兼題:蓮根(れんこん)添削「はじめの一歩!」


◆正しい表記とは?

母親見舞う なますの蓮根 刻む父     高畑よしき

・子ら駆ける 未来を見通す 蓮根かな   津国智之

[解説]
五七五の間を空けないのが 俳句の基本的な表記。テレビの俳句番組で三行書き(あるいは二行書き)にしているのは、テレビの画面が四角という事情から。
正しい表記を覚えましょう。

 

 

◆類想類句は宿命

・掘あげし蓮根の穴に見る未来        花子

・蓮根の穴の中にも未来あり          亀田かつおぶし

[解説]
俳句はたった17音しかないので「類想類句=似たような発想、似たような句」ができるのは宿命です。類想類句を気にしすぎず「多作多捨=たくさん作って、たくさん捨てる」を心がけ、たくさん作った中から、よりオリジナリティの高いものを自選する力をつけていきましょう。

 

 

◆ちょいと添削

・蓮根掘り我を植えたり泥の中   深山紫

[解説]
「蓮根掘りをしたことはないのですが、子供のころ泥田にはまって足が抜けなくなったことがあります。このまま苗のように田んぼに植えられてしまうのかと大泣きしてみんなに笑われました。懐かしい思い出です」と深山さん。
お気持ち分かります(笑)。中七「植えたり」で切れるので、三段切れっぽくなっているのが惜しい。語順を変えると解消しそうです。
【添削例】 我植うるごとき泥なり蓮根掘り

 

・蓮根掘るタニシ堀端潰れおり     鈍亀      

[解説]
「タニシ」も季語ではありますがこの場合は「蓮根掘る」が主たる季語ですね。よく観察しているところがよいです。中七下五を調えてみましょう。
【添削例】 蓮根掘る畦にタニシの潰れけり

 

・太けれど見事に折れたる蓮根かな     KAZUピー         

[解説]
中七は極力7音におさめるのが最善な方法です。「に」は不要ですね。
【添削例】 太けれど見事折れたる蓮根かな

 

土中よりリアス海岸蓮根かな      升屋 

[解説]
「土中より」と説明しなくても、今掘り出したところだと分かるように書くことはできます。例えば
【添削例】 リアス式海岸めける泥蓮根

 

 

◆推敲(すいこう)のヒント

・闇に秘するは籠殻の花火か蓮根や       Sonyist     

[解説]
「子供の頃『蓮根の模様は花火だ』と思ったのを詠みました。泥沼の底の日光も遮断された世界に潜むが、その殻(皮)の中には美しい花火が‥という句。季重なりで、字余り(特に中七)で、造語まで使っている点が心配。」と作者の弁。
確かにいろいろとやり過ぎています。「闇」の「籠」と「蓮根」で一句、「花火」のような「蓮根」で一句、という具合に作り直してみましょう。

 

蓮根田日を遮るはイナゴ玉     カメちゃん    

[解説]
「天気の良い日、徳島県鳴門市の蓮根田の横を通っていると、視界が一瞬に真っ暗になりました。よく見ると勢いよく飛んできた大量のイナゴが太陽の光を閉ざしたものでした」と作者のコメント。
そのコメントから判断して、表現したいのは「勢いよく飛んできた大量のイナゴが太陽の光を閉ざした」ということではないでしょうか。ならば「蓮根田」を諦めて「蝗(いなご)」の句として作り直してみましょう。

 

・蓮根掘る爺さん語るシャキ感を   打楽器    

[解説]
「蓮根掘る」「蓮根」どちらの句にしたいのかまず方針を決めましょう。「蓮根掘る」ことと、食感の「シャキ感」を17音にいれるのはちょっと難しいかも。

 

・蓮根掘る水圧ポンプ慎重に     マレット

[解説]
下五が惜しいです。どんな様子を見て「慎重に」作業しているなと感じたのでしょう。そこを描写してこその一句、脳内のビデオテープを再生して5音で描写してみましょう。

 

・ハス終りあとはレンコンほるぞのみ     山先文雄

・父の法事に蓮の花生け蓮根食べ        まほ

[解説]
どちらも詠み込もうとする時間が長すぎます。

 

・泥蓮根白き姿はかぐや姫       マユミ

[解説]
「姿は」は不要です。

 

・蓮根で御当地グルメ町おこし   太郎  

[解説]
「ご当地グルメ」とあれば「町おこし」と書かなくても想像ができます。

 

・酢蓮根薄紅染めて膳飾る        メイさん

・泥にいた蓮根酢水で寒そう     ほんよむひと

・蓮根に希望詰め込み挟み揚げ   葵

・一欠片の蓮根児のスタンプに   花  小雪

[解説]
「~染めて~飾る」「水で寒そう」「~に詰め込み」「~の~の~に」が散文的です。作り直してみましょう。

 

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投稿時間:2020年12月12日 (土) 07時55分


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