自然と歴史が育んだ兵庫県の食文化

北は日本海に面し、南は瀬戸内海から淡路島を介して太平洋へと続いている兵庫県。
大都市から農山村、離島まで、様々な地域で構成され、多様な気候と風土があることから「日本の縮図」とも言われています。

県の人口の大半が集中しているのが、神戸などの都市部。
国際港湾都市・神戸には幕末期から外国人が来日、異人館が立ち並ぶ新しい街並みが形成されたことで、今に続く「ハイカラ」なイメージが作られました。
このとき来日した外国人たちが持ち込んだのが「牛肉を食べる」という食習慣。これが「神戸ビーフ」の歴史の始まりと言われています。

その「神戸ビーフ」の故郷は、兵庫県北部に東京都とほぼ同じ面積を持つ但馬地域です。
ここで生産されている「但馬牛」は、もともとは農耕や荷運びなどの役牛でしたが、文明開化とともに食肉牛として発展を遂げて、「神戸ビーフ」「松坂牛」をはじめとする日本の銘柄牛のほとんどが「但馬牛」にルーツを持つと言われるほどになっています。

盆地が多い県中東部の丹波地域は、どこか懐かしい田園風景が今も残る地域。和菓子の「粒あん」に使用される特産の「丹波大納言小豆」は、小豆界の横綱と呼ばれる最高級品。昼夜の気温差が大きく、濃い霧が発生しやすい独特の気候風土が、その大粒の身に詰まったうまみを生み出す大きな要因となっています。

瀬戸内海に浮かぶ淡路島は、古事記ではイザナギ、イザナミの神が日本で最初に造られたとされる「日本のはじまりの島」です。また、古来、「御食国(みけつくに)」と呼ばれ、天皇や朝廷に食材を献上した国でもありました。 そんな豊穣の島の今の名産品と言えば、「淡路たまねぎ」。甘さと柔らかさが特徴で、全国的に人気を得ています。

日本海と瀬戸内海という、気象条件の全く異なる二つの海がもたらす海の幸も豊かです。
日本海の名産はカニ。松葉ガニ(ズワイガニ)や香住ガニ(ベニズワイガニ)は冬のごちそう。
一方、瀬戸内海で有名なのは、何と言っても「明石の鯛(たい)」と「明石のたこ」。潮流の速い明石海峡に揉まれ引き締まった極上の身を持つ鯛とたこは、全国の一流料亭でも使用されています。