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これまでの放送 2018年12月21日(金)の放送

30分オペラまるわかり プッチーニ「ボエーム」
クリスマス・イヴに出会った若い男女の悲しい恋を描いたオペラ「ボエーム」。イタリア・オペラの巨匠ジャコモ・プッチーニの代表作の一つです。今回は、「ボエーム」の舞台を現代に置き換えたミュージカル「RENT」でミミを演じたソニンさんとオペラ研究家の岸純信さんをゲストに、現代でも多くの人々を惹きつける「ボエーム」の魅力に迫ります。
30分オペラまるわかり
プッチーニ「ボエーム」
クリスマス・イヴに出会った若い男女の悲しい恋を描いたオペラ「ボエーム」。イタリア・オペラの巨匠ジャコモ・プッチーニの代表作の一つです。今回は、「ボエーム」の舞台を現代に置き換えたミュージカル「RENT」でミミを演じたソニンさんとオペラ研究家の岸純信さんをゲストに、現代でも多くの人々を惹きつける「ボエーム」の魅力に迫ります。

庶民の青春の物語

物語の舞台は19世紀初頭のパリ。当時のパリには、自由奔放な生活をする芸術家たちが多く暮らしていました。このオペラの登場人物も、みな貧しい若者たちです。主人公の詩人のロドルフォとお針子のミミは同じアパートに住んでいました。あるクリスマス・イヴ、ミミがロドロフォに火をもらいに来たことをきっかけに二人は出会い、すぐに恋に落ちます。しかし、病を抱えていたミミ。物語を通して、次第に弱っていくミミと無力な自分を嘆くロドロフォの二人の悲しい恋が描かれます。
貴族や宮廷を描いたこれまでのオペラに革新を与え、「普通の若者」を描いたこのオペラは、いつの時代も多くの人の共感を呼びました。

感情移入を誘う音楽

このオペラでは、微妙に揺れ動く感情が繊細に表現されています。それは、ミミが初対面のロドロフォに自己紹介をする場面によく表れます。ミミが緊張しながら語り始めたあとロドロフォが「Si(もちろん)」とうなずく場面で、プッチーニはわざわざ「Commoso(感動したように)」と指示しています。この一言の後、音楽はリズミカルになり、ミミは積極的にしゃべり始めます。まさに「Si」の一言で変化する女心をプッチーニは音楽で表現したのです。

作曲家プッチーニの生い立ちと理想のヒロイン像

幼いときに父を亡くしたプッチーニ。母と5人の姉たちに囲まれて、大切に育てらました。そんなプッチーの作品に描かれる女性は、健気で従順な女性ばかりです。「ボエーム」のヒロイン、ミミもまた、愛するロドロフォが病気の自分のせいで苦しんでいることを知ると、自ら別れを切り出します。このようなヒロイン像には、女性に頭の上がらない子供時代の反動が背景にあると考えられます。

ゲスト

プッチーニ自身にも興味が湧きました

プッチーニ自身にも興味が湧きました

ソニン(女優) ソニン(女優)

ソニン(女優)

profile

1983年生まれ。高知県出身。2000年に歌手としてデビューし、現在はミュージカルを中心に活動する。

普段着の世界のオペラです

普段着の世界のオペラです

岸純信(オペラ研究家) 岸純信(オペラ研究家)

岸純信(オペラ研究家)

profile

1963年生まれ。各種の音楽雑誌、新聞、公演プログラム等への寄稿、
およびCD・DVDの曲目解説を多数おこなう。

楽曲情報

歌劇「ボエーム」から「冷たい手を」、「わたしの名はミミ」、他
プッチーニ
岩田達宗(演出)、園田隆一郎(指揮)
ミミ…砂川涼子、ロドルフォ…村上敏明、ムゼッタ…高橋薫子、マルチェルロ…堀内康雄
東京フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)、藤原歌劇団合唱部(合唱)

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