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アニメ職人たちの凄技アニメ職人たちの凄技

【第67回】
今回、スポットを当てるのは、
ケシュ#203(ケシュルームニーマルサン)

プロフィール

仲井陽(1979年、石川県生まれ)と仲井希代子(1982年、東京都生まれ)によるアートユニット。早稲田大学卒業後、演劇活動を経て2005年に結成。
NHK Eテレ『グレーテルのかまど』などの番組でアニメーションを手がける。
手描きと切り絵を合わせたようなタッチで、アクションから叙情まで物語性の高い演出を得意とする。100分de名著のアニメを番組立ち上げより担当。
仲井希代子が絵を描き、それを仲井陽がPCで動かすというスタイルで制作し、ともに演出、画コンテを手がける。
またテレビドラマの脚本執筆や、連作短編演劇『タヒノトシーケンス』を手がけるなど、活動は多岐に渡る。
オリジナルアニメーション『FLOAT TALK』はドイツやオランダ、韓国、セルビアなど、数々の国際アニメーション映画祭においてオフィシャルセレクションとして上映された。

ケシュ#203さんに「モモ」のアニメ制作でこだわったポイントをお聞きしました。

アニメーション制作は「モモ」のもう一人の主人公ともいえる、灰色の男たちのキャラクター作りから始まりました。画一的な存在である灰色の男たちの造形を今回のテイストのベースに位置付け、その没個性な顔と対比して主要なキャラクターたちは多様で豊かな印象になるように、顔の造形タッチを敢えて統一しませんでした。
色彩設計は、鮮やかな色を使うことでマジカルかつ現代的な印象を狙っています。

「モモ」には、現実の現代社会と心象風景のようなファンタジーという二つの景色があります。現実のシーンでは鏡や雨、風など、魔法に通じるものを効果的に使い、ファンタジーのシーンでは時間の国や時間の源の花などに具体的な存在感を出すため、空気感のディティールを大切にしました。エンデの文章はビジュアルが具体的なので、自然と読者共通のイメージを作り上げることが出来たのではないかと思っています。
またクライマックスの目まぐるしい展開をアニメ―ションでも表現するため、後半はアクションを多めに、テンポよく進むようにカメラワークやメリハリのある演技をつけました。
モモの物語世界を読書体験と同じく楽しめるように表現出来ていたら幸いです。

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