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これまでの放送 2018年6月29日(金)の放送

とことん音楽!私のドビュッシー~パリが生んだ偉大なる自由人~
今年で没後100年を迎えるフランスの作曲家、クロード・ドビュッシー。世間の常識や決まりごとを破ることがあっても、自分の道を進む。それは歴史を変えることもある。彼はまさにそうして20世紀の音楽の扉を開いた人物です。今日は、パリもドビュッシーも知り尽くした、パリ在住30年以上の世界的ピアニスト、児玉桃さんがドビュッシーについてとことん語ります!
とことん音楽!私のドビュッシー
~パリが生んだ偉大なる自由人~
今年で没後100年を迎えるフランスの作曲家、クロード・ドビュッシー。世間の常識や決まりごとを破ることがあっても、自分の道を進む。それは歴史を変えることもある。彼はまさにそうして20世紀の音楽の扉を開いた人物です。今日は、パリもドビュッシーも知り尽くした、パリ在住30年以上の世界的ピアニスト、児玉桃さんがドビュッシーについてとことん語ります!

20世紀音楽の扉を開いた作曲家

若きドビュッシーが暮らした19世紀末のパリは、芸術家がカフェなどに集い、革新的な文化が花開く活気のある街でした。ドビュッシーもカフェで詩人や画家たちと交流し、刺激を得たといいます。そんな中、ドビュッシーが衝撃の出会いを果たしたのは、異国の様々な文化が集結した1889年のパリ万博。中でも彼の心をとらえたのは、インドネシアの民族音楽ガムランでした。それまで音楽大学で西洋音楽の伝統的な規則の数々を教え込まれていたドビュッシーは、そのような「規則」を破った音楽があってもいいと勇気付けられました。それ以来、自分が美しいと思う音を追い続けていくことになるのです。

色合いを変える「練習曲」

ドビュッシーは晩年、自分の音楽のエッセンスをひとつの作品にまとめました。それがピアノのための「練習曲」。その中では、右手の作り出す旋律に左手が付加する1音が響き全体にもたらす効果や、和音を奏する手の緻密なコントロールによって生み出される2つの音の絶妙なバランスへ耳を傾けさせます。このような響きへのこだわりこそ、ドビュッシーの音楽の真骨頂。響きに色合いを持たせることこそ、ドビュッシーの目指した音楽でした。

感情の爆発「喜びの島」

ドビュッシーは既婚の身ながら、同じく既婚者のバルダック夫人に恋をします。その恋心は創作意欲を掻き立て、彼は彼女のためにある歌を作曲します。その礼に花が届くと、もはやその恋は抑えきれないほどに高まっていきました。1904年6月9日、「あなた「ひとりだけ」をわがものにしたいのです」とバルダック婦人を自宅に呼んだドビュッシー、この日に何があったのかはわかっていませんが、この日の出来事が「喜びの島」という曲を書かせました。まさに喜びに満ちたこの作品。メロディーを包み込むさまざまな色合いは、静かにわき上がる喜び、爆発する喜びなど、次々に移り変わる感情を表現していきます。

ゲスト

ドビュッシーは、一生一緒にいたい作曲家です

ドビュッシーは、一生一緒にいたい作曲家です

児玉桃(ピアニスト) 児玉桃(ピアニスト)

児玉桃(ピアニスト)

profile

パリを拠点に国際的に活躍するピアニスト。幼少の頃よりヨーロッパで育ち、パリ国立高等音楽院に学ぶ。幅広いレパートリーと豊かな表現力を持ち、世界のトップオーケストラとも共演を重ねている。

楽曲情報

「“前奏曲集第1巻”から“亜麻色の髪の乙女”」「“練習曲”から“対比音のための”」「喜びの島」
ドビュッシー
児玉 桃(ピアノ)

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