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これまでの放送 2016年11月5日(土)の放送

ヘンデルの「水上の音楽」
今からおよそ3百年前にロンドンのテムズ川で国王のために野外演奏された「水上の音楽」。大人数のオーケストラが1艘の手漕ぎボートの上で夜通し演奏した前代未聞の大イベントだったというが、その真相を明らかにする。
いくつかの音楽の教科書にも載っていて小学生にも親しまれる爽やかな名曲だが、誕生の裏には おおっぴらにはできない大人の事情が潜んでいるのだとか!?単なる音楽家にとどまらないヘンデルの意外な才能に迫る。
ヘンデルの「水上の音楽」
今からおよそ3百年前にロンドンのテムズ川で国王のために野外演奏された「水上の音楽」。大人数のオーケストラが1艘の手漕ぎボートの上で夜通し演奏した前代未聞の大イベントだったというが、その真相を明らかにする。
いくつかの音楽の教科書にも載っていて小学生にも親しまれる爽やかな名曲だが、誕生の裏には おおっぴらにはできない大人の事情が潜んでいるのだとか!?単なる音楽家にとどまらないヘンデルの意外な才能に迫る。

イベント男の真骨頂

「水上の音楽」というタイトル~もとは英語でWATER MUSIC~は、実際に水の上で演奏されたため、そう名付けられた。今でもベネチアやメキシコ・シティなど世界各地に小舟での音楽演奏は見られる。しかし3百年前にヘンデルたちが考えたのは、もっと壮大な計画。50人ものオーケストラをまるごと船に乗せようというもので、いわばロンドン・テムズ川を舞台にした大コンサート。夜8時に宮殿の近くの桟橋を国王の船と共に出発し、夜中11時から2時の間は岸辺の貴族邸宅でディナータイム、そして朝4時半に国王は宮殿に戻るという徹夜の大宴会だったという。当時オーケストラが乗った船は、オールのたくさんついた手漕ぎボートだった。バシャバシャと水音がうるさくなかったのだろうか?反響板のない野外での演奏は国王にちゃんと届いたのだろうか?…さまざまな疑問がわくが、テムズ川の潮の満ち引きを利用して、野外でも良い音響で聞ける工夫がこらされていた。おかげでイベントは大成功!国王は1時間もする曲を2回もアンコールしたという。

大作曲家は腕利き工作員!?

「水上の音楽」が誕生したきっかけとして、こんな話が伝えられている。 若いころドイツのハノーバー候のもとで宮廷楽長をしていたヘンデル。仕事を放り出し、イギリスに渡ってしまう。ところが、4年後、イギリスの女王が亡くなると、ドイツからハノーバー候がやってきて新国王ジョージ1世に。きまずいヘンデルは、「水上の音楽」を新国王にプレゼントし、めでたく仲直りしたという話。しかし、この話は真っ赤なウソ!実はヘンデルは ジョージ1世のために情報収集や地ならしをするため、あらかじめ先遣隊としてロンドンに派遣された可能性があるのだ。当時は音楽家や作家などが旅行に行くときに現地の情報を送る「軽いスパイ活動」(light espionage)は頻繁に行われていたという。

音楽に効かせた2つのスパイス

音楽に効かせた2つのスパイス

「水上の音楽」には、国王から小学生までさまざまな人たちをとりこにするヘンデルならではの作曲の技が隠されている。有名なアラ・ホーンパイプの冒頭のフレーズをスタジオで美濃さんが解説。シンプルな音楽に、あたかもスープのかくし味のように音楽をひきたてる2つのスパイスが効く。

ゲスト

少年時代に合唱団でヘンデルの「メサイア」をウェストミンスター寺院で歌って気持ちよかった!

少年時代に合唱団でヘンデルの「メサイア」をウェストミンスター寺院で歌って気持ちよかった!

ピーター・バラカン(ブロードキャスター) ピーター・バラカン(ブロードキャスター)

ピーター・バラカン(ブロードキャスター)

profile

1951年 ロンドン生まれ。
ロックやジャズなどに詳しい。

楽曲情報

「水上の音楽」よりエア、アラ・ホーンパイプ
ヘンデル
ハーティ
角田鋼亮(指揮)、
東京フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)

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