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これまでの放送 2018年10月26日(金)の放送

ダニー・ボーイ
世界中で愛される名曲「ダニー・ボーイ」。もともとはアイルランド民謡だったこの曲は、クラシックのコンサートでもすっかりおなじみです。今日はこの曲の数奇な運命に迫ります。
ダニー・ボーイ
世界中で愛される名曲「ダニー・ボーイ」。もともとはアイルランド民謡だったこの曲は、クラシックのコンサートでもすっかりおなじみです。今日はこの曲の数奇な運命に迫ります。

クラシックと「ダニー・ボーイ」のかかわり

民謡だったこの曲が楽譜に起こされたのは1855年のこと。いつからクラシックの曲として演奏されるようになったかははっきりしませんが、アイルランド出身の作曲家スタンフォードがその早い例として考えられます。彼がふるさとに思いをはせた代表曲のひとつ「アイルランド狂詩曲」。その「第1番」の中で「ダニー・ボーイ」を引用したことが、イギリスのクラシックの世界でこの曲が認知されるきっかけになったと言われています。
この作品のメロディや情感に魅了されたクラシックの音楽家は数知れず。指揮者の小林研一郎氏もそのひとりです。

アイルランド移民の「心の歌」から世界の名曲へ

世界中の様々な歌手や演奏家がその魅力を伝えてきた「ダニー・ボーイ」。 この曲が広まった背景には、19世紀にアイルランドを襲った大規模な飢饉に伴い、海外に移住した人々の存在があります。特にアメリカには多くの人たちが渡りました。アメリカの各地で身を寄せ合うようにして暮らしたアイルランド移民たちは、祖国を思い出す曲として「ダニー・ボーイ」にひきつけられました。
そして、大切な人との「別れ」を思い起こさせるこの曲の歌詞は、第1次世界が勃発すると、離れ離れになってしまう家族や親族を持つ多くの人々の心に強く響きました。
こうして「ダニー・ボーイ」はアイルランド移民の「心の歌」を超えて、世界に広がっていったのです。

アイルランド音楽の魅力

「ダニー・ボーイ」を生んだアイルランドの音楽。フルートやバイオリン(アイルランド音楽ではフィドルと呼ばれます)といった、クラシックと共通する楽器を演奏に使用します。しかし、その演奏方法やリズムの感覚にはかなり大きな違いがあります。特にはねるようなリズムのとり方は、アイルランドのダンスに見合った「ノリ」を生み出します。
また、「タイタニック」の挿入歌でもおなじみのティン・ホイッスルの響きは、アイルランドを代表する音色として親しまれています。
番組では、街角で採譜された19世紀ごろの演奏をイメージして、アイルランドに昔から伝わる朗々とした語り口のフィドル演奏を加えた「ダニー・ボーイ」をお聞きいただきました。

ゲスト

歌詞が母親目線だったりふるさとを思う気持ちだったり、日本人の心を打つのもわかります

歌詞が母親目線だったりふるさとを思う気持ちだったり、日本人の心を打つのもわかります

浜田真理子(シンガーソングライター) 浜田真理子(シンガーソングライター)

浜田真理子(シンガーソングライター)

profile

島根県松江市出身。暖かく穏やかな歌声で、数多くのファンをもつ。

アイルランド音楽は「日常から乖離(かいり)しない」のが魅力です

アイルランド音楽は「日常から乖離(かいり)しない」のが魅力です

豊田耕三(アイリッシュ・フルート、ティン・ホイッスル奏者) 豊田耕三(アイリッシュ・フルート、ティン・ホイッスル奏者)

豊田耕三(アイリッシュ・フルート、ティン・ホイッスル奏者)

profile

東京藝術大学在学中にアイルランド音楽と出会い、国内外で演奏活動を行っている。

楽曲情報

「ダニー・ボーイ」アイルランド民謡
ウェザリー
浜田真理子(歌)
豊田耕三(アイリッシュ・フルート、ティン・ホイッスル)
マイキー・オシェイ(フィドル)
中村大史(ギター)

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