は、実は以外に少ないです。文字数をきちんと数えたことはありませんが、400字づめ原稿用紙で17~8枚という紹介もされているので、いわば小冊子のようなものです。
もちろん内容には深いものがあるのですが、総量が短いため、4つのテーマをわけて、起承転結をつけようとすると、「起」にあたる部分が足りないとか、「結」にあたる部分が足りないとか、どこかが不足しがちで、そこを工夫して構成しました。(単純にひとつひとつの名言を羅列して取り上げていく形なら、こうした苦労はないのですが、そうすると頭に入りにくくなります)
次回は、新年度の初回シリーズです。そこで日本人の原点を見つめたいと思い、「万葉集」を選びました。こちらもどうかお楽しみに!

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