ライフスタイル

筆ペンの基礎(1)
45度のルールから始めよう

45度ルールを覚えて、
筆ペンづかいの基本をマスターしましょう。

公開日:2017年12月8日

冠婚葬祭のときや年賀状、
オフィシャルな場面でも役立つ筆ペン。
その魅力は自分の手の力加減や穂先の向きなどによって、
いろいろな線を書き分けられるところです。
筆ペンの選び方から持ち方、構え方など、
使い方の基本と、横線、縦線の書き方を紹介します。

筆ペンの選び方

筆ペンは墨と硯(すずり)がなくても、いつでもどこでも筆文字を書けるように考えられた便利な筆記具です。本物の筆と同じように、筒状の持ち手を「軸(じく)」、毛の部分を「穂(ほ)」、その先端を「穂先(ほさき)」と呼びます。市販の筆ペンは大きく分けて2種類。毛筆タイプとスポンジタイプです。この記事では、線の強弱や表情といった毛筆ならではの面白さを表現しやすい「毛筆タイプ」を使用しています。購入する際は、どちらのタイプか確認しましょう。
毛筆タイプ

毛筆タイプ

その名のとおり穂が毛筆のような毛束になっており、本物の筆に近い書き心地。毛の弾力を感じながら線を引けるので、太さをコントロールしやすい。
スポンジタイプ

スポンジタイプ

フェルトペンのように穂の部分にスポンジがついており、筆を使い慣れない人でも簡単に毛筆風の文字を書ける。弾力をコントロールしづらいので線の強弱をつけにくく、「こぶ」ができてしまうこともある。
硬筆タイプ

ほかにもこんなタイプが! 硬筆タイプ

筆ペンと普通のペンの中間のような「硬筆タイプ」も。普通のペンに近い書き心地で、毛筆タッチの細かい文字を書くのに適している。

筆ペンの持ち方

ペンを持つ時よりも人さし指を内側に引き込み、軸をやや立たせる。こうすると穂先を動かしやすくなり、筆圧をコントロールしやすくなる。
軸と人さし指を平行にする。小指側の手首の付け根を机に固定する。軸を軽く支えるように親指と中指を添え、3本の指でつまむように持つ。
穂先から見ると

穂先から見ると

親指、人さし指、中指が筆ペンを中心に三角形をつくっている。この状態なら軸に均等に力が伝わり、筆ペンを自由に動かせる。

動画で見る 正しい筆ペンの持ち方

正しい姿勢

正しい姿勢

背筋はピンと伸ばす

背中を丸めて書くと、腕が自由に動かせず、書いた文字の全体像がよく見えない。背筋はピンと伸ばして。肩の力を抜いて、両腕を正しく構えたときに、自然と背筋が伸びる高さの机がベスト。

握りこぶし1つ分の隙間

おなかと机の間に握りこぶし1つ分、背中と背もたれの間も握りこぶし1つ分のスペースをあけると、自然な構えができる。

足は軽く広げて

足は軽く広げてしっかり床につけると、姿勢が安定する。

筆ペンの構え方「45度ルール」

筆ペンを始めるにあたって、キーワードとなるのは「45度」。まずは机に向かって構えるとき、「穂先の向きや腕の角度を45度にする」というルールを覚えましょう。
筆ペンの構え方「45度ルール」

穂先の角度は45度

穂先は水平に置いた紙に対して左上方向に45度で構える。穂先はひじの延長線上にあり、腕と一体化させる意識で。筆ペンを動かすときも、常にその状態を保つようにする。

腕の角度も45度

両腕は「ハの字」になるように構える。右手も左手も紙に向かって45度になるように。

点画(てんかく)は「45度」で始める

点画(てんかく)は「45度」で始める
漢字は、横画(よこかく)・縦画(たてかく)・左払い・右払いなどの「点画」の組み合わせでできています。その書き始めを「始筆(しひつ)」、書き終わりを「終筆(しゅうひつ)」、始筆から終筆までの間を「送筆(そうひつ)」と言います。特に始筆は筆づかいを決める重要なポイントです。
点画の始筆は、原則として穂先を左上「45度」に向けて書きます。穂先と紙が触れ合うちょうど適当な角度であり、どんな方向にも穂先を安定して動かすことができます。「すべての点画は45度で始める」と覚えておきましょう。

メモ

この基本ルールに慣れるために、45度から線を引く練習をしてみましょう。始筆の位置から、そのままスーッと終筆まで運びます。横線、縦線、がありますが、「きれいな横画・縦画に仕上げよう」などと考えなくても大丈夫。まずは筆ペンに慣れるために、何本も線を引いてみてください。

動画で見る 正しい座り方と筆の動かし方

基本点画その(1) 横画の書き方

横画の書き方
筆ペンの書き心地に慣れたところで、基本点画「横画」の書き方を学びましょう。横画は、穂先を45度の角度で軽く置いたら、穂先の弾力を感じながら、そのまま力を抜かずにやや右上方向に運び、最後は一度しっかり止めて離します。始筆から終筆まで、穂先は常に45度を保つのがポイントです。
始筆

始筆

穂先を45度にして軽く紙の上に置き、弾力をつかむ。
送筆

送筆

そのまま力を抜かずに穂先の向きを常に45度にしたままやや右上方向に動かす。
終筆

終筆

軽くまとめるように穂先を止め、穂先は45度のまま左上方向へ引き上げる。

基本点画その(2) 縦画の書き方

縦画の書き方
縦画も横画と同じように45度の角度で始筆を入れ、軽く穂先を置いて弾力をつかんだら、そのままの角度でスーッと下ろします。終筆も45度のまま止めて軽くまとめます。
まっすぐの線にするコツは、穂先に意識を向けて、常に左側を通ることを確かめるように書くこと。スピードが速すぎると曲がりやすくなるので、ゆっくりと動かしましょう。
始筆

始筆

穂先を45度に向け、軽く置く。
送筆

送筆

均一な力でまっすぐ下ろす。穂先は常に左に向け、軸をひねらないこと。
終筆

終筆

軽く止めたら穂先を左上にもどすように引き上げる。

教えてくれた人

青山 浩之

  • 書家・美文字研究家

プロフィール

横浜国立大学教育学部教授。全国大学書写書道教育学会常任理事。書写・書道に関する研究や学校教員の育成をはじめ、学校教科書の執筆編集も行う。手書き文字に関することや書表現のスキルを分かりやすく指南し、書写・書道の魅力を広めている。『NHKまる得マガジンMOOK 美文字を自在に筆ペン練習帳』(NHK出版)など著書・雑誌寄稿多数。