閉じる
らいふ

毎日のくらしを
ちょっとだけ ハイ クオリティーに

仕事に子育てに疲れちゃって、家事をこなしていくだけで手一杯。でも、朝食は家族と楽しく食べたいし、お風呂場の汚れも、ぽっちゃりお腹もなんとかしたいし…。
そんなあなたの毎日をワンランクアップさせる、くらしの情報サイトNHK 「らいふ」。知って得するくらしのアイデアを1分間にぎゅっとまとめた動画や、専門家が監修した記事を集めました。あなたの毎日を楽しく豊かにしてくれる情報が満載です。

料理

スパイスの基本を知って
料理に活用しよう!

スパイスの種類や使い方、保存法などスパイスを活用するための基本を紹介。
カレーや料理に使ってみよう!

公開日:2017年12月1日

食欲増進や発汗、整腸作用など、体にうれしい働きをしてくれる「スパイス」。
スパイスの色、香り、苦味の成分であるポリフェノールには、
強い抗酸化作用があり、アンチエイジングにも効果が期待できます。
さらに、スパイスを上手に使うと、豊かな香りや辛みも相まって、おいしく減塩もできるんです。
そこで、スパイスを活用するために、スパイスの種類や使い方などをご紹介。
健康効果も期待できるスパイスを楽しみながら毎日の生活に取り入れてみませんか。

スパイスとは?

スパイスとはどんなものだと思いますか?「香辛料」だから香りのあるものと思う人が多いでしょう。それでは、ハーブはどうでしょうか?ハーブは香りが良いけれど、スパイスとは別のもの、というイメージかもしれません。
定義は難しいのですが、スパイスは「(人間に有用な芳香性がある)植物のある部分を採取し(または加工し)たもの」と考えることができ、一般的にスパイスとハーブに大別されています。つまり、大きな分類では、ハーブもスパイスということになります。またしょうがやたまねぎなどの野菜をスパイスとする捉え方もあります。

スパイスの作用は?

スパイスには「香りづけ」「辛みづけ」「色みづけ」の3つの作用があります。「香りづけ」は臭みを消す作用もあります。ここで注意したいのは、スパイスは調味料ではないこと。カレーでは主に香りのために使うと考えてください。スパイスは揮発性のエッセンシャルオイルが含まれており、加熱することで抽出されるので、カレーをつくるときは主に油で炒めて香りを引き出したりします。

スパイス使いのポイント

スパイスは生のままや乾燥、焙煎したりするほか、ホール(原形)のまま、ひいてパウダー状に、つぶしてペースト状にと加工して形状が変わります。形状によって香りと特性が変わるので、最初にじっくり油で炒めるのは、主にホール、焦げやすいパウダーは主に調理途中に加えるなど、使い方も変わります。
スパイスの種類はいろいろありますが、使う種類を増やせばよいというものではありません。混ぜる種類が増えるほど特徴の薄い味になり、少ないとそれぞれのスパイスの個性が強く出てきます。なので、最初はいろいろとそろえる必要はありません。まずは、ターメリック、レッドチリ、コリアンダー(またはクミン)の3種類のパウダースパイスがあれば十分です。
スパイス別 カレーでよく使われる形状の例

スパイスの購入・保存

スパイスはさまざまな種類をスーパーやデパート、通販などで購入できます。単体のスパイスは少量ずつ購入して、早めに使い切るとよいでしょう。カレーの場合、スパイスによって主にホールとパウダーのどちらかを使うのかが分かれるものがあるので、レシピを確認してから購入してください。
保存の際は、密閉できる容器に入れて、冷暗所に置きます。購入時の瓶のままでもよいのですが、計量スプーンで計りにくいことがあるので、口の広いタイプの容器などに移し替えて保存するのもおすすめです。

スパイスいろいろ

ターメリック

カレーを黄色にする、主役スパイス ターメリック

和名は「うこん」。カレー粉の主原料のひとつで、カレーの黄色はターメリックによるもの。黄色の色づけスパイスの代表ですが、実は香りもよいものです。根茎の部分を加熱、乾燥させ、粉末にひいて使います。パウダースパイスの中でも使用頻度が高く、特にインドでは、多くの料理に加えられます。ほかにたくあん、マスタードの色づけなどにも使われ、漢方薬、絹や綿を染める染料としても利用されます。うこん布と呼ばれるターメリックで黄色に染められた布は、漆器などを包む布として古くから使われています。
レッドチリ

