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これまでの放送 2016年1月30日(土)の放送

素材の良さを引き出す名料理人!?~ロッシーニの「セビリアの理髪師」序曲~ オーケストラ曲の定番でもあるこのオペラ序曲。
作られた背景にはロッシーニのあるうっかりミスがありました。
その驚きの解決策とは?
ロッシーニの代表曲、誕生秘話に迫ります。
素材の良さを引き出す名料理人!?
~ロッシーニの「セビリアの理髪師」序曲~
オーケストラ曲の定番でもあるこのオペラ序曲。
作られた背景にはロッシーニのあるうっかりミスがありました。
その驚きの解決策とは?
ロッシーニの代表曲、誕生秘話に迫ります。

超売れっ子が生み出した魅惑の序曲

超売れっ子が生み出した魅惑の序曲

歌劇「セビリアの理髪師」の舞台は18世紀のスペイン・セビリア。青年貴族アルマヴィーヴァは、町で見かけた若い娘ロジーナに一目惚れし、なんとか彼女に近づきたいと思い悩みます。莫大な財産と美貌に恵まれたロジーナ。当然周囲のガードは堅く、屋敷の外に出ることもできません。そこでアルマヴィーヴァは“町の何でも屋”理髪師フィガロの知恵を借り、変装してロジーナの屋敷に忍び込んで見事恋を成就させるというストーリー。ロッシーニは、わずか18歳でオペラ作曲家としてデビュー後、すぐにその実力が認められ、売れっ子作曲家に。ロッシーニは筆の早さでも有名で、数年がかりでオペラを仕上げる作曲家もいるなか、ロッシーニは1年に3本ペースでオペラを発表していました。人気絶頂24歳の時に、わずか13日間で書き上げたのが歌劇「セビリアの理髪師」。本編上演前に演奏され、観客をオペラの世界へと誘うのが今回ご紹介するこの序曲。軽快で親しみやすいメロディーが次から次へと展開されるこの曲は、単独で演奏されることも多い、ロッシーニの代表作の1つです。

名旋律の料理人!

ロッシーニは、歌劇「セビリアの理髪師」が完成したと思ったところで大変なことに気づきました。本編の作曲に集中するあまり、序曲を書き忘れていたのです。そこでロッシーニは、なんと自分が過去に作曲したオペラの序曲をそのまま転用して、上演に臨んだのです。使用したのは歌劇「イギリス女王エリザベッタ」の序曲。驚いたことに、その曲は歌劇「パルミラのアウレリアーノ」の序曲を転用していたのです。つまり、この曲は3つのオペラ共通の序曲だったのです。「セビリアの理髪師」がスペインを舞台にした喜劇であるのに対し、それまでの2作品は、それぞれ16世紀のイギリス、3世紀中東が舞台のシリアスなオペラでした。時代も舞台も異なるオペラの序曲を大胆にも組み合わせたのです。また、オペラ本編では同じメロディーをアレンジして使い回すということもしています。別の作品で明るいイメージだったメロディーを、「セビリアの理髪師」では、物悲しい雰囲気にアレンジしていました。37歳で作曲家の道を早々と退き美食家として余生を送ったロッシーニ。フォアグラとトリュフを組み合わせた贅沢極まりないステーキをはじめ、意外な素材の組み合わせで、料理史に残るレシピを考案したロッシーニ。自ら出来栄えを気に入っていたこの序曲、いわばどのコースでも使える「万能の前菜」として、とらえていたのかもしれませんね。

万能の序曲の作り方

曲の冒頭、これからオペラが始まることを告げる合図のような大きな音の連打と、それに続いて囁くように奏でられる弦楽器の調べが聴衆を引き付けます。一方、序曲の終盤では短いフレーズを繰り返しながら音量を増すという、ロッシーニが得意とした「ロッシーニ・クレッシェンド」と呼ばれているテクニックが聴くものを興奮の渦に巻き込みます。

ゲスト

「ロッシーニという名は音楽家より先に料理の名前で知りました」

「ロッシーニという名は音楽家より先に料理の名前で知りました」

田崎真也(ソムリエ) 田崎真也(ソムリエ)

田崎真也(ソムリエ)

profile

日本のワインブームの立役者。
ワインだけでなく、料理全般に造詣が深い。

楽曲情報

「セビリアの理髪師」序曲
ロッシーニ
田中祐子(指揮)
東京フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)

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