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これまでの放送 2015年8月8日(土)の放送

夏休み特集 第2弾!! クラシック徹底比較!ヴェルディVS.ワーグナー 共に1813年生まれと同じ歳で、同時代にオペラ界で活躍した
ヴェルディとワーグナー。
いくつかの共通点がありながらも、両極端な生き方をした
2人の人生を徹底比較する。
夏休み特集 第2弾!!
クラシック徹底比較!ヴェルディVS.ワーグナー
共に1813年生まれと同じ歳で、同時代にオペラ界で活躍したヴェルディとワーグナー。
いくつかの共通点がありながらも、両極端な生き方をした2人の人生を徹底比較する。

比較ポイント「パトロン」

当時の音楽家にとって、芸術活動を支援してくれる「パトロン」は大切な存在でした。もちろん、 ヴェルディとワーグナーにも強力なパトロンがいましたが、2人を支えたのは全く違うタイプの人物でした。ワーグナーを支援したのは、バイエルン国王ルートヴィヒ2世。“夢想家”だった国王は、ワーグナーの描く伝説や神話を基にした世界の虜でした。国の予算を使い、次々にワーグナー作品を上演。さらに国王は、ワーグナーをバイエルンに呼び寄せた上、一等地の豪華な邸宅に住ませ、破格の年金を与えて優遇しました。こうして作曲に集中できる環境を与えられたワーグナーは、前代未聞の壮大なスケールの作品を生み出していったのでした。一方のヴェルディを支えたのは、地元の“卸問屋”の主人、アントーニオ・バレッツィでした。音楽愛好家だった彼は、ヴェルディが小さい頃からその才能に目をつけ、ヴェルディの実の父親を説得して本格的な音楽の勉強をさせました。そして留学の手配や学費など、あらゆる面で支援を惜しみませんでした。身近な人物に支えられたヴェルディは、作品でも実社会で生きる人々の人間ドラマを描き続けました。特に、歌劇「ナブッコ」の有名な合唱曲は、イタリア市民の心を掴み“第2の国歌”として今でも国民に愛されています。ヴェルディはイタリアの誇る国民的作曲家になったのです。

比較ポイント「お金」

2人の違いが最も出たのは、「金銭感覚」でした。ワーグナーはまさに「浪費家」。規格外の舞台セットを作ったり、連日夜会を開いたり、その使いっぷりは貴族の年収数年分を1カ月で消費する程だったと言われています。しかも大抵は上演が決まっていない作品の作曲を行い、収入につながる仕事はあまりやらなかった為に、膨大な借金を抱えていました。その浪費ぶりはとどまることを知らず、なんと彼は、超大作「ニーベルングの指輪」を上演する為に、専用劇場を造る計画まで立てていたのです。誰もが無謀と思った劇場建設でしたが、あのワーグナー信奉者・ルートヴィヒ2世の多大な援助により、現実のものとしてしまうのでした。その劇場では今でも毎年音楽祭が開かれ、ワーグナー信奉者の聖地となっています。一方のヴェルディは、お金に「堅実」な人間でした。当時の音楽業界では、作曲家が得るのは、完成した作品に支払われる一度の報酬のみで、オペラが再演されても、その収入は劇場主に渡っていました。そこに疑問を感じていたヴェルディは、独学で経営を学び、「著作権」という考え方をイタリアの音楽界に初めて持ち込みました。ヴェルディが後に与えた影響は大きく、彼の功績により、作曲家は公演ごとの収入に加え、楽譜の出版料やレンタル料も得るようになっていったのです。

比較ポイント「ライバル」

当時から“ライバル”として取り沙汰されていた2人は、新作を出すごとに比較されていました。これに対する本人たちの反応は、またもや「両極端」なものでした。ヴェルディは多く残された書簡や友人たちへの言葉に、ワーグナーに対する多くの言葉を残しました。一方のワーグナー、他の作曲家に対しては多くの言及を残しているにも関わらず、ヴェルディに対しては「沈黙」を保ちました。それは一体何を意味しているのか。今回、双方を代表する研究者に、作曲家たちの本音は一体どうだったのか、その見解を伺いました。

ゲスト

ライバルの存在が逆に自分のスタイルを確立させていく

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ミッツ・マングローブ(女装家) ミッツ・マングローブ(女装家)

ミッツ・マングローブ(女装家)

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英国の大学で商業音楽を学ぶ

楽曲情報

楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガ―』から前奏曲
歌劇『リゴレット』から
「女心の歌」
①ワーグナー
②ヴェルディ
①セバスティアン・ヴァイグレ(指揮)
NHK交響楽団(管弦楽)
②福井敬(歌:テノール)、 広上淳一(指揮)
東京フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)

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