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これまでの放送 2017年2月4日(土)の放送

花開け!俺のピアノラグ ~ジョプリンの「エンターテイナー」~
小粋でリズミカルな旋律が展開する「エンターテイナー」。1970年代の映画「スティング」のテーマ曲になったことでも知られるラグタイムの名曲です。
作曲者は、アフリカ系アメリカ人のスコット・ジョプリン。彼は苦難にもめげず名作を次々と発表し“ラグタイム王”と呼ばれました。
そんな彼は一つの野望を抱き続けていました。ジョプリンの人物像に迫り、名曲の魅力をひも解きます。
ジョプリン
花開け!俺のピアノラグ
~ジョプリンの「エンターテイナー」~
小粋でリズミカルな旋律が展開する「エンターテイナー」。1970年代の映画「スティング」のテーマ曲になったことでも知られるラグタイムの名曲です。
作曲者は、アフリカ系アメリカ人のスコット・ジョプリン。彼は苦難にもめげず名作を次々と発表し“ラグタイム王”と呼ばれました。
そんな彼は一つの野望を抱き続けていました。ジョプリンの人物像に迫り、名曲の魅力をひも解きます。

ジョプリン

クラシックのような大衆音楽!?

 ジョプリンの「エンターテイナー」が一躍注目を集めるきっかけとなったのが1973年のアメリカ映画『スティング』。軽快でリズミカルな音楽がピタリとはまり、大人気の曲となりました。
 作曲者ジョプリンが得意としたのは、ラグタイムと呼ばれる大衆音楽。19世紀から20世紀はじめにかけて流行し、歓楽街の酒場などで、黒人のピアニストたちが盛んに演奏していました。ラグタイムの名の由来は、「規則正しい拍子をくずすから」とか、「ぼろきれを身にまとった人が弾いていたから」など、諸説あります。
 「エンターテイナー」は、そんなラグタイムの代表作。踊り出したくなるような躍動感、何度も聴きたくなるその親しみやすさは、酒場に集まる人たちを大いに熱狂させたといいます。近年は、クラシックの著名な演奏家たちも好んで取り上げ、誰もが知る名曲となりました。

ラグタイム王が夢見たもの

 1860年代に奴隷解放令が出されたものの、アフリカ系アメリカ人たちは依然として、白人からの差別に苦しんでいました。そんな時代に音楽好きの家庭に生まれたジョプリは、幼い頃からピアノに親しみ、クラシック音楽の手解きを受けました。やがて彼は、酒場で演奏するピアニストになり、1899年、初めてのラグタイムの作品を出版。しかし、その表紙は“ジョプリンが集めたぼろきれのような音楽”と銘打った屈辱的な表紙でした。めげることなく作曲を続けた彼は、「メイプル・リーフ・ラグ」という空前のヒット作を生み出し「ラグタイム王」と呼ばれるようになりました。以後も名作を続々と発表する中で「エンターテイナー」が誕生しました。
 しかし、白人たちからは、「ラグはしょせん黒人の音楽」と蔑まれていました。ジョプリンは、さらに本格的なクラシック音楽の作曲にも取り組み、1911年、歌劇「トゥリーモニシャ」を発表。それでも、黒人蔑視の風潮はやむことがなく、オペラの上演は失敗。精神を病んだジョプリンは、志なかばの48歳でこの世を去ります。ジャズの流行と共に、ジョプリンのラグタイムは忘れ去られていきました。再び彼の音楽に光が当てられたのは、死後、半世紀以上を経た1970年代。「エンターテイナー」の大ヒットとともに、ジョプリンの音楽は改めて見直されたのです。

エンターテイナーなアプローチ!?

 「エンターテイナー」の親しみやすさは、どんな工夫から生まれるのか。第1のポイントは、シンプルな旋律。冒頭のイントロは、左手と右手が1オクターブ離れていますが、殆ど同じような旋律の繰り返し。その後の主題も4小節で完結するようなコンパクトな旋律。
 第2のポイントは、左手と右手のズレ。左手のリズム、「タンタン…」に対して、右手は、「ンタンタ…」になっています。『春が来た』などの身近な曲を、左手と右手のタイミングをずらして弾いてみてください。ラグタイムのようなノリが出てくることが実感出来ると思います。
 シンプルで覚えやすいメロディー、そして、左手と右手のズレから生まれるノリのよさが、聴く人の心を捉えていると言われています。

ゲスト

どこか切なさを感じる…僕っぽい…弾けたらカッコイイな~

どこか切なさを感じる…僕っぽい…弾けたらカッコイイな~

ユージ(俳優・タレント) ユージ(俳優・タレント)

ユージ(俳優・タレント)

profile

父はアメリカ人 母は日本人
幼い頃ピアノを習う

楽曲情報

「エンターテイナー」
スコット・ジョプリン
中野翔太(ピアノ)

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