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これまでの放送 2017年1月28日(土)の放送

音楽の本質を求めて~ブラームスのバイオリン協奏曲~ ブラームスと名バイオリニスト・ヨアヒム、二人の音楽家の出会いが
生み出した傑作、バイオリン協奏曲。
音楽を純粋に愛し、その本質を追究した二人の天才。
彼らがこの曲で目指したものとは?名曲誕生の秘話に迫るとともに、
「地味にスゴイ!」と評されるこの曲の魅力を紐解きます。
音楽の本質を求めて~ブラームスのバイオリン協奏曲~
ブラームスと名バイオリニスト・ヨアヒム、二人の音楽家の出会いが生み出した傑作、バイオリン協奏曲。音楽を純粋に愛し、その本質を追究した二人の天才。
彼らがこの曲で目指したものとは?名曲誕生の秘話に迫るとともに、「地味にスゴイ!」と評されるこの曲の魅力を紐解きます。

ただ音楽があるのみ

 まだ無名の音楽家だった19歳のブラームスは、天才バイオリニスト、ヨアヒムと出会います。すぐに意気投合し、音楽家として目指すものが同じであることが二人の絆を強めます。
 2人が活躍した19世紀の音楽界は、新たな音楽のスタイルを追い求めるようになっていた時代。主流になってきたのはリストやワーグナーに代表される、ドラマチックな物語や、美しい情景を音楽で表現しようとする革新的な音楽でした。ブラームスとヨアヒムは、「彼らの作品は、音楽の最も奥深い本質に逆らうものとして非難、もしくは批判されてしかるべきである」と、この流れに反対。
 2人が目指したのは、純粋に楽器による表現だけで音楽をつくること。文学などの音楽以外の要素を排除し、音そのものを大切にすることでした。20年以上という歳月をかけて完成させた交響曲第1番の成功で、音楽の本質に迫ろうとする姿勢は間違いではないと確信したブラームスは、満を持してバイオリン協奏曲に取りかかります。
 20年来の友人ヨアヒムは、その決意を何よりも喜び、力を惜しまずブラームスの作曲を支えたのです。
 ブラームスとヨアヒムが、音楽の本質を求め完成させたバイオリン協奏曲。それまでにない新しい響きを持つバイオリン協奏曲は2人の天才の絆から生まれたのです。

地味にスゴイ!

 バイオリンのイメージと言えば、華やかでカッコイイ!ブラームスの生きた19世紀は、バイオリンの奏法が確立され、華やかな名人芸が人々を魅了する時代となっていました。
 バイオリンのための作品、例えば、超絶技巧の持ち主サラサーテのために書かれたラロのスペイン交曲や、悪魔と言われた超人的なテクニックの持ち主パガニーニのバイオリン協奏曲などは、ソリストが派手に活躍します。
 しかし、ブラームスのバイオリン協奏曲はと言うと?ソロパートだけが派手な動きを見せる場面は少なく、単に楽譜通りに演奏するだけでも実は難しい上に、ソロパートとオーケストラが緻密に連携し合いながら音楽を形づくります。そう、ブラームスは時代の流れに逆らい、ソロバイオリンが派手ではない協奏曲を作ったのです!

バイオリニストが語る「地味にスゴイ!」ポイントとは?

ポイント①「地味に難しいテクニック」
バイオリンのテクニックのひとつ、重音(じゅうおん)。左手で2つの弦を押さえて、異なる音を同時にならします。メロディーを華やかに演出する際などに使われます。しかしブラームスは一つ目の音が出たあと、途中から二つ目の音が重なってきます。音量のバランスや音楽的な表現など、地味に難しいテクニックです。
ポイント②「地味にオーケストラを盛り上げるソロバイオリン」
単調な動きの音型を繰り返すオーケストラと地味な動きのソロバイオリン。しかし両者が組み合わさると、ソロバイオリンはまるで心臓の鼓動、音楽全体が生き始めるのです。派手な動きがなくても、エッジの効いた音ひとつでソロバイオリンは、オーケストラを盛り上げるのです。

ゲスト

「あまりに美しくて涙が出てきそうだった。地味だとは思わない。」

「あまりに美しくて涙が出てきそうだった。地味だとは思わない。」

マーティ・フリードマン(ギタリスト) マーティ・フリードマン(ギタリスト)

マーティ・フリードマン(ギタリスト)

profile

世界的バンドのギタリストとして活躍
現在は作曲家 プロデューサーなどマルチに活動

楽曲情報

バイオリン協奏曲 第1楽章から
ブラームス
弓 新(バイオリン)
角田鋼亮(指揮)
東京フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)

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