兼題:紅葉(もみじ)


2020年11月14日(土)放送

兼題:紅葉(もみじ)


▼選句ポイント

・臨場感が伝わる

・五感で感じている

 

 

▼ギュッと!特選

しぶき満つ龍王(りゅうおう)さんの紅葉かな      小野睦

【解説】

上五「しぶき満つ」で、水が飛び散る様子がわかります。

滝それとも堰(せき)かしらと思ったとたんに出現する

「龍王さん」。

「~さん」という呼び名が地域の人たちから大事に

祀(まつ)られている水神様を思わせます。

上五中七が水の印象で構成されているので

上五「しぶき」が下五の季語「紅葉」の赤の鮮度をあげる

かのような効果をもたらします。

 

 

▼入選

行列を厭(いと)わず紅葉へと渡船     あずお 

【解説】

長い行列をものともせずに並んでいるのです。

人気のお店か チケットを買う行列かと思えば「紅葉」。

紅葉の名所と思ったとたん「~へとの渡船」と着地。

「渡船」に乗り込む様子までもが、生き生きと

想像されます。

 

トロッコへ紅葉メガネをはみ出して       大和田美信

【解説】

「~へ」ですから「紅葉」の枝がせり入ってくる

感じでしょうか。

別の言い方をすれば、「トロッコ」が「紅葉」の中に

突入していくような状況かもしれません。

かけている「メガネ」の視界を「はみ出して」という

視点に臨場感があります。

 

紅葉(こうよう)や果実売らるる白峯寺(しろみねじ)   山内三郎  

【解説】

「紅葉や」と強調した後に、「みかん」とか「柿」とか書くと

季重なりになりますが、「果実」と書くことで秋の豊かな実りの

印象が表現できます。

その果実が「売ら」れているのが「白峯寺」だという

固有名詞もよいですね。

「紅」と「白」の印象が一句の良きアクセントとなります

 

 

▼夏井いつきの添削「はじめの一歩!」

 

瀬戸内の多島に沈む紅葉色(もみじいろ)     文明

【解説】

「紅葉色」という表現が気になります。

「紅葉」は季語ですが、「紅葉色」は紅葉のような色という意味。

そこに紅葉があるのか、紅葉色のものがあるのか不明瞭です。

作者は「紅葉のような太陽」を表現したかったそうなので

これは厳密にいうと「季語のない句」になります。

さらに「沈む」が湯に沈むのか、夕日が沈むのかも曖昧。

原句の言葉をできるだけ使って添削すると……

 

【添削例】湯に沈み島の紅葉と夕映えと

文明さんの描きたい場面は ぎりぎり伝わるかと思います。

 

>>夏井いつき添削「はじめの一歩!」
>>秀作・佳作

 

投稿時間:2020年11月14日 (土) 07時55分


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