料理
梅干しパワーで元気いっぱい
どこの家庭にも常備している梅干し。
疲労回復や殺菌作用など、
とてもたくさんの効能があるんです。
公開日:2017年5月19日
日本を代表する漬物、梅干し。
ごはんのお供としてはもちろん、お弁当やおにぎりに入れることで腐敗を防いでくれたり、
多量に含まれるクエン酸が疲れを解消してくれたりと、そのパワーは凄いんです。
梅が店頭に並ぶこの季節、自分で梅干しをつくってみたい方には、
道具いらずの梅干しのつくり方と、塩分抑えめのさしす梅干しのつくり方も教えます。
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さ(砂糖)・し(塩)・す(酢)で漬けて
1週間で食べられる!
「さしすカリカリ梅漬け」のつくり方

【材料(つくりやすい分量)】
青梅 | 1kg |
---|---|
ざらめ糖(または氷砂糖) | 300g |
粗塩 | 100g |
酢 | カップ4 |
【つくり方】
- 1梅は水で優しく洗い、竹串でなり口を取る。
- 2清潔な布巾で水気を拭き、ボウルに青梅を入れ、粗塩の3/4程を使って塩もみする。
- 3清潔な容器に塩もみした梅を入れ、ざらめ糖、残りの粗塩を加える。
- 42のボウルに残った塩に酢を少量かけ回し、容器にそそぐ。残りの酢も容器に注ぐ。
- 5ふたをして、冷蔵庫に入れる。
※一週間後には食べられます
レシピ考案
横山タカ子
- 料理研究家
プロフィール
地元・長野の郷土食をベースに、オリジナリティに富んだ家庭料理や保存食を考案。さまざまなメディアや講演会で、信州の食文化を広める活動にも力を注いでいる。
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さ(砂糖)・し(塩)・す(酢)で漬けてから干す
減塩でほんのり甘い「さしす梅干し」のつくり方
【材料(つくりやすい分量)】
完熟梅 | 1kg |
---|---|
ざらめ糖(または氷砂糖) | 300g |
粗塩 | 100g |
酢 | カップ4 |
【つくり方】
《さしすに漬ける》
- 1梅は水でやさしく洗い、竹串などでなり口を取る。傷んでいる部分があれば、ナイフで切って取り除く。
- 2清潔な布巾で水けを拭き、容器に入れる。
- 3ざらめ糖、粗塩を加え、酢を回しかける。
- 4ふたをしてなるべく涼しく日の当たらない場所に2週間以上おく。
《土用干し》
- 5清潔なスプーンや箸で梅を取り出し、ボウルの上に置いたざるにのせて汁けをきる。さしすは瓶などで保存する。
- 6間隔をあけて並べ、屋外の日当たりの良い場所で三日三晩干す。夜もそのまま夜露に当て、2日目と3日目の朝に、それぞれ1回梅をひっくり反す。
- 7干しあがった梅は、清潔な容器に入れて保存する。すぐに食べられるが、時間がたつほどまろやかな味になる。
ポイント
- 梅が浮き上がってしまう場合は、皿などで落としぶたをします。それでも梅が完全に浸からなければ、塩と砂糖と酢を1:3:8の割合で混ぜたものを適宜加えましょう。
レシピ考案
横山タカ子
- 料理研究家
プロフィール
地元・長野の郷土食をベースに、オリジナリティに富んだ家庭料理や保存食を考案。さまざまなメディアや講演会で、信州の食文化を広める活動にも力を注いでいる。
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道具を使わない梅干しのつくり方

