おもわく。

『古事記』

「因幡の白ウサギ」「海幸山幸」など、なじみの深い神話が載せられている日本最古の歴史書「古事記」。9月の「100分de名著」では、日本人の起源を知りたいという思いに応え、古事記の奥深い世界を読み解きます。
古事記の特徴は、国家の正式な歴史書とされる日本書紀と比べて文学性が高く、物語として楽しく読むことができることです。また古事記で詳細に記されている「出雲神話」からは、古代国家がどのように形作られていったかをうかがうことができ、歴史の意外な一面をたどることができます。
こうした神話は文字が使われる以前の時代から、平家物語のような「語り」によって受け継がれてきたと思われます。この語りの口調を生かした現代語訳を行ったのが、ベストセラーとなった「口語訳古事記」の著者、立正大学教授の三浦佑之さんです。「語り」では、聞き手の関心をひく事柄が強調されため、物語に脈動感が生まれます。それが古事記の魅力になっていると、三浦さんは言います。
番組では三浦佑之さんを指南役として招き、古老役の語り部が歴史を語るVTRをインサートしながら、古事記の世界を分かりやすくひもときます。そして古事記にある様々な神話を分析し、古代の人々が抱いていた自然観や農耕の起源を探るとともに、日本という国がどのようにして形作られていったのか、ロマンあふれる古代史を探っていきます。

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第1回 世界と人間の誕生

【放送時間】
2013年9月4日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2013年9月11日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2013年9月11日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
三浦佑之(立正大学文学部教授)

古事記では、人間のことを「青人草」と呼ぶ。青は生命力が盛んなことを意味しており、人間を草に例えるかのような言い回しをしている。講師役の三浦さんは、温暖で湿潤な日本では大地から萌え出る草のたくましさに生命力を感じたのではないか―と考えている。第1回では、大地と人を生み出したとされる神、イザナキとイザナミの物語から、古代人の生命観について考える。

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第2回 文化と農耕の起源

【放送時間】
2013年9月11日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2013年9月18日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2013年9月18日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
三浦佑之(立正大学文学部教授)

 イザナキは娘のアマテラスを太陽神として高天の原につかわした。そして息子のスサノヲを海原の神にしようとするが、スサノヲは言うことをきかずに乱暴狼藉を働いたため、高天の原から追放されて地上にやってくる。そして出雲の地でヤマタノオロチを退治することになるが、実はこの物語には、農耕の起源をうかがわせる記述が見られる。第2回では、縄文時代から弥生時代への移り変わりを古事記から描く。

名著、げすとこらむ。ゲスト講師:三浦佑之 古事記はこんなにおもしろい
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第3回 出雲神話という謎

【放送時間】
2013年9月18日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2013年9月25日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2013年9月25日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
三浦佑之(立正大学文学部教授)

スサノヲの子孫である出雲のオホナムヂは心の優しい少年だった。立派に成長し、自分をいじめていた兄たちを打ち破り、国の主=オホクニヌシとなる。しかし天皇家の祖先神・アマテラスに戦いを挑まれ、自分の国をアマテラスに譲ることにした。実はこの神話からは、日本という国がどのように統一されていったのかをうかがうことができる。第3回では、出雲を舞台とする神話の謎に迫る。

もっと「古事記」
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第4回 古事記の正体とは

【放送時間】
2013年9月25日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2013年10月2日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2013年10月2日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
三浦佑之(立正大学文学部教授)

古事記の文章をよく読むと、天皇家の正統性を記す一方で、権力闘争に敗れ去った者や、報われなかった者への共感が強いことが分かる。その例がヤマトタケルだ。古事記のヤマトタケルは、父の天皇からうとまれて都を追われた悲劇の人物として描かれている。同時代に書かれた日本書紀には、こうした悲劇的な面は書かれていない。いったいなぜ、権力から距離を置いた記述が生まれたのだろうか。第4回では古事記の正体について考える。

NHKテレビテキスト「100分 de 名著」はこちら
○NHKテレビテキスト「100分 de 名著」
『古事記』2013年9月
2013年 8月24日発売
定価550円(本体524円)
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こぼれ話。

「古事記」こぼれ話

日本、そして日本人は、どのようにして形作られていったのか。
そして歴史を後世に伝えようとした、古代の名もなき人々の思いとは何だったのか。
今回はそのふたつを推理しました。またアニメーションもかなり凝ってみましたが、いかがでしたでしょうか?

古事記の世界を語ってくれた三浦佑之先生ですが、この番組、少人数で動かしているため常に自転車操業で、盆も連休も正月もありません。そのため最初の収録日が、8月15日というお盆の真ん中での収録となってしまいました。せっかくのお休みの時期を番組のために協力していただき、感謝しております。

 次回は松尾芭蕉の「おくのほそ道」。芭蕉の旅を追う魅力的な映像が満載です。どうかお楽しみに。

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