辛みづけに欠かせない、赤とうがらし レッドチリ

チリペッパー、レッドペッパー、カイエンヌペッパーとも呼ばれます。カイエンヌペッパーという名は、フランス領ギアナの地名に由来するもの。赤とうがらしを乾燥させた辛みづけのスパイスで、ホールで使うほか、粉にひいたレッドチリパウダーは辛口のカレー粉に加えられたり、一味とうがらしとしてもおなじみです。品種によって辛さや香りはさまざま。辛み成分であるカプサイシンは熱に強いのが特徴。消化を助け、発汗作用で体内の熱を出す効果もあります。レッドチリは単体のスパイスですが、レッドチリパウダーと混同されがちなチリパウダーは、レッドチリパウダーにクミンやオレガノなど数種のスパイスをブレンドした、タコスやチリコンカンなどに使われるメキシコ風のミックススパイスです。

コリアンダー(パクチー)

独特の香りが食欲を刺激 コリアンダー(パクチー)

タイでは、パクチー、中国では香菜(シャンツァイ)、英語ではコリアンダーと呼ばれます。独特の強い香りが肉や魚のクセをおさえ、料理にアクセントをつけてくれます。すっきりとしたあと味も魅力のひとつです。葉や茎は火を通しすぎると香りが抜けやすいので、仕上げにサッと混ぜてフレッシュな色や香りを生かします。スパイシーなカレーの最後に加えると、全体の風味を引き立ててくれます。根や堅い茎はよく洗って刻み、調理の初めにスタータースパイスとして炒めれば、よい香りが出るので、捨てずに無駄なく使いきりましょう。タイやベトナム、中国料理のほか、インド料理でもよく使われています。パクチーの種もスパイスとして利用され、ほのかな苦みとかんきつ類のような、甘く爽やかな香りが特徴です。カレー料理やカレー粉に多く使われます。

クミン

カレーの香りの元になる、基本スパイス クミン

カレー粉はもちろん、ガラムマサラや、チリパウダーなどのミックススパイスに欠かせない、ベースとなるセリ科のスパイスです。爽やかで刺激的な香りとほのかな苦みがあり、油で炒めるとナッツのような香ばしさが出ます。はじめに油で炒めて元になる香りづけをするスタータースパイスとして、また仕上げに香りを移した油を加える「テンパリング」など、カレーづくりのいろいろな工程で使われます。食欲をそそるクミンの香りを生かして、北アフリカのクスクス、メキシコのチリコンカンなどの料理のほか、ドレッシングやパン、ケーキ、チャツネなどにも加えられ、炒め物に少々ふると、たちまちエスニック風味になるなど、幅広い用途があります。

ガラムマサラ

ひとふりでスパイシーになるミックススパイス ガラムマサラ

インドでいちばんよく使われている代表的なミックススパイスで、数種のスパイスをブレンドしたもの。ひとふりすればスパイシーな風味に変わるすぐれものです。辛いと思われがちですが、インドのガラムマサラは、辛みの強いスパイスは、主にブラックペッパーのみというのが基本です。 カレー粉との違いは、黄色の色みづけスパイスの代表、ターメリックや、辛みづけスパイスのレッドチリを加えていないこと。そのため料理に加えても、黄色い色や強い辛みにはなりません。辛さよりは香りを生かすスパイスとして使われます。加熱すると香りがとびやすいので、カレーなどの煮込み料理には、仕上げに加えるのが効果的。炒め物や煮物、肉や魚の下味をつけるのにも使われます。 日本の市販品にはとうがらしが入っているものがあるので、辛みの強いガラムマサラは、分量を加減するとよいでしょう。

シンプルガラムマサラの作り方

カレー粉

数種類のスパイスがブレンドされた、ミックススパイス カレー粉

カレーはルーにおまかせでも、棚に小さなカレー粉の缶が常備されている家庭は意外に多いのでは。ひとさじでパッとカレー風味になるカレー粉は、毎日の料理に変化と刺激をプラスする魔法の粉。カレー粉がいろいろなパウダースパイスをブレンドしたミックススパイスだということは広く知られていますが、少ないもので10種類ほど。日本のメーカーのカレー粉は、多いもので約30種類ほどのスパイスをブレンドしてつくられています。それらのスパイスは、香りづけ、色づけ、辛みづけの3つの要素で構成され、それぞれがバランスよく配合されているため、どんな料理に使っても、おなじみのカレー風味にすることができるのです。
またカレー粉の香りは、一定期間寝かせて熟成させることで生まれます。カレー料理の本場、インドにはもともとカレー粉がなく、スパイスを組み合わせてカレーをつくっていましたが、現在ではさまざまなカレー粉が売られています。

