兼題:秋祭(あきまつり)添削「はじめの一歩!」


・枯れる前  カボチャの雌花  多数成る   松山の竜馬 

手をつなぎ  好きなあの子と  秋祭り   翡翠

[解説]

五七五の間を空けないのが 俳句の基本的な表記。

テレビの俳句番組で三行書き(あるいは二行書き)に

しているのは、テレビの画面が四角という事情から。

正しい表記を覚えましょう。

 

 

・へんろ道お練(ね)る神輿と彼岸花    宮井直樹

・無機質な壁空蝉の安住    さくら丸

[解説]

兼題が「秋祭」とあれば、その言葉を入れる必要があります。

次回の兼題は「紅葉(もみじ)」ご投句お待ちしていますよ。

      

 

・提灯に灯りともる人の群れ    ツークン☆

[解説]

「秋祭」の光景を詠もうとしている句ですが、

肝心の季語が入っていません。

季語を入れるためには、どれかの言葉を

外さなくてはいけません。

この句の場合、無くても伝わる言葉がありますね。

 

【添削例】 提灯に灯り秋祭の人波

「提灯に灯り」とあれば、灯っていることは分かります。

ここでカットが変わり、後半で次の映像になります。

このような型を「句またがり」といいます。

1音余りますが、延々と続く人波を思わせる効果はあります。

 

・コロナ禍で蔵に眠る秋祭り    久龍昇     

秋祭りコロナ気にせずはしゃぐ子ら   子安一也

コロナ渦の秋祭り獅子は来年   芝山

[解説]

コロナを詠んだ時事句は たくさん届きました。

「コロナ」・「コロナ禍」という言葉が

「コロナのせいで」という説明的な意味に使われている

ケースが多かったように思います。

 

 

・ソーシャルディスタンスを執る秋祭り   水晶文旦

[解説]

「コロナ」と書かずに、コロナだと分かってもらおうと

挑む句もありました。

「ソーシャルディスタンス」という新語に目を付けたのは

良いのですが、これだけで9音もあるので使うのが難しいのも事実です。

 

 

御神灯氏子集うも秋寂し     芝山  

[解説]

「今年の秋祭りはコロナの為、小奴や獅子舞などの子供、

青年が参加する練り物行列(御下がり)が中止となりました。

神事だけは行いますが例年になく寂しい秋祭りになります。」

というコメントもついておりました。

この句は、「コロナ」と書かずに、コロナの年の秋だったなと

読んでもらえるのですが、肝心の兼題「秋祭」が抜けてしまった

勿体ない一句です。

 

 

秋祭睨みを利かす金の龍     宮武美香 

[解説]

山車や神輿(みこし)、お練(ね)りや舞いの動きなど

細部の一点を描写するのもコツの一つです。

 

 

銅山や猛者のあふるる秋祭   松井くろ

[解説]

「銅山」で、どんな場所なのかが分かります。

経済効率の良い言葉選びです。

 

 

 

・装束の父を遠目に在祭      裾野くみこ

会長は四時に目が覚め秋祭   かつたろー。

伯父さんの供米一俵秋祭     ひでやん

[解説]

その行事の現場にいる人たちも、ユニークな句材です。

人物をクロッキーするかのように目についた人や

動作を書き留めていきましょう。

 

 

・おいなりのきんいろ甘し秋祭   佳山

おこわ蒸す匂い家中秋祭      ドイツばば 

秋祭ぼうぜの姿寿司ぱくり    はむ

  ※ぼうぜ:イボダイ。徳島では秋祭時期にぼうぜの姿寿司を食べる。

[解説]

「秋祭」は豊作感謝という本意をもっている季語、

美味しい食べ物もまた大事な句材です。

「秋祭」に対して「おいなり」「おこわ」「姿寿司」など

取り合わせると、17音の半分ぐらいは使ってしまいます。

そうなると、残りの音数でリアリティあるいは

オリジナリティを工夫する必要がでてきます。

 上記の三句の場合、「きんいろ甘し」「蒸す匂い家中」

「ぼうぜ~ぱくり」等にその工夫が見て取れます。

 

 

●「秋祭り」に関する各地のお便り

 

文字だけの手書きポスター秋祭   じゅん 

小さな町ですが、毎年お寺の境内で秋祭が開催され

観音おどりをしています。

そのポスターがいつも毛筆で日付のみ書かれて

町のあちこちに貼られています。               

 

・新築やもぶり寿司食む秋祭     たま 

昔は新築の家に親戚が集まり神輿が入り

かき夫も子供もふるまい酒等で祝っていました。

 

・秋祭り獅子の頭を卒業す       ゆすらご  

秋祭に地域の子供らの獅子舞があります。

獅子の頭を兄が、後脚を弟が。

兄は来年高校生だから今年で獅子舞は卒業

弟が今度は頭になる。

地域で育てていると感じる獅子舞です。 

 

・秋祭桟敷に島の破籠寿司     柴田花子   

香川県の小豆島では、秋祭には桟敷で

破籠(わりご)と言う島独特の弁当箱で客をもてなします。

酌み交わしながら太鼓台の乱舞を見ます。

帰島の人も楽しみにしています。       

 

・夕暮れに響く太鼓や秋の声   太郎

愛媛県の西条祭りです。

私は愛媛県西条市で生まれ小学1年まで住んで居ました。

街を練り歩くだんじりのリズミカルな太鼓の音は

71歳になった今でも思い出せます。

 

・獅子百に百の油単や秋祭     比々き

高松の獅子舞。

神の通る道を先導し 清めるために舞う。

地の米の糊を使った糊染めで

獅子の絢爛豪華で勇壮な衣裳=油単を作る。

縁起のいい柄ばかりだが、皆柄が違い、そこも見どころの一つ。

 

・潮騒に松明かつぐ秋祭り       文明  

高知県中土佐町で毎年9月に行われる久礼八幡宮大祭。

高さ6mの大きな松明を担いで練り歩く。

波の音と松明の「パチパチ」という音が重なる。

初任地・高知の思い出の一つです。     

 

・褌の尻厳かや秋祭り      妹のりこ

勝岡八幡神社には、一体走りと言う無形文化財になっている

お祭りがあります。

昔、塩を運んだ事が由来で御輿を上下させないように走るのが

良いとされています。

 

・おなばれや街練り歩く秋祭   野中泰風 

故郷の街では秋祭りにて神輿(みこし)が運び出され

太刀(たち)踊りや天狗装束、巫女(みこ)さんや獅子などが

古市町商店街などを練り歩く「おなばれ」が行われます。

 

>>放送で紹介された句
>>秀作・佳作

 

投稿時間:2020年10月10日 (土) 07時55分


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