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これまでの放送 2017年5月19日(金)の放送

ファリャの「火祭りの踊り」 ~燃えよ!アンダルシアの魂~
「火祭りの踊り」は、バレエ音楽「恋は魔術師」の
クライマックス、悪霊払いの場面で演奏される
情熱的でミステリアスな名曲。
作曲者マヌエル・デ・ファリャは、スペインの
伝統に基づく独自の音楽を確立することを
夢見ていました。
彼がこの作品を書き上げたきっかけは、
一人の美しい女性との出会いでした。
燃えたぎる炎のようなファリャの熱い旋律の
魅力に迫ります。
マヌエル・デ・ファリャ
ファリャの「火祭りの踊り」
~燃えよ!アンダルシアの魂~
世界的に活躍した日本人の作曲家・武満徹。
「火祭りの踊り」は、バレエ音楽「恋は魔術師」のクライマックス、悪霊払いの場面で演奏される情熱的でミステリアスな名曲。
作曲者マヌエル・デ・ファリャは、スペインの伝統に基づく独自の音楽を確立することを夢見ていました。彼がこの作品を書き上げたきっかけは、一人の美しい女性との出会いでした。燃えたぎる炎のようなファリャの熱い旋律の魅力に迫ります。

マヌエル・デ・ファリャ

バレエ音楽「恋は魔術師」とは

バレエ音楽「恋は魔術師」は、スペインの南部、アンダルシア地方の民族音楽フラメンコと管弦楽が融合したファリャの代表作。
【物語】夫を亡くした女カンデーラスとその新しい恋人カルメーロが近づこうとすると、死んだ夫の亡霊が焼きもちをやいて邪魔立てをします。そこで2人は、人一倍美しい女友だちに亡霊を誘惑してほしいと依頼。女友だちが亡霊を誘惑し、まんまと夢中にさせている間に、カンデーラスとカルメーロはめでたく結ばれ、幕となります。
この劇中のクライマックス、悪霊払いの場面で演奏されるのが「火祭りの踊り」です。
アンダルシアの少数民族ロマたちの暮らしや伝統音楽フラメンコを取り入れた民族色豊かなこのバレエの象徴となっているのが「火祭りの踊り」なのです。

故郷の伝統文化に開眼!

アンダルシア地方の港町カディスに生まれたファリャは、幼いころ母親からピアノの手ほどきを受け、マドリードの音楽院に入学。ピアノ部門で一等賞を得た後、パリに留学。著名な音楽家たちの指導を受け、当時の最先端の作曲技法を学びます。
当時、19~20世紀のヨーロッパでは、大物の作曲家たちがスペインの民族音楽を題材に作品を発表し成功を収めていました。ファリャも独自の作品を模索し始めますが具体的な糸口が見出せませんでした。
そんな中、彼は、生まれ故郷のアンダルシアを見つめ直します。そこにはフラメンコを奏でるロマたちがいました。折りしもファリャは一人のロマの女性と出会います。フラメンコの第一人者、パストーラ・インペリオです。彼女から作曲の依頼を受け、フラメンコの世界を深く知ったファリャは、1915年、パストーラを主役にした「恋は魔術師」を初演。故郷アンダルシアの伝統を元に、長年の夢をかなえたのです。

情熱的でミステリアスな響きの秘密

解説
下山 静香(ピアニスト・スペイン音楽研究者)

フラメンコと管弦楽が融合した「火祭りの踊り」は、なぜ情熱的でミステリアスな響きを持つのでしょうか。その秘密を解き明かすのは、ピアニストの下山静香さん。国内外の様々な演奏家と共演を重ねるスペイン音楽のスペシャリストで、研究者としても活躍しています。

ポイント① “飾り”
楽譜を見ると所々に3連譜や髪飾りのような小さな音符が付いています。フラメンコでもよく聴かれるこぶし回しのようなもので、これらの“飾り”は、情熱的でミステリアスな雰囲気を出す上でとても重要な音符です。日本の曲「黄金虫」などの旋律に“飾り”を付けて演奏してみてください。情熱的でミステリアスな雰囲気が醸し出されることが実感できると思います。

ポイント② “ギター”
「火祭りの踊り」のオーケストラ演奏にギターは入っていませんが、ピアノの旋律に注目してください。実は、ピアノがギターのようなリズムを刻んでいるのです。ギターはフラメンコに欠かせない楽器ですが、オーケストラの中でその音量はとても小さなもの。そこでファリャは、音量が大きなピアノにギターの役割を与え、管弦楽にフラメンコ的な躍動感を盛り込んだと考えられています。

ゲスト

これからクラシックの聴き方が変わる。「これはどこの音楽にインスピレーションを受けているんだろう」とか…楽しそう

これからクラシックの聴き方が変わる。「これはどこの音楽にインスピレーションを受けているんだろう」とか…楽しそう

城田 優(俳優) 城田 優(俳優)

城田 優(俳優)

profile

幼少期をスペインで過ごす
音楽の作詞・作曲も手がける

楽曲情報

「火祭りの踊り」
マヌエル・デ・ファリャ
渡邊一正(指揮)
東京フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)

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