七味とうがらし

日本独自のミックススパイス 七味とうがらし

みそ汁やうどん、そば、焼き鳥などの辛み、香りづけの薬味としておなじみの、日本で生まれ育った、代表的なミックススパイスです。基本は、とうがらしに、香りや食感のよい食材を組み合わせて7種にし、複雑な味や食感に仕上げられます。地域や商品によって少しずつ合わせる食材や割合に違いがあり、特徴を出しています。
代表的なものは、それぞれ粗びきにした赤とうがらし、さんしょう、陳皮、青のり。ホールのまま使われるごま、麻の実、けしの実の組み合わせ。青のりに代えてしその葉やしその実を。麻の実、けしの実のどちらかひとつにしてしょうがを加えるなど、さまざまな種類があり、食材のひき方、大きさによっても味が変わります。赤とうがらしやごま、青のり、麻やけしの実は焙煎し、香りを立たせて使われます。

ローズマリー

爽やかな香りで、肉や魚介の臭み消しに ローズマリー

地中海沿岸が原産の、シソ科のフレッシュスパイス(ハーブ)です。爽やかな香りが特徴で、下味づけや調理途中で加え、クセのある肉や魚介の臭み消しのほか、野菜料理の風味づけにも使われます。肉や魚とともにグリルやオーブンで焼き、香りを移した香草焼きなども、おなじみの使い方。ほかに乾燥させたものは、ハーブティーやポプリなどにも使われます。
抗菌作用や抗酸化作用があるため、肉や魚介の鮮度を保つともいわれます。

爽やかな香り、華やかな緑色が魅力 バジル

シソ科のハーブで、いろいろな種類があります。イタリア料理でおなじみになったスイートバジルはイタリアではバジリコと呼ばれます。ほかにタイのグリーンカレーに使われる小さく細かめの葉のバイホーラパーは、タイスイートバジルで、タイバジルとも呼ばれます。ガパオライスやタイの炒め物に加える、やはり細めの小さい葉のバイガパオは、ホーリーバジルと呼ばれるバジルの仲間です。いずれも甘く爽やかな香りが特徴。すりつぶしてつくるジェノベーゼペーストやグリーンカレーペーストなど、香りづけだけでなく、色づけのためにも使われます。

風味づけ、味のベースと大活躍 しょうが

日本では薬味としておなじみのスパイスですが、ピリッとした刺激と爽やかな風味で、世界各国で使われています。主な働きは、クセのある肉や魚介の臭み消し効果。カレーでは、にんにくとともに刻み、はじめに炒めて味のベースになる風味を出します。すりおろしたり、薄切りにして肉の下味つけで臭みを消す、せん切りにして煮込みの後半に加えるなど、いろいろな工程で使われます。
体を温める効果はよく知られていますが、ほかに食欲増進、消化を助ける働きも。また抗酸化作用があるとされています。
日本では、生で使われることがほとんどですが、欧米では乾燥させたものを粉末にひいて、ジンジャーブレッドやクッキーなどのお菓子、飲料などに使われます。またインドでは生を刻んだりつぶしたりして煮出し、チャイなどの飲み物にも加えられます。

スパイスの加え方

スパイスは、基本的に3回に分けて加えます。はじめにベースとなる香りづけをするホールスパイス。調理の最初に使うので、スタータースパイスといいます。代表的なのはカルダモン、クローブ、シナモンの3種。じわじわと長い間香りが出て、肉との相性がよいスパイスです。
調理の途中に加えて香りをつけるのが、パウダースパイス。カレーを構成するうえで、欠かせない基本のスパイスは、色づけと香りづけのターメリックパウダー、辛み、色、香りをつけるレッドチリパウダー、香りをつけるクミンパウダー、香りをつけ、全体の調和をとってまとめてくれるコリアンダーパウダーの4種類です。火が通りやすいので、サッと炒めて香りを立たせるのがポイントです。
仕上げに加えて強い印象の香りをつけるのが、フレッシュスパイス。刻んだハーブ類をサッと混ぜ合わせます。パクチーやバジルのほか、少しクセの強い野菜ならほとんどが仕上げのスパイスとして使えます。

教えてくれた人

水野 仁輔

  • カレー研究家

プロフィール

5歳のときに地元のインドカレー専門店の味に出会う。大学進学後、東京都内を中心に食べ歩きをしながらインド料理店で働き、カレーづくりの基礎を習得。その後独学で日本をはじめ、世界のさまざまなカレーを学ぶ。1999年に出張料理集団「東京カリ~番長」、2008年にインド料理集団「東京スパイス番長」を結成し、その活動を続けながら毎年インドを訪問。ブリティッシュカレーを求めてイギリス国内を調査して回るなど研究を続けている。「水野仁輔 カレーの教科書」など著書多数。