バックナンバーバックナンバーをみる

これまでの放送 2017年12月8日(金)の放送

ヨハン・シュトラウスの「美しく青きドナウ」~甘く危険なワルツはいかが~
誰でも一度は聴いたことがある「美しく青きドナウ」。ウィンナー・ワルツを代表する一曲です。甘やかで聞きやすい印象のこの曲、宮川彬良さんにしてみると「実は危険」、なんだとか…。ちょっと変わった切り口でこの名曲に迫ります。
ヨハン・シュトラウス
ヨハン・シュトラウスの「美しく青きドナウ」
~甘く危険なワルツはいかが~
誰でも一度は聴いたことがある「美しく青きドナウ」。ウィンナー・ワルツを代表する一曲です。甘やかで聞きやすい印象のこの曲、宮川彬良さんにしてみると「実は危険」、なんだとか…。ちょっと変わった切り口でこの名曲に迫ります。
ヨハン・シュトラウス

ヨハン・シュトラウス、三つの顔

この曲を作曲したヨハン・シュトラウス。ワルツ王と呼ばれる格調高いクラシックの音楽家と思われていますが、
当時の立ち位置はちょっと違ったみたいです。
女性問題などの数々の噂が知れ渡る注目の的だった「芸能人」の顔。
バイオリン奏者で人気楽団の経営を取りしきっていた「経営者」の顔。
そして市民の娯楽であり、最新のダンスミュージックだったワルツの担い手だった「職業音楽家」の顔。
そんな側面をもっていた彼、意外に親しみがわくのではないでしょうか。

親子音楽家のややこしい確執

シュトラウスの父親も音楽家。「ラデツキー行進曲」で知られる同じ名前のヨハン・シュトラウスです。愛人を作り家庭を顧みない父でしたが、音楽家という職業の不安定さを身をもって知っていたため、子供たちには音楽家への道を進むことを禁じていました。しかし、父に隠れて音楽を学んでいた息子のヨハン。父は態度を一変、息子に壮絶なライバル心を燃やします。同じ名前をもつ音楽家2人は熾烈な争いを繰り広げ、その切磋琢磨から数々の名曲が生まれていきました。

耳に残る名曲の誕生

19世紀のオーストリアは、外国との戦争に敗れ、舞踏会も自粛される沈んだ状況でした。その状況をなんとか盛り上げようという市民の男声合唱団の依頼に応えてヨハン・シュトラウスが書いたのがこの曲。元々合唱曲として書かれたのち、管弦楽に編曲。広く親しまれるようになりました。

宮川彬良さんは、この曲が名曲になった理由の一つが、元々合唱曲だったからではないか、と考えています。もともとが歌ものだったから、誰もが無理なく口ずさめるメロディが生まれたのでは?ということです。

危険なワルツの魅力とは

父も同じく作曲家の宮川彬良さんがこの曲を語ります。
全編でメロディーが10個ほど登場するこの曲。全てが極上で美しい仕上がりです。「いいメロディをひたすら並べ続ける」だけで成り立っているこの曲。その果てしない甘さ・口当たりの良さは、いつまでも聴いていたい中毒性をはらんでいます。宮川さんは言います。その甘さこそが「危ない」と。
そして、こんないいメロディを大量生産できて、それだけで楽曲が成立する、ということは作曲家冥利に尽きるだろう、とも。それこそ、大作曲家ブラームスが敬意を評する名曲であるわけです。

ゲスト

「どんなに成功しても親にかなわないという息子ヨハンの気持ち、分かるわ-。」

どんなに成功しても親にかなわないという息子ヨハンの気持ち、分かるわ-。

宮川彬良(作曲家) 宮川彬良(作曲家)

宮川彬良(作曲家)

profile

連続テレビ小説「ひよっこ」の音楽を担当。ミュージカルや演劇の音楽も数多く手がける。
作曲家の父とは、いうまでもなく宮川泰。

楽曲情報

「美しく青きドナウ」から
ヨハン・シュトラウス
グスターボ・ドゥダメル(指揮)
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団(管弦楽)

Page Top