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これまでの放送 2018年11月2日(金)の放送

とことん音楽!私のベートーベン ~渡辺玲子いち推しのバイオリン・ソナタ~
「古きものに縛られていたら新しいものは生まれない。でも古きものへのリスクペクトがあってこそ、本当の革新は始まる。」今回は、青年ベートーベンがバイオリンとピアノに行った革新に、世界的バイオリニスト渡辺玲子さんがとことん迫ります。
とことん音楽!私のベートーベン
~渡辺玲子いち推しのバイオリン・ソナタ~
「古きものに縛られていたら新しいものは生まれない。でも古きものへのリスクペクトがあってこそ、本当の革新は始まる。」今回は、青年ベートーベンがバイオリンとピアノに行った革新に、世界的バイオリニスト渡辺玲子さんがとことん迫ります。

ベートーベンの「春」

曲の冒頭の心弾む美しいメロディーが印象的なこの作品。ベートーベン自身がつけたわけではありませんが、「春」というタイトルがピッタリです。なんと、この冒頭のメロディー、「春」以前に作曲された曲によく似ていると指摘する人もいます。しかしベートーベンのメロディーの流麗さは格別です。それでも必ずしもメロディーを作る天才ではなかったベートーベン。数々の試行錯誤を重ね、あのメロディーを書き上げました。ベートーベンが残したスケッチ(作曲のメモ)で、メロディーが完成するまでの過程を知ることができます。

ソナタって何?

「ソナタ」には2つの意味があります。1つ目は、楽器だけで演奏される音楽、器楽曲の意味。2つ目は、提示部、展開部、再現部という構造を持つ音楽の形式です。18、19世紀のクラシック音楽のほとんどの作品が「ソナタ形式」で作曲されており、作品を書く上で基本となっていました。

バイオリン・ソナタ革新

バイオリンと鍵盤楽器で演奏されるバイオリン・ソナタは、バイオリンが伴奏だった時期がありました。しかし楽器の改良が進むと、ベートーベンはバイオリンとピアノの表現の可能性を追求していきます。「クロイツェル」ソナタでその頂点を迎え、バイオリンとピアノの関係性は対等になったのです。特に、ベートーベンはそれぞれの楽器の個性を生かして、バイオリンとピアノの対話を盛り上げます。まずバイオリンならではの弦をはじく奏法「ピチカート」。ピチカートによって、バイオリンの音は鮮明に立ち上がり、音楽に勢いをつけます。次いで、ピアノの幅広い音域を生かした分厚い和音。それに加え中間音域をバイオリンが同時に演奏することで、二重奏ならではの濃密で重厚な響きが生まれるのです。

ゲスト

ベートーベンは努力の天才

ベートーベンは努力の天才

渡辺玲子(バイオリニスト) 渡辺玲子(バイオリニスト)

渡辺玲子(バイオリニスト)

profile

圧倒的なテクニックで世界を魅了するバイオリニスト。
国際教養大学において英語で講義を行うなど教育にも力を入れている。

「クロイツェル・ソナタ」は傑作。

「クロイツェル・ソナタ」は傑作。

江口玲(ピアニスト) 江口玲(ピアニスト)

江口玲(ピアニスト)

profile

東京藝術大学准教授。ニューヨークを拠点に国際的に活躍。

楽曲情報

バイオリン・ソナタ第5番「春」第1楽章(抜粋)
バイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」第1楽章(抜粋)
ベートーベン
渡辺玲子(バイオリン)
江口玲(ピアノ)

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