おもわく。

※今回の放送は昨年1月に放送したシリーズです。
『般若心経』


日本人にとって最もなじみが深いお経であり、今、改めてその価値が見直されている「般若心経」。今回は、2013年1月に放送され、好評を博した「般若心経」をアンコール放送します。
「般若心経」の「般若」とは「知恵」を意味する言葉です。その般若心経で最も強調されているのは「空」という概念です。
世の中は、様々な複雑な要因がからみあいながら、常に移り変わっています。そして世の中の変化のすべてを、人間が完全に予測することはできません。
例えば気候変動にしても、宇宙や気象のメカニズムからある程度のことは予想できます。しかし次の氷河期がいつになるか、はっきりとしたことはいえません。つまり人間は、何がいつどのような形で起きるかを、正確に知ることは出来ないのです。
古代インドの仏教徒たちは、この不確かな世の中をどうとらえるべきか、様々な考察をめぐらしました。その中から生まれてきたのが「空」の思想です。変化し続ける世の中の背後には、複雑すぎるがゆえに、人智が及ばない何らかの法則がある。その「見えない変化の法則」を「空」と呼んだのです。
「般若心経」は、私たちは「空」のもとで生きているとしています。そして人間が、どのような心構えで人生をおくるべきなのかを語っています。
番組では、日本人の心の原点ともいえる般若心経を読みときながら、「空」の思想を今どのように受けとめるべきかを考え、生きるヒントを探っていきます。

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第1回 最強の262文字

【放送時間】
2013年1月9日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2013年1月16日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2013年1月16日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
2014年9月3日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
2014年9月10日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2014年9月10日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
佐々木閑(花園大学国際禅学科教授)

仏典を求めてインドに赴いた唐の玄奘三蔵は、厖大な経典を翻訳した。そのひとつが、日本に伝わった「般若心経」である。翻訳にあたって玄奘三蔵が工夫したのが「般若心経」を読経したときの「音の響き」であった。なぜ「音」が重要だったのだろうか?第1回では「般若心経」の基本をおさえると共に、「音」にこめた玄奘三蔵の狙いを明らかにする。

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第2回 世界は“空”である

【放送時間】
2013年1月16日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2013年1月23日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2013年1月23日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
2014年9月10日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
2014年9月17日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2014年9月17日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
佐々木閑(花園大学国際禅学科教授)

世の中は、様々な複雑な要因がからみあいながら、常に移り変わっている。そして世の中の変化のすべてを、人間が完全に予測することはできない。古代インドの仏教徒たちは、この不確かな世の中をどうとらえるべきか、様々な考察をめぐらした。その中から生まれてきたのが「空」の思想だ。第2回では「空」の基本をおさえることで、固定概念にとらわれない生き方を探る。

名著、げすとこらむ。ゲスト講師:佐々木閑『「日本で一番人気のお経」の新しい見方』
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第3回 “無”が教えるやさしさ

【放送時間】
2013年1月23日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2013年1月30日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2013年1月30日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
2014年9月17日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
2014年9月24日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2014年9月24日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
佐々木閑(花園大学国際禅学科教授)

般若心経は、知識を得ることで満足してしまい、真実を理解する努力をしなくなることを戒めている。その一方で、悟りにゴールはないという。人間は永遠に未完成な存在であり、完成することはありえないからだ。第3回では、慈悲の心の大切さなど、“無”に秘められた、般若心経の中の優しさについて語る。

もっと般若心経
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第4回 見えない力を信じる

【放送時間】
2013年1月30日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2013年2月6日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2013年2月6日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
2014年9月24日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
2014年10月1日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2014年10月1日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
佐々木閑(花園大学国際禅学科教授)
【特別ゲスト】
玄侑宗久(作家/僧侶)

ゲストとして、僧侶で作家の玄侑宗久さんを招く。玄侑さんは、般若心経は「生きる勇気を与える呪文」だと語る。人間は言葉によって世界を認識している。しかし言葉には、実は限界がある。そこで人間の生命力に、直接働きかける「呪文」として生み出されたのが、般若心経だと言うのだ。最終回では、生きる力を取り戻す方法について語りあう。

NHKテレビテキスト「100分 de 名著」はこちら
○NHKテレビテキスト「100分 de 名著」
『般若心経』2014年9月
2014年8月25日発売
定価550円(本体524円)
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こぼれ話。

「般若心経」こぼれ話

実は以前放送した「相対性理論」は、後の「般若心経」をにらんでの企画でした。
宇宙の法則について学んでおくと、般若心経で「空とは万物の背後にある法則である」と言われた時に、理解が早まるのではないかと思ったからです。さらに「星の王子さま」の回では、「見えない真実」に光をあて、抽象的な思考に慣れておくようにしました。
そしていよいよ、この「般若心経」となったわけですが、相当難しい内容なので、語り手の佐々木閑さんと、長い議論を重ねながら、解釈を考えていきました。「色即是空」「空即是色」についても、これまでの解説書とは異なる視点で紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
般若心経は、心のあり方を変えるための「触媒」(化学反応の反応速度を速める物質、物質自身は反応の前後で変化しない)のようなものであり、様々な見方があって当然ですので、これをきっかけにして、自分なりの考えを深めていくのも良いかと思います。
10月は随筆文学の名著「枕草子」をお届けします。どうか引き続き「名著」の奥深い世界をお楽しみください。

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