兼題:蜻蛉(とんぼ)添削「はじめの一歩!」


・プールサイドの 冷えたトマトに オニヤンマ  すみれ

・赤とんぼ  優雅に泳ぐ  晩夏の空    さんきゅう

帰郷して 蜻蛉(とんぼ)の種類  覚へをり   とらや

・どんなだろ トンボの眼鏡  見た景色  翡翠

[解説]

五七五の間を空けないのが 俳句の基本的な表記。

テレビの俳句番組で三行書き(あるいは二行書き)にしているのは

テレビの画面が四角という事情から。

正しい表記を覚えましょう。

 

 

駅舎たたく白雨ひとり待つ老婆   香依蒼

[解説]

兼題が「蜻蛉(とんぼ)」とあれば「蜻蛉」という言葉を入れる

必要があります。

次回の兼題は「秋祭(あきまつり)」ご投句お待ちしていますよ。

      

 

糸蜻蛉白い畦道(あぜみち)ホバリング     花の首飾り

[解説]

「蜻蛉(とんぼ)」は秋の季語ですが

糸蜻蛉(いととんぼ)」は夏の季語になります。

 

 

・温暖化にて最速羽化や蜻蛉   野中泰風

[解説]

上五「温暖化にて」が説明、つまり原因理由を述べているので、

ここは外したほうがよいです。

原句の内容を率直に書けば(ニュース原稿みたいではありますが)、

以下のように。

【添削例】

蜻蛉羽化最速記録更新す

 

 

 

 

 

・屋島寺の暮色に染まる赤蜻蛉  柴田禮美

・飛ぶとんぼ宝石色に空を染め  川畑彩

[解説]

夕暮れの空の描写として「染まる」「染める」は

手垢の付いた表現に受け止められがち。

この動詞は 極力はずしたほうが得策です。

他にもいろんなやり方がありますので、

自分なりに工夫してみましょう。

【添削例】 

屋島寺の暮色の空や赤蜻蛉(とんぼ)

【添削例】 

とんぼ群れ飛ぶよ宝石色の空

 

 

・蜻蛉の羽持つ溶けそう千切れそう怖い 風ヒカル 

[解説]

自由律に挑戦したのかもしれませんがこのダラダラ感は

逆に臨場感を削ぎます。

動詞や形容詞などが多すぎるので せめて一単語削ります。

【添削例】

蜻蛉(とんぼ)の羽溶けそう千切れそう怖い

こう書けば読者は蜻蛉の羽を掴んでいることは想像してくれます。

上五は一音字余りですが、中七下五は足せば十二音。

独特の韻律も生まれますので、最後の「怖い」が際立ちます。

 

 

・赤とんぼ群れて山の遭難碑   じゃすみん

[解説]

「赤とんぼ群れて」で八音 「山の遭難碑」で八音 足して十六音。

一音の字足らずが、何らかの効果をもっているか?

と考えてみましたが中途半端。

むしろ五七五に近づけたほうが得策で複合動詞を使います。

【添削例】 

赤とんぼ群れゐる山の遭難碑

【添削例】 

赤とんぼ群れくる山の遭難碑

「群れゐる」は遭難碑の前に立った時から群れている状態。

「群れくる」は最初のそんなにいなかったのに

どんどん増えてくる状態。

それぞれ微妙なニュアンスが表現できます。

 

>>放送で紹介された句
>>秀作・佳作

 

 

投稿時間:2020年09月12日 (土) 07時55分


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