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これまでの放送 2017年10月27日(金)の放送

ニーノ・ロータ名曲集~映画音楽は新時代のオペラだ!~
20世紀の映画音楽に多大な功績を残したイタリアの作曲家ニーノ・ロータ。彼は、イタリア伝統の歌心を大切にした独自の作品を発表し、映画に音楽の新たな可能性を見出しました。
オペラの国の作曲家が生み出した名曲の魅力に迫ります。
マヌエル・デ・ファリャ
ニーノ・ロータ名曲集~
映画音楽は新時代のオペラだ!~
20世紀の映画音楽に多大な功績を残したイタリアの作曲家ニーノ・ロータ。彼は、イタリア伝統の歌心を大切にした独自の作品を発表し、映画に音楽の新たな可能性を見出しました。
オペラの国の作曲家が生み出した名曲の魅力に迫ります。

マヌエル・デ・ファリャ

映画音楽のレジェンド ニーノ・ロータの名作

映画音楽のレジェンドとも言われたニーノ・ロータ。生涯に手がけた映画音楽は150本を超えました。最初の作品は1933年の映画『ポピュラー列車』。映画が新時代の娯楽として大衆社会で人気を集めるにつれ、ロータの音楽は俄然、注目を集めていきます。その後は、フェリーニ監督の『道』、クレマン監督の『太陽がいっぱい』、ゼッフィレッリ監督の『ロミオとジュリエット』…など、映画史に燦然と輝く名作のサウンドトラックを続々と発表。登場人物の心情を雄弁に物語り、感動へと誘うロータの名旋律。皆さんもお気に入りの一曲があるのではないでしょうか。

映画で花開いたオペラの歌心

イタリアのミラノに生まれたニーノ・ロータは、20世紀のモーツァルトと呼ばれた天才作曲家。ジャズや黒人音楽も身につけた彼は、映画音楽の仕事で収入を得ながら、クラシック音楽の創作活動を始めます。当時イタリアでは、新作のオペラは数を減らし、「前衛音楽」が勢いを増していましたが、ロータはイタリア伝統の歌心を大切にした独自の管弦楽曲やオペラなどを作曲。発表すると、時代錯誤な作曲家だと批判され〝映画音楽専門〟と見下されたのです。
そんな中、ロータは映画に可能性を感じていました。「歌心を存分に発揮できるオペラを映画の世界でも創り出せるはずだ。映画は新時代のオペラではないか…」彼はイタリアを飛び出し、アメリカのハリウッドに躍り出ます。映画『ゴッドファーザー』の作曲依頼を受けたのです。監督コッポラが求めたのは「オペラのような音楽」。それはまさにロータが映画の世界に夢見たものでした。 ロータは、映画を舞台にした“新時代のオペラ”を創り上げたのです。

バッティストーニが語るロータの魅力

Interview

アンドレア・バッティストーニ(東京フィルハーモニー交響楽団 首席指揮者)

Profile

イタリアのヴェローナ出身。世界の著名なオーケストラと共演を重ねる若きマエストロ。

Q:同じイタリア人として、ニーノ・ロータをどう見ていますか?
A:イタリア最後のオペラ作曲家です。聴衆がオペラに求める好みや美的センスにとても近いものを表現しています。ロータのメロディーは歌詞のないオーケストラで奏でても、まるでオペラや映画の主人公の感情や心の声を表しているかのよう。歌手や俳優が表現するのと同じように音楽で聴衆の心を動かせるのです。

解析!ドラマチックな響き

ロータ名作、映画音楽『ゴッドファーザー』がなぜドラマチックに聴こえるのか。2つのポイントをご紹介。

【ポイント① 歌心】
歌心あふれる旋律が歌心いっぱいに演奏されると、オペラのようなドラマチックな感じが出てきて、その魅力は何倍にも膨れ上がるといいます。冒頭の旋律を声に出して歌ってみましょう。一言では言い表せないような複雑な想いが込められたメロディの魅力も実感できると思います。

【ポイント② ミステリアス】
楽譜を見て下さい。黄色い線の枠内の音符は「ファ・ラ♭・シ・レ」。それぞれの音が半音で3つずつ離れた形になっています。奏でると、さまよっているような、不安な気持ちにさせるような、ミステリアスな響きがあります。こうしたパートがあることで旋律に陰影が付き、ドラマチックなストーリー性が出てくると考えられています。

ゲスト

プッチーニのマノン・レスコーのような壮大な場面を思い起こさせる…

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森田 学(声楽家) 森田 学(声楽家)

森田 学(声楽家)

profile

オペラや歌曲の舞台で活躍中
大学で教鞭を執るイタリア音楽研究者

楽曲情報

「ゴッドファーザー」
ニーノ・ロータ
上柴 はじめ
アンドレア・バッティストーニ(指揮)
東京フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)

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