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アニメ職人たちの凄技アニメ職人たちの凄技

【第68回】
今回、スポットを当てるのは、
アダチ マサヒコ

プロフィール

アダチ マサヒコ 1983 大阪生まれ
2010 東京芸術大学大学院デザイン科修了
「BS歴史館」「NHKスペシャル・故宮」「シャキーン!」のアニメーションを担当。
2015年12月~2016年1月放送分の「みんなのうた」では過去に「ねむいいぬ」「おつきさまのうた」「ぼくのそらとぶじゅうたん」「願いごとの持ち腐れ」を制作。
最近では「3341」を制作した。
100分de名著では、「遠野物語」「枕草子」「ハムレット」「茶の本」「荘子」などを手がける。筆の質感などを生かした繊細なタッチが持ち味。

アダチ マサヒコさんに「ペストの記憶」のアニメ制作でこだわったポイントをお聞きしました。

「ペストの記憶」には当時の人々がペスト流行時にどのように生き抜いて行ったか、生々しく描写されています。

人の不安な気持ちにつけ込んだ怪しい商売が横行したり、根拠のない噂話が広がったり、日々の感染者数に一喜一憂したり、罹患した人への差別を含めた様々な反応などがあったり、、それは今のコロナ禍を生きる私たちの行動を見ているようでとても複雑な気持ちになりました。

それぐらい現代とも共通することが多い作品なので、視聴者の方にはアニメーションに対しても身近に感じてもらいたく、アニメーションの世界観としては抽象的な表現は避け、なるべく具体的に描写するように努めました。

その中でも特に光に注意して制作しました。
その場面がどの時間帯なのか、昼なのか夜なのか、屋外なのか室内なのか、はたまた光の当たらない路地裏なのか、など「ペストの記憶」を細かく読んで導き出しました。

光にこだわることでその場面がより具体的になり、登場人物の「希望」や「不安」と言った心理描写も演出することができたと思います。

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