おもわく。

世阿弥「風姿花伝」

年の始まりにあたり、1年の計画をたてる人もいるでしょう。そこで「100分de名著」1月シリーズでは、能の理論書「風姿花伝」を取りあげます。 「風姿花伝」の著者は世阿弥。室町時代に、父の観阿弥と共に能の基本を作った人物です。
世阿弥が生きていた時、能は猿楽と呼ばれ、様々な一座が得意技を生かして演じていました。激しい競争に打ち勝つため、世阿弥は自分がつかんだノウハウを、子孫のために数多くの「伝書」として書き残します。その中で最も有名なのが、30代後半の時に記した「風姿花伝」です。演技論、芸術論として書かれた本ですが、その内容は明解で示唆に富み、人生論として読むことが出来ます。
番組では、「風姿花伝」を読み解くことで、競争社会で良い仕事をするためには、何が必要なのか。またより良い人生を送るためには、どんな心がけが大切なのかをひもといていきます。

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第1回 珍しきが花

【放送時間】
2014年1月8日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2014年1月15日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2014年1月15日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
土屋惠一郎(明治大学法学部教授)

世阿弥は、人間が感じる「面白さ」には普遍性が有り、時代や身分を越えることを知っていた。そのため、万人に受ける「珍しさ」をどう演出するかに心を砕き、常に斬新な工夫を凝らしていた。第1回では、世阿弥が仕掛けた様々なイノベーションを通して、世阿弥の信念を明らかにする。

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第2回 初心忘るべからず

【放送時間】
2014年1月15日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2014年1月22日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2014年1月22日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
土屋惠一郎(明治大学法学部教授)

世阿弥は、若手として独り立ちしたころの「初心」を忘れるなと説いた。さらに世阿弥は、若い頃の「初心」とは別に、中年や老年になっても、新たな「初心」が生まれると語っている。実は世阿弥の言う「初心」とは「若い頃の最初の志」という単純な意味ではないのだ。第2回では世阿弥の人生論をひもといていく。

名著、げすとこらむ。ゲスト講師:土屋惠一郎「マーケットを生き抜く戦略論」
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第3回 離見の見

【放送時間】
2014年1月22日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2014年1月29日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2014年1月29日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
土屋惠一郎(明治大学法学部教授)

役者たるもの、ひとりよがりな演技をしてはならない。客をどう引き付けるかが肝心だ。そこで世阿弥は、自分の演じる姿を、客観的に自分の外から見るように心がけろとした。それが「離見の見」である。第3回では、風姿花伝を中心に、他の世阿弥の著作も織り交ぜながら、リアリズムに裏付けられた演技論に迫る。

もっと「風姿花伝」
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第4回 秘すれば花

【放送時間】
2014年1月29日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2014年2月5日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2014年2月5日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
土屋惠一郎(明治大学法学部教授)

世阿弥にとって舞台とは勝負の場だった。そのためどんな時でも、観客をあっと言わせる秘策を用意しておくべきだと記した。権力者や大衆の人気という不安定なものをつなぎとめるためには、マンネリに陥ってはならないからだ。第4回では、人生に戦略を持つことの大切さを語る。

NHKテレビテキスト「100分 de 名著」はこちら
○NHKテレビテキスト「100分 de 名著」
世阿弥『風姿花伝』2014年1月
2013年 12月24日発売
定価550円(本体524円)
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こぼれ話。

「風姿花伝」こぼれ話

「風姿花伝」いかがだったでしょうか。
大学入試で日本史を選んだ人なら、観阿弥と世阿弥の名前は知っていると思いますが、具体的に何をした人かはよく分からないという印象だったかと思います。
わたしも詳しくは知らなかったのですが、企画の立案にあたり調べたところ、テレビ番組のプロデューサーのようなタイプだと思いました。現代に通じるものを感じたため、取り上げることにしました。世阿弥の思想を正確に表すために、「風姿花伝」に加え、別の伝書である「花鏡」の記述も織りまぜながら、構成しています。
次回は、心理学の観点から生きるヒントを探ります。エーリッヒ・フロムの「愛するということ」です。こちらもどうかお楽しみに。

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