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これまでの放送 2017年5月12日(金)の放送

武満徹の「ノヴェンバー・ステップス」
世界的に活躍した日本人の作曲家・武満徹。
『ノヴェンバー・ステップス』は、その出世作。
オーケストラと日本の尺八・琵琶による斬新な
曲は、50年前、アメリカ・ニューヨークで初演され、
なんと力強い音楽だ!人間の生命の音楽だ!
と称賛された。
誕生から半世紀、知られざる小澤征爾との
ヒストリー、世界が認めた理由など、
名曲の実像に迫る。
武満徹
武満徹の「ノヴェンバー・ステップス」
世界的に活躍した日本人の作曲家・武満徹。
『ノヴェンバー・ステップス』は、その出世作。オーケストラと日本の尺八・琵琶による斬新な曲は、50年前、アメリカ・ニューヨークで初演され、なんと力強い音楽だ!人間の生命の音楽だ!と称賛された。誕生から半世紀、知られざる小澤征爾とのヒストリー、世界が認めた理由など、名曲の実像に迫る。

武満徹

誕生ヒストリー 盟友・小澤征爾からの依頼

きっかけを作ったのは、指揮者の小澤征爾。当時ニューヨーク・フィルの副指揮者だった小澤は、楽団125周年を記念し世界の作曲家に曲を委嘱する中、日本人作曲家の選考を任された。そこで伝統の和楽器を使って作曲が出来る武満を推薦する。 初めての海外からのオーダーに武満は大喜びで引き受けた。ところが曲を書き始めると徹底した合理主義の洋楽、西洋ではノイズとされる倍音などを持ち味とする邦楽、西洋と日本の音楽性の違いに悩み、行き詰まってゆく。窮地を救ったのは、滞在中の山里に鳴り響いていた“村の有線放送”だった。風や鳥のさえずり、決してお互いを損ない合う事なく響きあう自然の音と放送の音。そうした環境音を聴くことで、それぞれが独自に存在しながら共存もする、これまでに無い新たな発想の協奏曲を完成させていく。

西洋と日本の「違い」とは?

「オーケストラに対し日本の伝統楽器を自然にブレンドすることが、作曲家のメチエであってはならない」と語った武満。スタジオでは楽譜を題材に作曲家・青島広志が解説。西洋音楽では排除される“雑音(ノイズ)”に注目し、武満徹が目指した曲の本質を垣間見る。そこから浮かびあがるのは、日本の伝統楽器そのものが持つ魅力を損なうことなく、オーケストラを伴奏・背景として描いたということ。琵琶・尺八の生演奏も交えて、武満が求めた音色を紹介する。

サムライ音楽家が 本場西洋の舞台に挑む!

1967年秋、武満はアメリカへと渡る。“ニューヨーク・フィルの連中は、気位が高く、特に現代曲にはつらくあたる”との前評判、心配はリハーサルの初日、見事に的中する。琵琶・尺八を演奏する名人2人が羽織袴の正装で、深々とお辞儀をしたその時―。オーケストラのメンバーが笑い出したのだ。武満は悲しみ、小澤は怒った。尺八・横山勝也は“本当に命がけでした”と当時を語る。若き音楽家たちの未来、名人が背負う数百年の伝統、日本音楽界のこれまでと、これから、その真価が問われる初演の幕が上がったー。

ゲスト

(武満徹さんは)音楽の大きな歴史から見ると、モーツアルト、ベートーベン、ドビュッシーに次ぐ、四大巨匠の1人だと思います。

(武満徹さんは)音楽の大きな歴史から見ると、モーツアルト、ベートーベン、ドビュッシーに次ぐ、四大巨匠の1人だと思います。

青島広志(作曲家) 青島広志(作曲家)

青島広志(作曲家)

profile

大人から子どもまで誰でも分かるコンサートを主宰するなどクラシック音楽を楽しく伝える達人として活躍

楽曲情報

「ノヴェンバー・ステップス」から(抜粋)
武満徹
シャルル・デュトワ(指揮)
柿堺香(尺八)
中村鶴城(琵琶)
NHK交響楽団(管弦楽)
6分55秒
ザルツブルク音楽祭2013(フェルゼンライトシューレ/オーストリア)

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