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これまでの放送 2018年12月7日(金)の放送

月の名曲集
人をロマンチックな気持ちへといざなう月。多くの芸術家にインスピレーションを与えてきました。今日は、月をモチーフに作られた、とっておきの名曲に迫ります。
月の名曲集
人をロマンチックな気持ちへといざなう月。多くの芸術家にインスピレーションを与えてきました。今日は、月をモチーフに作られた、とっておきの名曲に迫ります。

月をモチーフにしたクラシック音楽

ドボルザークの「月に寄せる歌」はオペラの名アリアとして知られています。人間の王子に恋をした美しい水の精が「人間になりたい」と月に訴えます。一方、フランスを代表する歌曲、フォーレの「月の光」で描かれる月は、けだるく悲しげに地上の愚かな人間を見つめているようです。そして言わずと知れたベートーベンの名曲「月光」。ベートーベン自身がつけたタイトルは「幻想曲風ソナタ」でしたが、湖の月光に揺らぐ小舟のようだとある詩人がもらしたことから「月光」と呼ばれるようになりました。

理性のタガを外す月

月はラテン語で「ルナ」。ローマ神話の女神の名前に由来した言葉です。ルナの語尾が変化して「ルナティック」は英語で「理性のタカが外れたさま」を表します。月は本能的なもの、欲望、強い衝動、狂気の象徴にも用いられることがあります。20世紀の巨匠シェーンベルクが作曲した「月に憑かれたピエロ」がまさにその代表例です。5人の器楽演奏と心の叫びのような歌。常識を超えた手法で月のもたらす狂気を鮮やかに描かれています。

ドビュッシーと「月の光」

ドビュッシーは「月の光」というタイトルでなんと3曲も作っています。一番有名なピアノ曲に先立って、2曲の歌曲を作曲していたのです。2曲ともフランスを代表する大詩人ヴェルレーヌの詩に曲をつけたもの。その詩では仮面舞踏会を舞台に奇抜な衣装で歌い踊る人間たちが描かれています。表面に見える希望や幸せとは裏腹に、仮面の下にある隠し切れない人間の闇。そんな人間の矛盾を静かに見守る月。ドビュッシーは自らの中の二面性に苦しむうちにこの詩に惹かれたのでしょう。コントロールしきれない自分自身の闇に敏感だったからこそ、月をテーマにした作品を多く書いたのかもしれません。

ゲスト

ソの音に月を見上げるまなざしを感じるよ

ソの音に月を見上げるまなざしを感じるよ

宮川彬良(作曲家) 宮川彬良(作曲家)

宮川彬良(作曲家)

profile

最近では、連続テレビ小説「ひよっこ」の音楽を担当。テレビや舞台の音楽も数多く手がける。
音楽をわかりやすく伝える演奏会を各地で開催している

楽曲情報

月光(抜粋)
ベートーベン
江口玲(ピアノ)
月の光
ドビュッシー
イノン・バルナタン(ピアノ)

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