これまでの放送 2016年12月17日(土)の放送
クリスマスによく耳にする「アヴェ・マリア」。
16世紀のルネサンス時代や19世紀ロマン派の時代に数多く
作曲されました。
今回はその中から世界的に知られる3つのアヴェ・マリアを
取り上げ、それぞれの誕生秘話をご紹介します。
クリスマス特集
「アヴェ・マリア」誕生秘話
クリスマスによく耳にする「アヴェ・マリア」。16世紀のルネサンス時代や19世紀ロマン派の時代に数多く作曲されました。
今回はその中から世界的に知られる3つのアヴェ・マリアを取り上げ、それぞれの誕生秘話をご紹介します。
グノーのアヴェ・マリア
(左)バッハ (右)グノー
グノーのアヴェ・マリアは19世紀のパリで誕生しました。しかし、この曲には元になった曲がありました。それは、バッハの平均律クラヴィーア曲集の中の有名なプレリュードです。グノーはバッハの曲を伴奏部分に取り入れ、そこにメロディを付けてこの曲を発表。当初は、別のラテン語の歌詞を付けた合唱曲でしたが、後にアヴェ・マリアの歌詞で発表、以来グノーの「アヴェ・マリア」として世界中で歌われるようになりました。バッハとグノー、二人の共同作業によってこの名曲は完成したのです。
シューベルトのアヴェ・マリア
シューベルトのアヴェ・マリア
「アヴェ・マリア」といえば、この曲を思い出す方も多いのではないでしょうか?でも、この曲には元々、別のタイトルが付いていました。ウォルター・スコットの詩集「湖上の美人」から歌詞を取り、シューベルトが1825年に発表した時は、「エレンの歌 第3番」というタイトルだったのです。冒頭にアヴェ・マリアという歌詞が登場することもあって、「シューベルトのアヴェ・マリア」として有名になりました。シューベルト以外にも ブルックナーやリスト、ヴェルディといったロマン派を代表する作曲家が「アヴェ・マリア」をテーマに作曲しています。
19世紀はまさに、アヴェ・マリアの充実期だったのです。
カッチーニのアヴェ・マリア
ロシアで発表されたレコードのジャケット
1990年代の半ば以降日本でも良く演奏されるようになった「カッチーニのアヴェ・マリア」。この曲は16世紀ルネサンス時代、フィレンツェで活躍したジュリオ・カッチーニの作品とされてきました。しかし、最近の研究では、別の人物の作品ではないかと疑問が投げかけられていました。今回、番組では1970年頃に発表された1枚のレコードを紹介。
その中の16世紀の名もなき作曲家の「アヴェ・マリア」という曲が「カッチーニのアヴェ・マリア」そのものだったことを確認しました。このレコードを発表したのは、20世紀にロシアで活躍したリュート&ギター奏者のウラディーミル・ヴァヴィロフ。彼は、作曲も手がけ、しかも自分の作品を他人の名前で発表していたというのです。彼の共演者の証言等も考慮すると、この曲もヴァヴィロフが、自分で作曲したものに「カッチーニのアヴェ・マリア」と名付けて発表したというのが最有力だといえそうです。
ゲスト
クリス松村(タレント)
profile
洋楽への造詣が深く最近はクラシックにも興味を広げている
楽曲情報
- 「グノーのアヴェ・マリア」
- グノー
- ドレスデン十字架合唱団
- 「シューベルトのアヴェ・マリア」
- シューベルト
- ウィーン少年合唱団
- 「カッチーニのアヴェ・マリア」
- ヴァヴィロフ
- 加羽沢美濃
- 加羽沢美濃(ピアノ)
- 「グノーのアヴェ・マリア」
- グノー
- ドレスデン十字架合唱団
- 「シューベルトのアヴェ・マリア」
- シューベルト
- ウィーン少年合唱団
- 「カッチーニのアヴェ・マリア」
- ヴァヴィロフ
- 加羽沢美濃
- 加羽沢美濃(ピアノ)
作曲したのが誰でもかまわない この曲がすばらしいことがわかった