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もっとパンセ

人間というものは概して、自分の頭で見つけた理由のほうが、他人の頭の中で発見された理由よりも、深く納得するものだ。
(断章10)

わたしたちはひどく思いあがった存在だから、全世界の人から知られるようになりたい、いや、自分たちがこの世から消えた後でさえ、未来の人に知られたいと思っている。それでいながら、自分の周囲の五、六人の人から尊敬を集めれば、それで喜び、満足してしまうほどに空しい存在なのだ。
(断章148)

人が、告白した案件に対して利害関係を持っていないなら、その人は絶対に嘘をついているはずがない、と断定することはできない。なぜなら、この世には、嘘をつくという目的のためだけに嘘をつくという人も存在するからだ。
(断章108)

あいつは新しいことは何一つ言っていない、などと非難しないでほしいと思う。というのも、わたしの場合、新しいのは内容の配置の仕方だからだ。(中略) 同じ言葉でも異なった並べ方をすると別種の思想が生まれるのと同様に、同じ思想であっても、それが異なった並べ方をされると、別の論旨がかたちづくられるものだからだ。
(断章22)

自然な文体に出会うと、人はすっかり驚いて、夢中になる。なぜなら、一人の著者を見ると思っていたところで、一人の人間と出会ったからだ。
(断章29)

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