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健康寿命を延ばすヒント2
「治安の良さ」が長生きのカギ?

AI(人工知能)の分析が導き出した、いつまでも元気に暮らす秘密。
「治安の良さ」がピンピンコロリに関係していた!?

公開日:2018年10月11日

「健康寿命」とは、日常生活に制限なく、自立して、健康で何歳まで生きられるかを示す値です。
最新データでは、男性では72.14歳、女性は74.79歳。
しかし「平均寿命」との差は男性が約9歳、女性は約12歳もあり、
その間は寝たきりや要介護などの状態で暮らしていることになります。

ということは、「健康寿命」と「平均寿命」との差が短ければ短いほど、
死ぬ間際まで元気な「ピンピンコロリ」の人生を送ることができるのです!

10月13日放送のNHKスペシャル
「AIに聞いてみた どうすんのよ!? ニッポン 第3回 健康寿命」(総合 夜9時~)では、
マツコ・デラックスさんと有働由美子さんとともに、「健康寿命」の問題に挑みます。

NHKが開発した人工知能の「AIひろし」が、
65歳以上、のべ41万人の膨大な生活習慣や行動のデータを徹底的に学習。    
そこから見えてきた、健康寿命と平均寿命の差を短くするキーワードは「治安の良さ」でした!    

治安がいいと、なぜ元気に生きられる? 治安と健康寿命の関係に迫ります。

AIひろしは何を分析した?

NHKが独自に開発した人工知能「AIひろし」は、健康寿命を延ばすヒントを探すために、日本全国の65歳以上、のべ41万人の生活習慣や行動に関するアンケートを分析。
アンケートの質問は600問以上。10年以上にわたって追跡調査を行った膨大なデータです。
(基になったデータは、研究者などで構成するJAGES[日本老年学的評価研究機構]が調査。)
AIひろしは、例えば「ジョギングが好き」にYESと答えた人が、他の600の質問のどれにYESと答えたかを調べ、「密接な関係がある」と判断した質問との間を結びつけます。
すべての質問の関係、およそ18万通りを調べあげ、さらに、その質問が「健康と不健康のどちらに関係するか」を判別。
この分析の結果、AIひろしが生み出したのが、複雑にからみあったネットワークでした。
AIは既知の事実を速やかに導き出すだけでなく、これまで誰も言及したことのない“意外な関係”を提示することもあります。
今回、AIひろしは、上記ネットワークを生み出しただけでなく、さらに別のダイアグラムも出しました。
3年ごとに取られた時系列のデータから、人は人生の最晩年の10年間にどんな生活や行動を経て死を迎えるのかを分析。

そこから見つかった健康寿命を延ばすキーワードは「治安の良さ」でした。

地域の治安が健康と関係?

AIひろしの分析では、死の3~6年前のあたりでは病気や体の衰えなど、「体に関する不健康な要素」が数多く見られます。
そこをさらに3年遡ると、「心」に関するもの(「弱音を出せる友人がいる」「生活を楽しめない」など)がたくさんあります。
さらにその前、亡くなる10年くらい前からは、「地域に関すること」(「地域の趣味活動に参加」「地域から孤立」など)の要素がからんできていたのです。
そこで注目したのが「地域の治安」です。
死の約10年前に治安が悪いと、その3年後にはさまざまな不健康な要素(「外出が面倒」「疲労感あり」「生活が楽しめない」)とつながり、その先の3年後も不健康な要素(「経済困窮」「退屈な人生」「生活機能の衰え」)とつながり、死を迎えるという不健康な生き方のルートをたどっていたのです。

健康と治安のよしあし どう関係?

そこで、男性の健康寿命が全国21位から2位にジャンプアップした埼玉県を取材してみました。
しかし、県庁の健康長寿課でも、その確かな理由は、わからないままだといいます。
調べて見ると、実は埼玉県は防犯ボランティア団体の数が、全国一位。犯罪ボランティアの増加とともに、犯罪認知件数が過去最悪時の三分の一にまで減少していたのでした。

この犯罪認知件数と65歳の健康割合(生涯でどれだけの期間、健康で過ごしたかを表した指標)のグラフを重ね合わせると、治安がよくなったことを受けて、健康割合が改善しているように見えるのです!
さらに、地域の治安のよしあしが健康に関係することを示す論文も見つかりました。
65歳以上、約4000人に行った調査で、安全ではないと感じる人の割合が多いほど、男性が心臓病にかかるリスクが高くなる、ということが分かったのです。(井上陽介・ほか 2016「日本の高齢者における地域環境と心血管疾患リスク」)
実際に埼玉県の皆さんに
「治安がよくなったことで健康になると思いますか?」
と聞いてみると…

「外出しやすくなる→歩いて健康になる」
「悩み事、心配がなくなる→安心で健康になる」
「防犯ボランティアのおかげでゴミの不法投棄が減り、散歩したい気になる」

など、AIひろしの分析と一致するように、「治安」が回り回って「健康」に影響する、といえる声も聞かれました。

貧富の格差を縮めて、治安と健康の改善を!

貧富の格差を縮めて、治安と健康の改善を!
犯罪学での研究では、地域の貧富の格差が広がった地域で犯罪が起こるという報告があります。

また、国別での調査では、格差の大きい国の方が、裕福な人を含めて死亡率が高い、という研究もあるのです。

格差の大きいところでは人々のつながりが弱くなり、防犯活動が弱くなったり、治安が悪化したり、それらが健康にも悪影響を及ぼしているとも考えられます。

社会保障の機能を強化し、地域の貧富の差を縮めるような社会政策が、一見関係がないように思える健康寿命を上げていく上でも、大事なのかもしれません。

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