兼題:桜鯛(さくらだい)


2022年3月12日(土)放送

兼題:桜鯛(さくらだい)

 

▼兼題の季語「桜鯛」の解説
桜鯛とは、春の真鯛のこと。四国では桜の時期、瀬戸内海沿岸に産卵のため集まってきて 多くとれる。雌はきれいな桜色になり、雄は体に桜の花びらのような斑点があらわれるといわれている。「花見鯛」の傍題もある。

 

 

▼選句ポイント
桜鯛らしい めでたさと豪華さ

 

▼ギュッと!特選

千秋楽終え桜鯛待つ席へ      はなぶさあきら
[解説]
どの本場所でも大きな鯛を掲げる力士のニュース映像は見ますが、この句はまさに三月場所の「桜鯛」。優勝とは一言も書かれていなくてもそうだと分かる。千秋楽を終え、汗も流し、衣服も改め、祝賀の席へ。俳句で時間経過を書くのは難しいが、「終え~待つ席へ」という叙述によって一連の映像がしっかり書けているのですから、あっぱれ。紅潮した関取の表情、それを迎える人たちの拍手と笑顔も沸き立ってくるような作品。

 

 

▼放送でご紹介した「秀作」

上京の前夜の椀(わん)の桜鯛    くぅ
[解説]
「上京」で地方から東京に行くことや、料理された桜鯛が「椀」の中にある映像がよく見えてくる。

 

長生きの褒美堂々さくらだい     野菊
[解説]
「長生きの褒美」という措辞によって状況や人物が見えますね。「堂々」から「さくらだい」が見えてくる語順も巧み。

 

信之は受かって桜鯛らしい      平良嘉列乙
[解説]
「信之」が誰かわからなくても「受かって」ですから、何かの試験に受かったに違いないことがわかる。「桜鯛」そのものはまだ見えていなくても、めでたい気分は十分に伝わる。

 

杉香る箸に水引さくら鯛       三緒破小
[解説]
前半のめでたさが、「さくら鯛」に似合っている。

 

▼放送でご紹介した「佳作」

故郷(ふるさと)を離れる前夜桜鯛  あいぽん
[解説]
「故郷を離れる」という状況、「前夜」という時間が具体的に書かれている。

 

桜鯛初網に酔う祝い舟        直直
[解説]
桜鯛も初網も祝い舟も、めでたい尽くし。

 

鯛めしは浜の自慢の桜鯛       かんざし
[解説]
うちの「浜の自慢」の、と念を押すところに地産の愛。

 

顔合わせ深いお辞儀(じぎ)と桜鯛  一波
[解説]
お見合いか、両家の顔合わせか。中七の動作が映像となっているのが良い。

 

注文の初めも締めも桜鯛       パプリカ
[解説]
桜鯛の刺身で始まり、桜鯛メシで終わる、桜鯛づくし。

 

 

▼「秀作への道」観賞でレベルアップ!

喰(く)い初めの吾子(あこ)より大き桜鯛  ツユマメ(佳作)
食ひ初めに小さき桜鯛を買ふ         岡井稀音(佳作)

[解説]
こちら二句は「お食い初め」という儀式であることを上五で述べ、残りの音数は季語「桜鯛」の描写に使っていますね。

 

食ひ初めの箸の螺鈿(らでん)や桜鯛     あずお玲子(秀作)
[解説]
お食い初めの儀式に使う箸の「螺鈿(らでん)」に焦点を当てている。「や」の詠嘆も効いてますね。「桜鯛」のめでたさが映える取り合わせ、ここまでくると「秀作」!

 

>>夏井いつきのアドバイス
>>秀作・佳作

 

投稿時間:2022年03月12日 (土) 07時30分


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