ずっとしこく #40 作家 天童荒太さん ずっとしこく #40 作家 天童荒太さん

今回ご紹介するのは愛媛県松山市出身の作家 天童荒太さん。心に傷を負った人の思いに寄り添う作品で幅広い世代から支持を受け、死者を悼む旅を続ける若者を描いた「悼む人」は直木賞を受賞しました。

その天童さんが生まれ育ったのが道後の町です。

童「(家から)ちょっと歩けば椿の湯があって・・・。」

首藤「椿の湯ですね。」

天童「もうほとんど銭湯感覚で毎日入っていたというか、バシャバシャやって遊んでいた。」

道後温泉のすぐそばにあるこの商店街は多くの思い出が詰まった特別な場所だといいます。

童「この上が、僕が数年間住んでいた場所です。だから坊っちゃんだんごのお店からの甘いあんこのにおいがぷ~んと上がってきて。」

首藤「へぇ~。」

天童「(道後の)商店街が僕のそれこそ“ホーム”なんです。」

首藤「ホームですね、まさに。」

天童「はい。」

天童さんはそのふるさと道後を舞台にした小説を新たに出版しました。

行く場所を失った15歳の少女が助けられたへんろ宿で再生へと歩む物語です。
小説の中には地元の食べ物や文化も数多く登場しています。

#これまでとは違った?

藤「これまで書いているときとやはり全然違いましたか?」

天童「楽しかったですね。」

首藤「楽しかった?」

天童「まず何より自分の知っている世界観の中で描ける。昔からこの場所に住んでいる友人がたくさんいらっしゃるので、その人々の協力も仰ぎながら表現できたので・・・。」

愛媛で大事にされる文化を詳細に書きつづった天童さん。
地元固有の文化にこそ、人々のよりどころがあると感じています。

童「(今の社会は)精神的に余裕がなくて、ちょっと孤立している感覚がある中で本来の人間としての幸せを見つめていきたい、と。そのために理想のふるさとというような場所をつくって、みなさんに“本当の幸せってなんですか?”と届けたいと思ったときに、自分のふるさとが3000年の歴史を持つ道後温泉があるし、お遍路さんの祈りの文化がありそれをおもてなしするお接待の文化がある、この自分のふるさとが一番舞台としては最適なのではないかと思って・・・。」

今回の作品をきっかけに、より深くふるさとと関わっていきたいと考えるようになった天童さん。

この日は松山市からふるさとをアピールする応援団を拝命しました。
今後も愛媛や四国を舞台にした作品を書き続けることで、その魅力を発信したいと考えています。

童「自分自身はそんなに日本中はまわれませんけれども、本であれば日本中をまわってくれますし、海外にも行ってくれる。自分よりは本が今後、観光大使になりその場所のよさや人々の温かさを伝えてくれるんじゃないかなとは思っています。弘法大師が生まれた香川県をずっとまわったり、徳島県は札所の一番ですからそういうところをまわって、四国全体をこの“巡礼の家”で取り上げられるように自分自身も成長していければなとすごく思っています。」

藤「地元愛あふれるお話をたくさん聞くことができて、私もすごくうれしかったです。愛媛県そして四国のお遍路の話をこれから書きたい、そんな話もされていたのできっと四国の皆さんがうれしくなるような作品が出来上がるんじゃないかなと思いました。」

首藤奈知子の「ずっとしこく」取材日記 首藤奈知子の「ずっとしこく」取材日記

ずっとしこく 第40回は、松山市出身の作家 天童荒太さんです。

道後温泉からほんの300メートルほどの場所で生まれ育った天童さん。私がよくウロウロしている場所にかつて天童さんが・・・


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