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アニメ職人たちの凄技アニメ職人たちの凄技

【第74回】
今回、スポットを当てるのは、
川口恵里(ブリュッケ)

プロフィール

多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。2016年より株式会社ブリュッケに所属。アニメーション作家/イラストレーターとして、TV番組、企業CM、音楽PV、ワークショップ等、幅広く手掛ける。線画台を用いた、空間と光を活かした画づくりが得意。

川口恵里さんに「100分de災害を考える」のアニメ制作でこだわったポイントをお聞きしました。

第1回「天災と日本人」において、難しいと感じたのは、災害をどのように描くか でした。アニメーションという表現手法を用いると、ビルを倒すことも簡単な訳ですが、視聴者の中には、実際に被災経験のある方も少なからずいらっしゃると思うと、どのレベルの表現が適切なのか悩みました。

また、第1回においては、ニュース等からどんなに災害に関する情報を得ても、「自分ごと」としては考えられず、忘れてしまう人間の性や、まだ災害を知らない世代の方を描く面が多かったので、登場する人物は全部自分と思って描くようにしました。
土砂崩れに巻き込まれるのも自分。テレビの前でゴロゴロ過ごすのも自分。成長するのも歳を取って亡くなるのも自分。テレビ越しに災害のライブ映像を見ながらラーメンを食べるのも自分・・・
誰かを非難してるわけではなくどんな状況を描いても、誰しもが「そうなんだよね。」と感じられることを目指して描きました。

第2回「先祖の話」では、昔は誰かを力付けるために「ご先祖になれ」という言葉が使われていたことや、存命の人が先祖になるという話が新鮮でした。
私は先祖代々続く家業も、持ち家とも無縁のため、「子孫のために計画する」という言葉にピンとくるものが無く、どんな家系が最も当てはまるのか考えて酒蔵さんや農家さんを描いてみました。
職業も結婚も子を持つことも生き方も自由になった今、改めて無関係に思えていた「子孫繁栄」という言葉を見つめ直しました。

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