【材料】
〈梅干し〉完熟梅 | 2kg |
---|---|
粗塩 | 340g(梅の重さの17%) |
赤じそ | 300g |
---|---|
粗塩 | 51g(赤じその17%) |
【つくり方】
《梅干し》
- 1梅のなり口に付いているヘタを竹串などで取り除く。
- 2梅を傷つけないように流水でやさしく洗う。
- 3布巾に少量ずつとり、塩をまぶしやすいように軽く水けを拭く。触ると手が湿めるくらいが目安。
- 4ボウルに梅1kgを入れ、塩170gを手でまんべんなくまぶす。別のボウルに、残りの梅も同様に塩をまぶす。
- 5ジッパー付きの保存袋の口を折り返して底までしっかり広げる。梅を入れても安定するようにガラスの容器などで受ける。袋の口を汚さないように、4の梅を丁寧に入れ、ボウルに残った塩すべてを入れる。残り1kgの梅も同様に、もう1枚の保存袋に入れる。
- 6それぞれ保存袋に入れた梅を平らに広げてならし、空気を抜くようにして口を閉じる。2つの袋をバットに平らに重ね、上の袋がおもしになるようにする。
- 7梅酢が上がるまで毎日、保存袋の表裏を返し、上下の袋を入れかえる。
- 82~3日間すると梅酢(白梅酢)が上がってくる。このまま赤じそが出回るまで暗くて涼しい場所におく
《赤じそ漬け》
- 9赤じそは葉を摘み、流水でもみ洗いしてざるに上げる。
- 10葉の水けを軽くきり、ボウルに入れる。粗塩の半量をふり入れ、全体になじませる。
- 11赤じそのアクを出すようにしっかりもみ込む。
- 12濁ったアクが出てきたら葉をギュッと絞り、別のボウルに入れる。濁ったアクは捨てる。
- 13残り半量の塩をふり入れ、全体になじませる。
- 1411と同様に葉をしっかりもんでアクを出し、ギュッと絞ってアクは捨てる。1回目のもみ込みよりきれいな色になってくる。
- 15別のボウルに14の赤じその半量を入れ、保存袋の白梅酢100mlを加える。
- 16赤じそをまんべんなくほぐすと、梅酢が鮮やかな赤色になってくる。
- 17保存袋の塩漬け梅に赤じそを平らに広げ、16の梅酢も入れる。空気を抜くようにして口を閉じる。残りの葉も同様にして、もう1枚の保存袋の梅に広げ、口を閉じる。バットに2つの袋を平らに重ね、暗くて涼しい場所に3週間~1か月間おく。毎日、保存袋の表裏を返し、上下の袋を入れかえる。
《土用干し》
- 18梅を干す。赤じそと赤梅酢はホウロウの保存容器などに入れて暗くて涼しい場所におく。土用干し用のざるを台におき、汁けをきった梅を、間隔をあけて並べる。毎日、1日に1回、梅の上下を返す。夜は家の中に入れ、3日間干す。
- 19梅を干し始めて2日後に赤じそを干す。梅と同様に赤じそ用のざるを台におく。赤じそは汁けをよく絞り、ほぐしながら間隔をあけて広げる。
- 203日間干した梅干し。水分が抜けてシワシワになってくる。皮が柔らかそうで、色鮮やかに干し上がっているのが目安。
- 21保存容器を用意し、1粒ずつ、梅をつぶさないように入れる。干した赤じそをふたのようにして梅干しにかぶせ、ヒタヒタより少なめに18の赤梅酢を注ぐ。残った赤梅酢は保存瓶に入れる。
レシピ考案
柳原 尚之
- 料理研究家
プロフィール
江戸懐石近茶流嗣家(しか)。祖父・敏雄、父・一成より和の基本を伝授される。現在、英語で和食を教えるなど、日本料理をグローバルに広げる活動も積極的に行う。NHKの時代劇「慶次郎日記」「御宿カワセミ」や大河ドラマ「龍馬伝」の料理所作指導、料理考証も担当。
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梅干しの酸は疲労回復剤

食べ物は消化されると、複雑なサイクルを経てエネルギーになります。このサイクルがスムーズに行われると、体の調子がいいし、疲労や病後の回復が早いのです。その働きを助けるのが漬物に含まれた乳酸、クエン酸、リンゴ酸などの酸。梅干しはとりわけ多くのクエン酸を含んでいます。疲れたときや病気のときに梅干しがことさらおいしいのは、体が酸を求めているからです。
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梅干しは食中毒を防ぐ

梅干しの強い酸には病原菌を殺すほどの威力があるので、食品の腐敗を防ぎます。
また、梅干しやぬか漬けなどの発酵食品には整腸作用があり、腸内のよい菌を育て、外からの病原菌を増やさない役目をします。さらに、漬物の酸味や香りは食欲を増進し、食事がおいしくいただけるから、体に抵抗力もつきます。外から中から食中毒を防ぐわけです。
また、梅干しやぬか漬けなどの発酵食品には整腸作用があり、腸内のよい菌を育て、外からの病原菌を増やさない役目をします。さらに、漬物の酸味や香りは食欲を増進し、食事がおいしくいただけるから、体に抵抗力もつきます。外から中から食中毒を防ぐわけです。
メモ
【炊飯に】
ご飯を炊くときに梅干し1コを入れると腐りにくくなり、味もよくなります。
炊き上がったらほぐし混ぜて。
【お茶に】
番茶に梅干し1コを入れた梅茶は疲れたとき、かぜのときにおすすめ。
ようじでほぐしながらどうぞ。
【焼酎に】
焼酎のお湯割りに1コ入れるとすっきりした味わいになる梅焼酎。
梅干しは肝臓の働きを助け、酔いを解消するといわれています。